

佐渡に向かうため、佐渡汽船新潟ターミナルに到着。コロナの影響もあって、ジェットフォイルが大幅に減便されている状況だが、佐渡の物流を担っているフェリーの便数は確保されている。
とは言っても、土曜の午前便なのに、ロビーや待合室は閑散としている。観光客がパッタリといった状況は、他の観光地同様、佐渡の経済や佐渡汽船をも直撃しているといっていい。
閑散としたターミナルの状況を目の当たりにすると、今回は突然の思い付きの佐渡渡航だが、少しでも支援につながればと思う。
切符売り場で「一等席を1枚ください」というと、出札係員は「1等は、波の影響を受けやすいので、揺れますがいいですか?」との説明が添えられる。
そうなのです。「あかね」は、揺れるという情報が各所で聞かれる。しかも、その揺れはひどく、悪評になっている。実は、それを確かめるのが今回の乗船目的である。
「そんなに揺れるんですか?」と聞き返すと、「まあ、今日の波なら大丈夫だと思いますよ!」と、加えて「私は乗ったことがないのですがー」との返し。乗船したことはないが、佐渡汽船もお墨付きの揺れる船ということなのか?


一等は、イス席が並ぶ客室の一番前列。革張りのシートや、前回写真で紹介した専用のラウンジなどがあり、前面の窓から前方を望むことができる。最前列をリクエストしたが、やはり船内はガラガラ状態。
新潟西港は川港。川岸に長い防波堤が続く河口部を20分ほどかけて、ようやくあかねは外海に出る。僅かに白い波は見えるものの、うねりはそれほどでもない。しかし、しばらくすると揺れてきた。しかもかなり激しい揺れだ。
フェリーや釣り船とは明らかに違う揺れは、上下左右に複雑で、大きく揺れたかと思うと急に逆方向に引っ張られる感じ。グルグル回るようで、急に別方向にガクンと持ってかれる。遊園地のアトラクションのようでもある。
それほどの波でもないのに、この揺れ方をするのは、どうやら双胴船という船の構造にあるようだ。二つの胴体をつなぎ合わせた分、複雑に波の影響を受けるのではないだろうか。
フェリーと比すと、航行時間を30分ほど短くスピード化が図られているが、この乗り心地がいくら船内の設備が充実しているとはいえ悪評を買っている。
この日も、船酔いの人ためにイスを取っ払って改造・設置されたというカーペットスペースだけでなく、荷物置き場やキッズルーム、はたまた通路に横たわってしまう船酔いの人が続出。野戦病院のような様子に、客室係員も申し訳なさそうな顔をしている。(決して、船員さんの責任ではありませんから。)
そんなことがあってか、あかねはこの春3月20日の航海をもって引退、売却されることが昨年10月に発表されている。2015年4月21日の就航だから、佐渡航路では5年11か月という短い間の航行となった。
乗り心地の悪評は、佐渡の島民の噂話(噂だけではないのだが)として広がり、先の出札係員のように乗ったことのない人にも敬遠されることになったのは、複雑な思いがある。
あかねの新造船費用は60億円といわれて、両津航路に就航している1歳兄のときわ丸とほぼ同じ値段。ときわ丸に比べ、旅客定員は半分以下、車両搭載も少なく、燃費も悪いそうだ。
鳴り物入りで小木航路に投入されたが、赤字経営が続く佐渡汽船の起死回生の一手にはならず、コロナの影響による旅客数減もあるが、さらに大きな打撃となってしまったことは間違いない。残念!


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