行き先不明人の時刻表2

何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

こちらは130歳のボウストリングトラスの「切立橋」

2021年04月10日 | 土木構造物・土木遺産


まだ気持ちは会津に行ったまま。
今回、会津に行った本当の目的は、十六橋水門でもなければ日橋川の発電所群を見るためのものではない。まあ、それなりに調べ上げたりして勉強になったし、楽しかった。
しかし、最初に訪れたのはJR磐越西線の広田駅。会津若松から上り方向(郡山方向)に一駅目あたる。ここから廃線跡をたどることが今回最大のミッションだ。(写真上:広田駅の駅舎とホーム。駅舎は2007年に火災により半焼、2008年に新駅舎が建設された。)



実は、先に紹介した猪苗代第四発電所を建設資材を運搬するために、東京電燈(現・東京電力)の専用線(広田専用軌道)が存在し、この広田駅から第四発電所の間をつないでいたという。
決して廃線マニアではなく、その痕跡を探すのは難しい。何せ大正時代の話、周辺の宅地開発や道路整備、圃場整備もされているので全くちんぷんかんぷん。後で調べてみると、私が単に地図上で確認していた道路よりも、かなり西側にある県道沿いにあったようだ。(写真上:駅周辺や住宅地、田んぼの中をウロウロ、まるで不審者のよう!)
それじゃ廃線跡はたどれない。何しに行ったの?という感じになる。廃線跡も興味がないことではないのだが、終点の猪苗代第四発電所の手間に目指すお宝があるのだ。



それが写真の「切立橋(きったてばし)」だ。以前紹介した福島市にある松齢橋(今年3月5日の記事参照)と同じ、ボウストリングプラットトラス橋だ。1921年(大正10年)架橋だから、ちょうど100歳。松齢橋より5歳年上。
実は、東京電燈の前身である猪苗代水力電気という会社の社長が、九州鉄道の元社長だったという関係から、鹿児島本線の矢部川にかかる橋梁を移設したもの。もしかして、100歳以上の年齢?
矢部川橋梁のある鹿児島本線の久留米駅と高瀬駅(現・玉名駅)が開業したのが、1891年(明治24年)だから、130歳と推定される橋なのである。



当時、この橋で専用線は日橋川を渡り、対岸の発電所建設地まで資材を運んでいた。軌間762ミリの軽便サイズ、総延長4.8キロ。完成後にはすぐに軌道は撤去され、跡形もなくなった。(僅かに盛土とかが確認できる場所があります。)
ただ、この日橋川橋梁は道路用に転用され、切立橋として付近住民のために現役で頑張っている姿は頼もしい。近代化産業遺産、近代土木遺産2800選でBランク。
このほかに、第二発電所、第三発電所の建設のため大寺専用軌道(大寺駅(現・磐梯町駅)と第二発電所、そこでスイッチバックして大発電所に続く5.5キロ)でというものもあったそうだ。
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