

新潟県村上市の旧山北町(さんぽくまち)を訪ねた際には、どうしても気になるところがもう一か所、ネットやSNSで話題となっていたところで、何やら不気味(?)な「卵の自動販売機」があるとのこと。寝屋漁港や八幡橋のある勝木地区からさらに北へ数キロ、県境に近い中浜地区(新潟県では最も北の集落)に向かう。
国道7号沿いにその自販機はあるが、周りには何もなく、ポツンと海岸寄りにたまご型のオブジェ(?)に「たまご直売所」と乱雑な手書きで文字が書いてある。そばには小さな小屋。この小屋の中に自販機が並んである。数種類の卵があるようで、6個480円と1個80円?確かに最近高くはなっているが、物価の優等生である卵としては破格の値段だ。
以前、米沢にあるufu uhu garden(ウフウフガーデン)の卵を紹介したが、そこでも1個30円を少し上回る程度だったので、そこから比べても倍以上の値段。安易な自販機販売と思いきや、なかなかこだわりがあるようで恐る恐るいくつか買ってみることにした。


昼近い時間の訪問。丁度、自販機に卵パックを詰め替えに来たお店の方に聞いてみた。まとめ買いする人も多くて、一日何回か切れ替えをしなければならないほどの人気ぶり。確かに、家に帰っていただいたが、黄身がしっかりして見た目はきれいだし、味わい深く、「あっ!卵の味だ」といえるものである。
なんでも、すぐそばにある海岸端の農場で、鶏を放し飼いにして飼育しているらしい。鶏舎をオープンにして、屋外に出るか出ないかは鶏任せ。ストレスフリーの飼育で、平飼いとはまた違う方式。その昔、仕事で10万羽以上飼育する農場を見てきたが、ここでは3,000羽に行かない飼育数だそうだ。
こちらの売りは「素王卵(そおうらん)」というネーミング。何でもビタミンEが普通の鶏卵より10倍、コレステロールが20%減とのこと。飼育環境だけでなく、資料配合にも強いこだわりがあるほか、HACCP方式の徹底した衛生管理を取り入れているという。その最前線の販売所が、この自販機ということになる。


この農場と自販機、オークリッチという会社の経営。そのオークリッチでは事業再構築補助金を活用して2023年5月、自販機のある場所から少し新潟寄りの海岸線に、放し飼い卵の専門店「海辺のテーブルエッグ」というカフェをオープンした(写真上:外観)。自販機とはかけ離れたおしゃれな外観・内装である。
店に入るとショッピングコーナーに例の卵が並べられている(写真上)。右手のカフェスペースは海が見える最高のロケーション。これまたおしゃれなテラス席からは粟島も望める。店内奥の壁一面にはきれいな海岸が描かれた幕絵(タペストリー?)が飾られてあるが、マッチしているというよりは「どこだ?」というインパクトがある。外のお庭などがもう少し整備されるといいかも。
さて、お客さんも少なかったので、中央の大きなテーブルに座りメニューを見ると、もちろん卵料理。オムレツやカルボナーラなどもあったが、迷わず「卵かけご飯(メニューでは「これが卵かけご飯」1,000円)」を選んだ(まあ、塩分制限の件もあるのですがー)。


確かに美味しい。ただ、1個80円?卵かけご飯1,000円は安いとは言えない。もちろん、先に触れたとおりこだわりが詰まっているのだし、いくら高くなっているとはいえ普通にスーパーに売っているのからすればプレミアム。まあ、人気だとは言っても、私としては特別な時にってところですかねー。
それにしても、料理を運んできてくれて説明が長い。卵の種類や自家製野菜(これは新鮮で美味かった!)、そして食べ方や小皿の品の詳細説明まで。料理担当や店員の方々もみんなこだわりと誇りを持っているんでしょうねー。
ちょっと身近過ぎるたまごでしかもシンプル料理なので食レポにはなっていないが、味や価格を考えるとufu uhu gardenのほうがコストパフォーマンスが高い感じはする。ただ、オークリッチのこだわりと安心安全の取り組みは拍手を送りたいし、今後の事業展開には注目していきたい。また足を向けた際には立ち寄ってみたいと思う。



※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます