加須市は、鯉のぼりとうどんの町である。鯉のぼりは、日本一の生産量を誇る。プリントが主流の中で、手描きの技も唯一、橋本弥喜智(やきち)商店で受け継がれていたが、16年9月までで店仕舞いした。
加須と鯉のぼり作りは、明治初期、「西行」と呼ばれた全国を渡り歩く職人から技術を学んだのが始まり。
大正の中頃、主として墨で描いていた地味な江戸鯉のぼりから金粉、銀粉を使って12の色彩を重ねた極彩色の加須産の「武州鯉のぼり」が登場して人気を呼んだ。関東大震災で東京の業者がつぶれると、加須に注文が集中、日本一の産地となった。
この市では毎年5月3日、利根川河川敷緑地公園でジャンボこいのぼりが上げられる。
一般的なこいのぼりは長さ10m。1988(昭和63)年に初めて加須青年会議所の協力でできた巨大な鯉のぼり「ジャンボ1世」は、綿製でなんと100m、重さ約600kgの世界一ののぼりだった。
余りに重すぎるので、生地をポリエステルに替えて改良を加え、現在の4代目「ジャンボ4世」は、約330kgと軽量化した。全長100m。目玉と口の大きさは直径10mあるので、柱の代わりにアームの長さが110mもある巨大な建設用クレーンで釣り上げる。
利根川河川敷公園で「市民平和祭」の一環として午前と午後の二回上げられる。11年に初めて見物に出かけた。東武伊勢崎線加須駅から無料バスも出るというから有難い。
ものが大きいので取材するのも大変。ヘリコプターが何機か上空を飛び交っている。上空には風があるのか、クレーンで釣り上げると、重そうな尾ヒレを平らに持ち上げ、5月の空を泳いだ。
新市誕生一周年記念と東日本大震災復興支援で、第二回加須市民平和祭の一環である。
市内の旧県立騎西高校に集団避難している福島県双葉町の住民らが招待されたほか、被災地でも上げてもらおうと、宮城など4県5か所に応援のメッセージを書き込んで鯉のぼりが贈られた。
このジャンボこいのぼりの二世は海外にも遊泳に出かけ、1998年にはハワイ・ホノルル・フェスティバル、三世は06年にはサッカーのワールドカップ・ドイツ大会で日本対オーストラリア戦の会場になったカイザースラウテルン市でも雄姿を見せた。
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