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水天宮祭 寄居町

2013年08月06日 17時09分53秒 | 祭・催し


人口3万5千人の寄居町にとって、13年は記念すべき年になった。

日本の自動車工場の海外移転が相次いでいる中で、ホンダの埼玉製作所寄居工場が、新工場建設表明から約7年を経て、四輪車の生産を始めたからだ。

東京ドーム約20個分に相当する敷地で、従業員約2千人。年産最高25万台。地元の寄せる期待は大きい。

例年8月の第1土曜日に「関東一」を自称する水天宮祭(花火大会)が開かれるので、3日の土曜日、東武東上線の終点・寄居駅に降り立つと、さっそくホンダにお目にかかった。

ホンダは今年5月、英国のレーシング・チーム「マクラーレン」にエンジンを供給する形で15年からF1(フォーミュラ1)に復帰すると発表した。

フォーミュラは英語で「規定」という意味。排気量、タイヤ、車体重量などの細かな規定にのっとり、一人乗りのマシンで競う世界最高の自動車レースである。

1980年代後半から90年代初期、ホンダのエンジンを搭載した「マクラーレン・ホンダ」には、“音速の貴公子”と呼ばれた「史上最高のF1ドライバー」アイルトン・セナ(ブラジル人)が乗り、3度F1ワールドチャンピオンを獲得、ファンを湧かせた。

セナは別なチームに移籍、94年サンマリノグランプリで事故で落命した。ブラジルは国葬で彼の死を悼んだ。

そのセナが乗った「マクラーレン・ホンダMP4/5」など2台が、駅近くの駐車場でコンパニオン付きで特別展示されていて、「ホンダが寄居に来た」ことを印象づけていた。

埼玉県産のホンダカー「新型FIT」は9月にデビューした。

祭の開会挨拶で島田誠町長もホンダが来たことを強調した
「寄居玉淀水天宮祭」の会場になる玉淀河原はゆかた姿の市民らで埋まっていた。4月第2日曜日に催される「寄居北条まつり」を上回る人出だ。

日本百名城の一つ、鉢形城址の断崖直下の「玉淀」と名づけられた、長瀞の下流の美しい荒川の河原に、地元の五つの町会の、ぼんぼりや提灯で飾った五台の舟山車が並ぶ。(写真)

夜7時、辺りが暗くなると、後ろの城山から次々打ち上げ花火が上がる。城山の仕掛け花火に火がつくころには祭りは最高潮を迎える。

なにしろ、田山花袋も絶賛した県の「史跡天然記念物・玉淀」で行われるのだから、舞台装置としては申し分はない。

川風でも吹けば最高と思ったが、あいにく風はなく、しきりにウチワを使う姿が目立った。

始まったのは1931(昭和6)年と新しい。この年、この景勝地が「玉淀」と命名されたので、何かお祭でもと考えていたところ、川沿いに漁師たちが水難除けの水神様として祭っている石の洞が見つかった。

そこに水天宮を祀り、社も寄付され、祭が始まったのだった。

市長の挨拶によると、町では11月16日(土)に金尾山県有林で、「第37回全国育樹祭」が皇太子夫妻が出席して開かれる。

寄居町では、「一年中桜に出会える町」づくりを目指して、実行委員会が中心になって08年から開花時期が違う桜を全域に植えている。

目標は300品種1万本。13年8月までに95か所に105品種2150本を植えたという。約60品種は花が楽しめるほど成長、「桜マップ」も作られた。全部植わったら、町中が”桜の植物園”になるだろう。

落城した鉢形城の城主だった北条氏邦の墓がある正龍寺には、落城後、加賀で没したのにちなんで、300以上の花びらがあるので有名な「兼六園菊桜」、「君恋し」の作曲家・佐々紅華の旧邸の料亭旅館には、八重咲きで濃紅色、開花期が長い「紅華」を植える、といった具合に場所にあわせて品種を選んでいる。



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