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埼玉県について新聞、本、雑誌、インターネット、TVで得た情報に基づきできるだけ現場を歩いて書くエッセー風百科事典

三歩で歩ける三県境 加須市

2017年03月03日 17時39分55秒 | 県全般

三歩で歩ける3県境 加須市 

 県境とは「県の境界」のことだ。3県境とは3つの県境が1か所にまとまっている所のことである。

 このような3県境は、全国に40か所以上あるが、大半は山頂や尾根、河川の中などにある。平地の田んぼのど真ん中にあって、楽に歩いて行ける所は全国で唯一だそうだ。

 それでは、その珍しさを地域活性化に役立てようと、境界を接する埼玉県(加須市)、栃木県(栃木市)、群馬県(板倉市)の3市町は、共同で測量調査を実施し16年3月に県境確定の調印式をした。

 地理好きの人のために、緯度と経度は北緯36度12分27秒、東経139度39分50秒である。

 この3県境をPRしようと17年2月10日から約1か月余、スマートフォンのGPS(全地球測位システム)を利用して、この県境のほか、「道の駅きたかわべ」の「北川辺スポーツ遊学館」(加須市)、「電電神社」(板倉町)、「藤岡遊水池会館」(栃木市)の4か所をめぐるスタンプラリーが始まった。

 春らしい日を選んで現場を訪ねた。東武日光線の柳生駅(加須市)から歩いて10分程度で散歩に便利である。

 田んぼの中にある地権者が立てた木製の手書きの看板が目印で、その足元のコンクリート製の細い畦の中に目指す県境の標識が見えるだけだ。その畦が3方に分かれているのでそれだと分かる。

関係3市町では18年4月、観光客が気軽に訪れることができるよう、周辺道路からアスファルトで舗装したアプローチ道路(総延長約60m、幅約2m)を整備した。標柱の周囲も擬木柵で囲い、中に砕石を敷いた。(写真)

 またぐだけだから、間違いなく歩いて3歩で回れる。

 近くのスポーツ遊学館の屋上から、3県に茨城県を加えた4県の県境にまたがる、日本最大級の遊水地「渡良瀬遊水地」(谷中湖・ラムサール条約登録湿地)が見渡され、春先の散歩コースにはうってつけの場所である。

 この遊水地は、日本の公害問題の原点とも言うべき所。若い頃公害問題に関心を持っていたので、田中正造の足跡をたどって何度も足を運んだことがある懐かしい場所である。

 加須市は全長100mのジャンボこいのぼり揚げで、「群馬の水郷」と呼ばれる板倉町には、関東に点在する雷電神社の総本宮があり、ナマズ料理やキュウリの生産で有名。栃木市は巴波(うずま)川沿いの蔵の街で知られる。