ださいたま 埼玉 彩の国  エッセイ 

埼玉県について新聞、本、雑誌、インターネット、TVで得た情報に基づきできるだけ現場を歩いて書くエッセー風百科事典

県内でも広がる「子ども食堂」

2018年12月31日 14時06分17秒 | 県全般

県内でも広がる「子ども食堂」

経済的格差の拡大で、子どもの7人に1人(ひとり親世帯では2人に1人)が相対的貧困状態にある日本で、他の国に後れをとってはいるものの、無料または低額の「子ども食堂」の設置が全国的な広がりを見せている。本県でもボランティア団体やNPO法人、それに県福祉部などが官民共同で設置の運動を進めようとしている。

県福祉部少子政策課が18年8月末時点で、実態調査したところ、全63市町村のうち43市町村123か所だ。17年同時期の初めての調査では、32市町村76か所だったので、約1.6倍に増加していた。

市町村別で見ると、さいたま市が最も多く15か所、ついで川口市の13か所、所沢市9か所、上尾・越谷市6か所の順だった。

対象者は、子どもや経済的に困難な人などに限定せず、「誰でも」が65.5%、「子どもと保護者」が10.9%、「子どもだけ」が1.7%と続いた。

開くのは、全体の83%が「定期開催」、月1回が最も多く52か所、月2回が21か所、週1回が14か所。週5回以上も6か所あった。」

子ども食堂以外に無料の学習支援施設、子どもが自由に遊べるプレイパークなどの「子どもの居場所」を含めると計164か所だった。

県は、公開の承諾が得られたところの一覧表をホームページに公開している。また、「子ども食堂フォーラム~広げよう~子どもの居場所」というフォーラムを開いている。

少子政策課には「こども応援ネットワーク埼玉」を県内の発起人とともに立ち上げていて、貧困家庭の子どもが大人になって再び貧困になる「貧困の連鎖」に関する情報を発信している。

生活保護を受けている家庭で育った子どもの4分の1は、質の高い教育が受けられず、結果として仕事に就けないケースも多く、大人になって再び生活保護を受けている。

「このことに気づいたのは本県の職員で、県が中心になって、生活保護者世帯の子どものための「学びの場」を運営し、高校進学に向けた支援を開始、この動きが国にも認められ、その後、生活困窮者自立支援法が成立、全国規模で実施されている」と知事は29年2月号の「知事コラム」に書いている。

17年3月に開かれた「志木のまいにち子ども食堂」では、ほとんど毎日食事を出している。月曜日から土曜日の夕食(小学生300円、大人500円)と、学校の給食がない春休み、夏休み、冬休みや土曜日の昼食(誰でも300円)を提供。休みは日曜と祝日だ。利用者は月に200人前後、大人と子どもが半々、親子連れが多い。(朝日新聞)

加須市では18年7月、「子ども食堂応援隊」という市民グループが結成された。活動の柱は、生活困窮の子育て世帯への食糧の無料配布で、フードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」寄贈の食品を19年1月から100世帯に配布する予定。(埼玉新聞)

「こども食堂」の名が使われ始めたのは12年。東京都大田区の蓮沼駅前の「気まぐれ八百屋だんだん」の一角に設置されたのが最初だという。豊島区要町に13年に「要町あさやけ子ども食堂」が開店、その活動が14年4月NHKの情報番組「あさイチ」で紹介されたのを機に、全国に広がった。

「子ども」の字は「こども」とも書き、さまざまで統一されていない。

 

 

 

 


児童虐待通告数 埼玉は全国2番目

2018年12月26日 17時19分34秒 | 県全般

児童虐待通告 埼玉県は全国2番目

新聞やテレビのニュースを見ていて、最も心が痛むのは児童虐待に関するものである。虐待の疑いがあると警察が児童相談所に通告した数が本県は大阪府についで全国2位だというから驚く。

18年12月14日さいたま地裁で、桶川市のマンションで17年10月、1歳1か月の3男に十分に食事を与えず死亡させ、保護責任者遺棄致死罪に問われた夫婦(各25歳)にいずれも懲役6年が言い渡された。

暴力などの積極的な虐待はなく、経済的に困っていたとか、世話をする時間がないなどという事情もなく、「育児よりもゲームなどで遊ぶことを優先させたことに同情の余地はない」と裁判長は述べた。夫は出会い系サイトに熱中、妻はパソコンのオンラインゲームにはまっていた。

このため赤ちゃんがやせ細っているのを認識していたのに、約1か月十分な食事を与えなかった。発見時の3男は標準体重の半分以下の約3.8kg、身長は約15cm低い約60cmしかなかったという。

同月5日には同地裁越谷支部で、草加市の自宅で18年真冬の1月13~14日の午後5時ごろから約20時間、当時0歳の長女をトイレに放置し、左足の指が脱落する両足凍傷などのけがを負わせたほか、17年11月中旬から18年1月15日の間に、頭をなぐったり、右腕を両手でつかんでひねったりして、頭の骨折など2か月のけがをさせて保護責任者遺棄致傷と障害の罪に問われた母親(25)に懲役2年が言い渡された。

「長女の成長が遅く、手がかかることにいら立ち、鳴き声への苦情などで責められていると感じて、17年10月頃から常習的な虐待を加えるようになり、いずれもその一環である」と裁判長は述べた。

この2例は、ほんの一部に過ぎず、警察庁のまとめでは18年1~6月の半年間に虐待を受けている疑いがあるとして警察が児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは3万7113人(17年は6万5431人)に上る。

都道府県別では、大阪が最多の5150人(同9305人)で、埼玉が4752人(同7980人)、神奈川の3721人(同6185人)と続く。

4752人は前年同期より1121人多く、統計のある11年から7年連続で増加し、過去最多だった。

虐待の内容別では、子どもの前で家族に暴力をふるう面前DV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)を含む心理的虐待が71%、桶川市のような育児放棄(ネグレクト)などの怠慢・拒否が15%、殴るなどの身体的虐待が14%、性的虐待が0.1%と続いている。

一方、県こども安全課によると、17年度に児童虐待が疑われるとして、県の児童相談所に寄せられた通告は、警察からの通告も含めて1万3393件で、児童虐待防止法が施行された2000年度以降最多を更新した。

このうち警察からの通告は9075件で、全体の67.8%。このうち6375件が心理的虐待だった。通告後の対応は、事態が深刻なため親子を引き離す「施設入所・里親委託」は228件(1.7%)だった。

県は17年6月、県警やさいたま市と児童虐待の情報共有範囲を拡大する協定を締結、18年8月から虐待情報全件を県警と共有する方針を打ち出し、早期対応に力を入れている。

まだ余り知られていないが、全国共通で24時間、近くの児童相談所につながる電話(189=いちはやく)があり、虐待の通告や相談に対応してくれる。