県内でも広がる「子ども食堂」
経済的格差の拡大で、子どもの7人に1人(ひとり親世帯では2人に1人)が相対的貧困状態にある日本で、他の国に後れをとってはいるものの、無料または低額の「子ども食堂」の設置が全国的な広がりを見せている。本県でもボランティア団体やNPO法人、それに県福祉部などが官民共同で設置の運動を進めようとしている。
県福祉部少子政策課が18年8月末時点で、実態調査したところ、全63市町村のうち43市町村123か所だ。17年同時期の初めての調査では、32市町村76か所だったので、約1.6倍に増加していた。
市町村別で見ると、さいたま市が最も多く15か所、ついで川口市の13か所、所沢市9か所、上尾・越谷市6か所の順だった。
対象者は、子どもや経済的に困難な人などに限定せず、「誰でも」が65.5%、「子どもと保護者」が10.9%、「子どもだけ」が1.7%と続いた。
開くのは、全体の83%が「定期開催」、月1回が最も多く52か所、月2回が21か所、週1回が14か所。週5回以上も6か所あった。」
子ども食堂以外に無料の学習支援施設、子どもが自由に遊べるプレイパークなどの「子どもの居場所」を含めると計164か所だった。
県は、公開の承諾が得られたところの一覧表をホームページに公開している。また、「子ども食堂フォーラム~広げよう~子どもの居場所」というフォーラムを開いている。
少子政策課には「こども応援ネットワーク埼玉」を県内の発起人とともに立ち上げていて、貧困家庭の子どもが大人になって再び貧困になる「貧困の連鎖」に関する情報を発信している。
生活保護を受けている家庭で育った子どもの4分の1は、質の高い教育が受けられず、結果として仕事に就けないケースも多く、大人になって再び生活保護を受けている。
「このことに気づいたのは本県の職員で、県が中心になって、生活保護者世帯の子どものための「学びの場」を運営し、高校進学に向けた支援を開始、この動きが国にも認められ、その後、生活困窮者自立支援法が成立、全国規模で実施されている」と知事は29年2月号の「知事コラム」に書いている。
17年3月に開かれた「志木のまいにち子ども食堂」では、ほとんど毎日食事を出している。月曜日から土曜日の夕食(小学生300円、大人500円)と、学校の給食がない春休み、夏休み、冬休みや土曜日の昼食(誰でも300円)を提供。休みは日曜と祝日だ。利用者は月に200人前後、大人と子どもが半々、親子連れが多い。(朝日新聞)
加須市では18年7月、「子ども食堂応援隊」という市民グループが結成された。活動の柱は、生活困窮の子育て世帯への食糧の無料配布で、フードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」寄贈の食品を19年1月から100世帯に配布する予定。(埼玉新聞)
「こども食堂」の名が使われ始めたのは12年。東京都大田区の蓮沼駅前の「気まぐれ八百屋だんだん」の一角に設置されたのが最初だという。豊島区要町に13年に「要町あさやけ子ども食堂」が開店、その活動が14年4月NHKの情報番組「あさイチ」で紹介されたのを機に、全国に広がった。
「子ども」の字は「こども」とも書き、さまざまで統一されていない。