改訂しました。
員 イン・エン・かず 口部
口のまるい鼎(かなえ)(「鼎の物語・弦紋鼎」より)
解字 食物を煮炊きする祭器である鼎(かなえ)の上に口(くち)の円いことを示す〇形を加え、まるい鼎であることを示した象形。まるい意で使われた。また、鼎の数をかぞえるのに用いたことから、員数(人や物の数)の意となった。篆文以降、鼎の部分が貝に変化した。また、上の〇形は横長の口になった。員を音符に含む字は、「かなえ」「まるい」イメージを持つ。
意味 (1)かず(員)。人や物のかず。「員数インズウ」「員外インガイ」 (2)まるい(=円)。「方員ホウエン」(四角と、まる) (3)一定の枠のなかにはいる人。「職員ショクイン」「定員テイイン」「冗員ジョウイン」(余った人員) (3)はば。まわり。周囲。「幅員フクイン」
イメージ
「かなえ」(員・損)
かなえの口が「まるい」(円・磒・隕・殞)
「形声字」(韻)
音の変化 イン:員・磒・隕・殞・韻 エン:円[圓] ソン:損
かなえ
損 ソン・そこなう・そこねる 扌部
解字 「扌(て)+員(かなえ)」の会意。[説文解字]は「減る也(なり)。手に従い員(ソン)の聲(声)」とし減る意とする。手で員(かなえ)の中の水を減らすこと。[康熙コウキ字典]に「損は下(さが)り益は上(あが)る」(「易・損卦」)とあり、員(かなえ)の水が下がれば損となり、皿(上に開いた円いうつわ)の水があふれると益エキ(皿の水があふれる形)とする。当初は減らす意を言ったが、転じて、利益を失う⇒そこなう・そこねる意となった。現在は損なう意が主流となっている。
覚え方 扌(て)で員(かなえ)の足を損(そこ)なう。
意味 (1)そこなう(損なう)。そこねる(損ねる)。「破損ハソン」「損害ソンガイ」 (2)減らす。「減損ゲンソン」(へること。へらすこと。減も損も減る意) (3)利益を失う。「損得ソントク」「損益ソンエキ」
まるい
円[圓] エン・まるい・つぶら・まどか 冂部けいがまえ
解字 旧字は圓で「囗(かこい)+員(まるい)」 の会意形声。まるい囲いの意で、まるい意。新字体の円は、平安時代に僧侶のあいだで使われた、囗(かこい)の中の員をタテ棒で表す略字第一字に起源をもつ。中のタテ棒が時代とともに短くなり、それにつれて下の横線も上がってきた。明治になって通貨の単位に圓エンが採用されたことから略字の需要が増大し、大正・昭和初期には、下の横線が半分近くまで上がった第二字が簡易字体として認められ、第二次大戦後に当用漢字として正式に現在の円の字体が公認された。[笹原宏之『日本の漢字』]
意味 (1)まるい(円い)。つぶら(円ら)。「円陣エンジン」「円卓エンタク」「円(つぶ)らな瞳」(2)えん(図形)。「円心エンシン」(3)まどか(円か)。まろやか(円やか)。「円満エンマン」(4)あたり。一帯。「一円イチエン」(5)通貨の単位。えん。「円高えんだか」
※円は平面的にまるい「円いテーブル」。丸は立体的にまるい「丸い屋根」。
磒 イン 石部
解字 「石(いし)+員(まるい)」の会意形声。この員は丸い意で、まるい石をいう。
意味 (1)まるい石。 (2)おちる。
隕 イン・おちる 阝部こざと
解字 「阝(おか)+員(=磒。まるい石)」の会意形声。丘から落ちてくる丸い石。石に限らずおちる意となる。
意味 (1)おちる(隕ちる)。ころがりおちる。おとす。「隕墜インツイ」(おちる。隕も墜も、おちる意)「隕星インセイ」(地上におちてきた流星。隕石)「隕石インセキ」(地上におちた流星。大きな流星の燃え残りの石)「隕石孔インセキコウ」(隕石の落下でできた孔) (2)死ぬ(=殞)。
殞 イン・しぬ 歹部
解字 「歹(しぬ)+員(=隕。おちる)」の会意形声。死におちること。
意味 (1)しぬ(殞ぬ)。命をおとす。「殞命インメイ」(死ぬ)「殞身インシン」(死ぬ) (2)おちる(=隕)。
形声字
韻 イン・ひびき 音部
解字 「音(おと)+員(イン)」の形声。インは匀イン(ゆきわたる・ひとしい)に通じ、音がひびいてゆきわたること。また、発音がひとしい(同じ)字の意。「音+匀イン」の韵インは、韻と同字。音符「匀イン」を参照。
意味 (1)ひびき(韻き)。ねいろ。「余韻ヨイン」 (2)詩歌で、句や行に一定の間隔で置く同じ種類の発音の字。また、その音。「韻文インブン」(一定の韻字を句末に用いて調子を整えた文章)「押韻オウイン」(韻をふむこと) (3)おもむき。ようす。「風韻フウイン」
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
員 イン・エン・かず 口部
口のまるい鼎(かなえ)(「鼎の物語・弦紋鼎」より)
解字 食物を煮炊きする祭器である鼎(かなえ)の上に口(くち)の円いことを示す〇形を加え、まるい鼎であることを示した象形。まるい意で使われた。また、鼎の数をかぞえるのに用いたことから、員数(人や物の数)の意となった。篆文以降、鼎の部分が貝に変化した。また、上の〇形は横長の口になった。員を音符に含む字は、「かなえ」「まるい」イメージを持つ。
意味 (1)かず(員)。人や物のかず。「員数インズウ」「員外インガイ」 (2)まるい(=円)。「方員ホウエン」(四角と、まる) (3)一定の枠のなかにはいる人。「職員ショクイン」「定員テイイン」「冗員ジョウイン」(余った人員) (3)はば。まわり。周囲。「幅員フクイン」
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「かなえ」(員・損)
かなえの口が「まるい」(円・磒・隕・殞)
「形声字」(韻)
音の変化 イン:員・磒・隕・殞・韻 エン:円[圓] ソン:損
かなえ
損 ソン・そこなう・そこねる 扌部
解字 「扌(て)+員(かなえ)」の会意。[説文解字]は「減る也(なり)。手に従い員(ソン)の聲(声)」とし減る意とする。手で員(かなえ)の中の水を減らすこと。[康熙コウキ字典]に「損は下(さが)り益は上(あが)る」(「易・損卦」)とあり、員(かなえ)の水が下がれば損となり、皿(上に開いた円いうつわ)の水があふれると益エキ(皿の水があふれる形)とする。当初は減らす意を言ったが、転じて、利益を失う⇒そこなう・そこねる意となった。現在は損なう意が主流となっている。
覚え方 扌(て)で員(かなえ)の足を損(そこ)なう。
意味 (1)そこなう(損なう)。そこねる(損ねる)。「破損ハソン」「損害ソンガイ」 (2)減らす。「減損ゲンソン」(へること。へらすこと。減も損も減る意) (3)利益を失う。「損得ソントク」「損益ソンエキ」
まるい
円[圓] エン・まるい・つぶら・まどか 冂部けいがまえ
解字 旧字は圓で「囗(かこい)+員(まるい)」 の会意形声。まるい囲いの意で、まるい意。新字体の円は、平安時代に僧侶のあいだで使われた、囗(かこい)の中の員をタテ棒で表す略字第一字に起源をもつ。中のタテ棒が時代とともに短くなり、それにつれて下の横線も上がってきた。明治になって通貨の単位に圓エンが採用されたことから略字の需要が増大し、大正・昭和初期には、下の横線が半分近くまで上がった第二字が簡易字体として認められ、第二次大戦後に当用漢字として正式に現在の円の字体が公認された。[笹原宏之『日本の漢字』]
意味 (1)まるい(円い)。つぶら(円ら)。「円陣エンジン」「円卓エンタク」「円(つぶ)らな瞳」(2)えん(図形)。「円心エンシン」(3)まどか(円か)。まろやか(円やか)。「円満エンマン」(4)あたり。一帯。「一円イチエン」(5)通貨の単位。えん。「円高えんだか」
※円は平面的にまるい「円いテーブル」。丸は立体的にまるい「丸い屋根」。
磒 イン 石部
解字 「石(いし)+員(まるい)」の会意形声。この員は丸い意で、まるい石をいう。
意味 (1)まるい石。 (2)おちる。
隕 イン・おちる 阝部こざと
解字 「阝(おか)+員(=磒。まるい石)」の会意形声。丘から落ちてくる丸い石。石に限らずおちる意となる。
意味 (1)おちる(隕ちる)。ころがりおちる。おとす。「隕墜インツイ」(おちる。隕も墜も、おちる意)「隕星インセイ」(地上におちてきた流星。隕石)「隕石インセキ」(地上におちた流星。大きな流星の燃え残りの石)「隕石孔インセキコウ」(隕石の落下でできた孔) (2)死ぬ(=殞)。
殞 イン・しぬ 歹部
解字 「歹(しぬ)+員(=隕。おちる)」の会意形声。死におちること。
意味 (1)しぬ(殞ぬ)。命をおとす。「殞命インメイ」(死ぬ)「殞身インシン」(死ぬ) (2)おちる(=隕)。
形声字
韻 イン・ひびき 音部
解字 「音(おと)+員(イン)」の形声。インは匀イン(ゆきわたる・ひとしい)に通じ、音がひびいてゆきわたること。また、発音がひとしい(同じ)字の意。「音+匀イン」の韵インは、韻と同字。音符「匀イン」を参照。
意味 (1)ひびき(韻き)。ねいろ。「余韻ヨイン」 (2)詩歌で、句や行に一定の間隔で置く同じ種類の発音の字。また、その音。「韻文インブン」(一定の韻字を句末に用いて調子を整えた文章)「押韻オウイン」(韻をふむこと) (3)おもむき。ようす。「風韻フウイン」
<紫色は常用漢字>
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