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漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「乱ラン」 <糸がもつれる> と 「辞ジ」

2022年03月04日 | 漢字の音符
 解字をやり直しました。
[亂] ラン・ロン・みだれる・みだす  乚(乙)部

解字 金文は𤔔ランで、糸かせ(H形)の糸がもつれて、上と下から手でなおそうとしている形の象形。篆文はランで、「H形(糸かせ)+糸+爫(上の手)+又(下の手)」に乚形がついた会意形声。乚形はここでもつれた状態を表しているだけで意味に変わりはない。旧字は上の糸(〇印)がマ、下の糸(〇印)がムに変わったになった。新字体は、旧字「」の左辺⇒「舌」に置き換わった。舌(した)の意味とは関係ない。糸かせの糸がみだれる意となる。
 
現在の糸カセ:正面(左)と側面(右)。正面の取っ手を回して紡いだ糸を巻く。
意外と知らないカセの仕組み 箕輪直子オフィシャルブログより
意味 (1)みだれる(乱れる)。みだす(乱す)。「乱雑ランザツ」「散乱サンラン」「胡乱ウロン」(乱雑であること。胡は、でたらめの意。乱ロンは唐音) (2)さわぎ。いくさ。「動乱ドウラン」「戦乱センラン」 (3)むやみ。やたらと。「乱立ランリツ」「乱獲ランカク

イメージ 
 「もつれる」
(乱・辞)
音の変化  ラン:乱  ジ:辞

もつれる
[辭]ジ・シ・ことば・やめる  辛部

解字 金文第1字は「司(つかさどる・管理する)の異体字+𤔔ラン(もつれた糸を直す形)」で、𤔔ランを司(つかさど)り、糸の乱れが治まった形。第2字は右上に司の略体(口を省いた形)を置いて第1字と同じ意味を表す。篆文第1字は「𤔔ラン+司」の形で金文と同じ構造。第2字は「𤔔ラン+辛シン」となり、司⇒辛に置き換わった。ここで辛シンは発音がジに変化して声符(音符)を表している。新字体は、旧字「」の左辺⇒「舌」に置き換えた辞となった。舌(した)の意味とは関係ない。辞ジ・シは発音が詞に通じるので、ことばの意となり、糸のみだれを解くように言葉を理路整然とならべる意となった。さらに辞令(官職の任免に際して本人に交付する文書)で免官(免職)の辞令から転じて辞任(やめる)という言い方ができた。
意味 (1)ことば(辞)。言語。文章。「辞書ジショ」「辞令ジレイ」「祝辞シュクジ」 (2)やめる(辞める)。ことわる。「辞職ジショク」「固辞コジ」「辞意ジイ」 (3)別れをつげる。「辞世ジセイ」「辞訣ジケツ
<紫色は常用漢字>

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