漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「尋ジン」<左右の手をひろげて長さをはかる>「蕁ジン」「潯ジン」「鱘ジン」

2024年09月04日 | 漢字の音符
 ジン・たずねる・ひろ  寸部 xún

解字 甲骨文字は両手をひろげて、線であらわされた長さを計っている形。たずねる意で、地方や敵対勢力に赴く際に用いられており、地形や敵情を測りながら進むことであろう[甲骨文字辞典]。篆文第一字(六書通)は、右手と左手を合わせた形(上と下が手で、右の口と左の工は真ん中にまとめている)、右手と左手を拡げて長さを計る形を示す。篆文第二字で、計る動作をくりかえす意の彡がつき、下の手⇒寸に変化した形ができて、現代字へとつながる。新字体の尋ジンは、右手(ヨ+口)と左手(工+寸)からなる。(旧字体はヨの右が出る)
 意味は、人が両手をひろげて長さを計ること。また、その長さをいう。物の長さや距離を計ることは、対象をさぐることであるから、さぐる・たずねる・さがす意となる。
意味 (1)たずねる(尋ねる)。さぐる。問いただす。「尋究ジンキュウ」(たずねさぐる)「尋問ジンモン」(たずね問う)「尋花問柳ジンカモンリュウ」(花や柳を尋ねて春の景色を楽しむ)(2)ひろ(尋)。両手を左右に広げた長さ。1尋は8尺(周・春秋・戦国)でメートル換算で180㎝。「千尋ちひろ」(非常に長いこと。また、深いこと)(3)ふつう。なみ。(大人が両手を広げた長さがほぼ同じことから)「尋常ジンジョウ」(ふつう。人並み)「尋常小学校」(明治19年から昭和15年までの日本の初等教育機関の名称)(4)地名。「東尋坊トウジンボウ」(福井県北部海岸の険しい海食崖で知られる景勝地)
覚え方 ヨエロ寸スンジン

イメージ
 「長さを計る・両手を拡げた長さ」
(尋・潯・
 「形声字」(蕁)
音の変化  ジン:尋・蕁・潯・鱘
 
長さを計る・両手を拡げた長さ
 ジン・ふち  氵部 xún
解字 「氵(みず)+尋の旧字(長さを計る)」の会意形声。尋は、ここでは水の深さをはかる意で、深さをはかるほど水をたたえたふちをいう。
意味 (1)ふち(潯)。水を深くたたえたふち。ふちの水際。(2)川の名。地名。「潯陽江ジンヨウコウ」(江西省九江市付近を流れる長江の別称)「潯陽ジンヨウ」(江西省九江市の唐代の古称)
 ジン  魚部 xún
解字 「魚(さかな)+尋の旧字(両手を拡げた長さ)」の会意形声。両手を拡げて測るほどの長さがある大きな魚のチョウザメ。
 
チョウザメ(「大紀元新聞網」(Joe Weisner, Jones Sport Fishing)より)
意味 ちょうざめ。「ちょうざめ」。チョウザメ科の硬骨魚の総称。体長は1~2メートル。写真のチョウザメは3メートルある超特大魚。川を遡上して産卵し稚魚は海や湖に戻って成長する。卵はキャビアとして珍重される。蝶鮫とも書く。名前の由来は、体表にある硬いウロコが蝶の形をしていること、全体的な形がサメに似ていることから。

背と側面に蝶形のウロコが見える。(中国のネットから)

形声字
 ジン・シン  艸部  qián・xún
解字 「艸(草)+尋(ジン)」の形声。①ジンという名の草。②「蕁麻ジンマ」に用いられる。
意味 (1)ユリ科の多年草。根茎に解熱作用のある薬草。はなすげ(蕁)。(2)「蕁麻ジンマ」とは、イラクサ科の多年草。いらくさ。茎と葉に細かい刺毛があり、皮膚に当るとチクチクして痛くなる。刺草ともいう。「蕁麻ジンマ・いらくさ」(イラクサ)「蕁麻疹ジンマシン」(皮膚がかゆくなり赤くはれる急性皮膚病。イラクサのトゲに刺されたような皮疹ができることから)
蕁麻の外皮から細縄ができる

①秋に枯れた茎を刈り取り外皮をとりだしたもの。②裂いてから縒って細い縄を作る。細い縄は布を織る繊維の材料となる。アイヌ民族が生活用具として利用していたという。「実はすごいぞ!イラクサ!」より。
<紫色は常用漢字>

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