漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「眔トウ」 <目から涙をながす> と 「鰥カン」

2019年01月12日 | 漢字の音符
 トウ  目部

解字 甲骨文字は目の下に水滴を表す小点を加えており涙を表した文字。仮借して並列を表す助辞[および]などに用いられる[甲骨文字辞典]。金文から「目+水に似た形」になったが、助辞や人名で用いられた。篆文から本来の涙をながす意で用いられる。
意味 (1)なみだ・みおくる (2)およぶ。および。

イメージ  涙をながす(眔・鰥・褱)
音の変化 トウ:眔  カイ(会意):褱  カン(会意):鰥

涙をながす
 カン  魚部
解字 「魚(さかな)+眔(涙をながす)」の会意。同音の鰔カン・鳡カンに通じ、コイ科の淡水魚である大魚のハクレン・ボウウオをいう。『孔叢子』(年代不詳)には「衛人、河に釣り鰥魚カンギョを得たり。其の大なること車に盈(み)つ」とあり。車いっぱいになるほどの大魚だとされる。
 また、鰥は魚が涙をながす形であることから、捕獲された大魚(オス)が群れに戻れずに涙をながすと考え、人に移して「結婚できない男」また「妻を失った老いた男」の意味で使われる。
意味 (1)大魚の名。ハクレン。ボウウオ。「魴鰥ホウカン」(魴ホウという魚を釣りの餌にしたが、見向きもしない大魚の鰥カン) (2)やもお(鰥)。妻のない男。また妻をなくした老いた男。男やもめ。「鰥寡カンカ」(男やもめと女やもめ)「鰥寡孤独カンカコドク」「鰥夫カンフ・やもお=鰥民カンミン」「鰥居カンキョ」(妻を失って一人暮らしする)」
 カイ  衣部
解字 「衣(ころも)+眔(涙を流す)」の会意。衣は上下に分かれている。死者の衣の襟(えり)もとに涙をたれる形。別れを惜しむ意で死者との儀礼を意味する。褱を音符に含む字は、「別れを惜しむ」イメージがある。
意味 なつかしい(=懐)。
参考 音符「褱カイ」へ。 

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