漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「賛 サン」<財貨を差し出して助ける>と「讃サン」「鑽サン」

2018年01月13日 | 漢字の音符
[贊]  サン・たすける  貝部

解字 旧字は贊で「貝(財貨)+兟シン」の会意。兟は先(進む足さき)を二つ並べ「そろって進む」意。それに貝(財貨)を加えた贊サンは、財貨を持ち大勢がそろって進み、相手に差し出すこと。相手を助けて賛成する意となる。転じて、相手をたたえる意ともなる。新字体は旧字の兟⇒夫夫に変化した。夫に変わっても「夫(おとこ)二人が貝(財貨)を差し出してたすける」と解釈することができる。
意味 (1)たすける(賛ける)。力を添える。「賛助サンジョ」「協賛キョウサン」 (2)同意する。「賛成サンセイ」「賛同サンドウ」 (3)ほめる。たたえる(賛える)。「賛美サンビ=讃美)」

イメージ 
 「たたえる」
賛・讃
 旧字のに含まれる兟シンの意である「先へ進む」
音の変化  サン:賛・讃・鑽

たたえる
讃[讚] サン・ほめる・たたえる  言部
解字 旧字は讚で「言(ことば)+贊(たたえる)」の会意形声。言葉で相手をたたえること。人名用漢字であり新字体に準じ、賛を用いた讃が通用する。また、現代表記では賛に置き換えるものが多い。
意味 (1)ほめる(讃める)。たたえる(讃える)。「讃美サンビ=賛美」「賞讃ショウサン=賞賛」「画讃ガサン=画賛」(絵などに書き添える詩や文) (2)仏の功徳をほめたたえる言葉。「和讃ワサン」(和語で讃える)「梵讃ボンサン」(梵語で讃える。仏教の声明ショウミョウのひとつ) (3)地名。「讃岐さぬき」(香川県の旧国名=讃州サンシュウ

先に進む
鑽(鑚) サン・きり・きる  金部
解字 「金(金属)+贊(先へ進む)」の会意形声。先へ進んで穴をあける金属の工具。鑚は新字体に準じた異体字。
意味 (1)きり()。錐スイとも書く。物に穴をあける工具。 (2)きる(る)。きりもみする。ほる。うがつ。「(き)り火」(きりもみした熱で起こした火)「鑽灼サンシャク」(鑽はうがつ、灼は焼く。穴をうがって焼くこと。占いのため亀甲に穴をうがって焼くこと) (3)物事を深くきわめる。「研鑽ケンサン」(研究。学問など深くきわめる)

攢 サン・あつめる  扌部
解字 「扌(て)+贊(先へ進む)」の会意形声。

纘 サン・つぐ  糸部
解字 「糸(いと)+贊(先へ進む)」の会意形声。[説文解字]は「繼(つ)ぐ也(なり)。糸に従い贊サンの聲(声)とする。
意味 (1)つぐ(纘ぐ)。つづく。うけつぐ。「纘業サンギョウ」(前人の業をつぐ)「纘継サンケイ」(受け継ぐ) (2)あつめる・よせあつめる。(=攢)「纘述サンジュツ」(あつめのべる)

<紫色は常用漢字>

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