漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「阜フ」<おか> と 部首「阝こざと」

2016年11月01日 | 漢字の音符
 フ・おか  阜部            

解字 甲骨文字には、A 梯子(はしご)の象形と、B 丘をタテに向けた形の二系統がある。後代には両者が混同したが、甲骨文字では使い分けられ、Aは梯子または上昇の象徴、Bは丘陵に関する文字に使われた[甲骨文字小字典]。現代の阜は丘陵の意味で使われる。漢字の部分としては、多く「阝」の形で、こざと偏になる。こざと偏には、梯子と丘の両方の意味がある。
意味 (1)おか(阜)。大きな丘。台地。 (2)大きい。大きくなる。「阜成フセイ」(立派にしあげる) (3)さかん。さかんにする。 (4)多い。豊か。豊かにする。「阜財フザイ」(財産を増やす。また、豊かな財産) (5)地名。「岐阜ギフ」(岐阜県および岐阜市の名称)

イメージ  
 「おか」
(阜・埠)
 「部首として」(阝)
音の変化  フ:阜・埠

おか
 フ・はとば  土部
解字 「土(土)+阜(おか)」の会意形声。土盛りをしたおかの意。転じて、河や海辺に作った人工的な船着き場をいう。
河の埠頭(検索サイトから。原サイトなし)
意味 (1)はとば(埠)。河や海辺に土や石を盛った船着き場。「埠頭フトウ」(港湾内で船をつけて旅客の乗降や荷物の上げ降ろしをする所) (2)つか。おか。

部首として
阝[阜] こざと偏
 上が阜、下が阝こざと
が漢字の左側(偏)に置かれたときの形。篆文まで阜と同じ形をしていたが、隷書(漢代の役人などが主に使用した書体)になって簡略化され、当初三つの丘から、二つの丘の阝に変化した。
  邑ユウ(城壁の中に人が住んでいる意)が右にくる形(旁つくり)も同じく阝おおざとで表されるので、これを人が住む里の意で「おおざと」と呼ぶのに対し、阜が漢字の左側にきた阝は、「こざと偏」と呼んで区別している。「こざと」は里と関係なく、本来の意味である丘や山の意、壁や土塁の意。また、ハシゴ(梯子)の意などで用いられる。
  阝こざと偏は、常用漢字で30字(19位)、約14,600字を収録する『新漢語林』では121字が収録されている。主な字は以下のとおり。
丘や山の意
  阻(阝+音符「且」)・障ショウ(阝+音符「章ショウ」)・陵リョウ(阝+音符「夌リョウ」)
  陽ヨウ(阝+音符「昜ヨウ」)・隅グウ(阝+音符「禺グウ」)・陶トウ(阝+音符「匋トウ」)
土壁や土塁
  院イン(阝+音符「完カン」)・隣リン(阝+音符「粦リン」)・隙ゲキ(阝+小+日+小の会意)
ハシゴ・階段の意
  降コウ(阝+音符「夅コウ」)・限ゲン(阝+音符「艮コン」)・階カイ(阝+音符「皆カイ
  際サイ(阝+音符「祭サイ」)・陳チン(阝+東の会意)・陥カン(阝+音符「臽カン」)
<紫色は常用漢字>

                バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。


            
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