漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「定テイ」<さだめる>と「錠ジョウ」「綻タン」

2020年09月22日 | 漢字の音符
 テイ・ジョウ・さだめる・さだまる・さだか  宀部  

解字 甲骨文・金文は、「宀(たてもの)+正(都邑を攻撃し支配する)」 の会意。宀は宇(宇内=天下)の意。正は甲骨文で分かるように「口(城郭)+止(あしで進む)」で、城郭に向かって進撃し都邑を征服・支配すること。定は、天下を征服・支配し、世の中がおさまること。ゆるぎなく維持される状態を固定することから、さだまる、安定する意となる。現代字は正の下部が龰に変化した。
意味 (1)さだめる(定める)。さだまる(定まる)。きめる。「決定ケッテイ」「定員テイイン」 (2)落ち着く「安定アンテイ」 (3)さだめ。「規定キテイ」 (4)きっと。必ず。「必定ヒツジョウ

イメージ 
 「さだめる」
(定・掟) 
 「安定する・固定する」(碇・淀・錠)
 「形声字」(綻)
音の変化  テイ:定・掟・碇  テン:淀  ジョウ:錠  タン:綻

さだめる
 テイ・ジョウ・おきて  扌部
解字 「扌(て)+定(さだめ)」の会意形声。さだめを書いた紙や札を手で張り出したり立てること。公にされた、さだめ・きまりのこと。
意味 おきて(掟)。きまり。さだめ。「天掟テンテイ」(天のおきて)
<国字> ジョウ・おおせ 言部
解字 「言(ことば)+定(さだめ)」の会意。定めを言葉で表すこと。
意味 (1)おおせ(諚)。上からの命令。「勅諚チョクジョウ」(天皇のおおせ。みことのり)「御諚オンジョウ」 (2)おきて(掟)

安定する・固定する
 テイ・いかり  石部
解字 「石(いし)+定(安定する)」の会意形声。縄をつけた木の枝に石を括り付けて沈め、舟の位置を安定させるイカリ。金属製のイカリは錨ビョウという。
意味 (1)いかり(碇)。 (2)いかりを下ろす。舟をとめる。「碇泊テイハク
 テン・デン・よど・よどむ  氵部
解字 「氵(水)+定(安定する)」の会意形声。水が早く流れずに、よどむこと。※中国では浅い湖の意。多く地名に用いられる。
意味 よど(淀)。よどみ(淀み)。よどむ(淀む)。「淀川よどがわ」(琵琶湖から流れ出て京都盆地をへて大阪湾に注ぐ川。上流を瀬田川、宇治から淀までを宇治川という)「淀舟よどぶね」(淀川を往来し人や荷物を運んだ舟)
 ジョウ  金部
解字 「金(金属)+定(固定する)」の会意形声。つぎ目に流し込んで固定する錫(すず)などの金属をいう。また、固まったつぶ銀をいう。転じて、つぶ形の薬。日本では扉を固定する金具の意で、錠前(ジョウまえ)の意に用いる。
意味 (1)丸く固めた薬。「錠剤ジョウザイ」 (2)[国]じょうまえ。「施錠セジョウ」「手錠テジョウ
<国字> しかと  耳部
解字 「耳(みみ)+定(固定する)」の会意。耳で聞いて忘れないこと。
意味 しかと(聢と)。たしかに。しっかりと。まちがいなく。確と。「聢と頼んだぞ」

形声字
 タン・ほころびる  糸部
解字 「糸(布)+定(タン)」の形声。タンは旦タン([日が]あらわれる)・袒タン(はだぬぐ・ほころびる)に通じ、布が破れて中味が外にあらわれる意。花の咲く意にも用いる。
意味 (1)ほころびる(綻びる)。「破綻ハタン」(やぶれほころびる) (2)花がほころびる。「紅綻コウタン」  <参考>[中国]「綻放タンホウ」(花火が開く)
<紫色は常用漢字>

コメント
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