同 ドウ・おなじ 口部
解字 甲骨文・金文は「凡(盤=容器)+口(まるい口)」の会意。凡は甲骨・金文の形から板製の角ばった水槽などの象形と考えられ、容器の意。これに口のついた同は、まるい筒型の容器と考えられる。しかし、甲骨文字は祭祀名・地名で、金文は人名。[字統]は、この容器が酒杯と考えられ、この字を含む興キョウ・コウが多くの人の手で同を持ち上げる形であり「集まった者同士が酒杯を交わして一体となる儀礼に用いる。この儀礼の参加者が合一して一体となるのが原義。一体となることから、同じ・ひとしい意となった」としており、興の字が成立した春秋・戦国以後にこの意味が成立したものと思われる。同を音符に含む字は、同が筒型の酒器であることから、「筒の形」「穴があく」イメージがある。
意味 (1)おなじ(同じ)。ひとしい。「同一ドウイツ」「同窓ドウソウ」 (2)ともにする。一緒に。「共同キョウドウ」「同伴ドウハン」 (3)あつまる。「会同カイドウ」 (4)さかずき。
イメージ
「同じ・同一」(同・銅)
同が筒型の酒器であることから「つつの形」(筒・胴)
筒型の酒器は「穴があいている」(洞・桐・恫)
音の変化 ドウ:同・胴・洞・銅・恫 トウ:筒・桐
同じ・同一
銅 ドウ・あかがね 金部
解字 「金(黄金)+同(同じ)」の会意形声。金は当初、銅(青銅)の意味で使われた。青銅(銅と錫の合金)は本来、淡い金色をしており当時の最高級の金属原料であった。のち、鉄や金銀の加工技術が普及し、「金」は、金属の総称、また黄金を指して使われるようになったので、銅を表すため金に同をつけた銅が作られた。意味は、黄金と同じような色をしている銅(青銅)を表す。多くの銅鉱石は錫を同時に含むので自然に青銅が得られた。のち、精錬技術が発展し純度の高い銅がつくられると、あかがねと呼ばれるようになった。[甲骨文字小字典]
意味 どう(銅)。あかがね(銅)。「銅貨ドウカ」「銅銭ドウセン」「銅鐸ドウタク」「赤銅シャクドウ」
※こがね(黄金)・しろがね(白金=銀)・くろがね(鉄)・あかがね(銅)
つつの形
筒 トウ・つつ 竹部
解字 「竹+同(つつの形)」の会意形声。中が中空になっている竹のつつ。
意味 (1)竹のくだ。「竹筒たけづつ」 (2)中がうつろの円柱。「水筒スイトウ」「煙筒エントウ」(=煙突) (3)[国]つつ(筒)。銃身または砲身。鉄砲または大砲。「大筒おおづつ」、楽器の中空の部分。「太鼓の胴どう」
胴 ドウ 月部にく
解字 「月(からだ)+同(つつの形)」の会意形声。身体の筒のかたちの部分。
意味 (1)首・手足を除いた体の中央の部分。「胴体ドウタイ」「胴上(どうあ)げ」 (2)物の中央の太い部分。物事の中央。「胴元ドウもと」
穴があいている
洞 ドウ・ほら 氵部
解字 「氵(水)+同(穴があいている)」の会意形声。水が大地の中を流れて造りだした穴。
意味 (1)ほら(洞)。ほら穴。「洞窟ドウクツ」「洞穴ドウケツ」「空洞クウドウ」 (2)つらぬく。見とおす。「洞察ドウサツ」
桐 トウ・ドウ・きり 木部
中心に穴があいている桐丸太
解字 「木(き)+同(穴がある)」の会意形声。幹の中心部に穴があき空洞となる木。桐の木の中心部は必ず穴があいて空洞となっている。この解字は桐の木に穴があることからの私見であるが、覚え方として掲載した。しかし、漢字を作った人が桐の木の穴を自覚していたのか疑問である。「説文通訓定聲」(清代)に「その材は琴瑟キンシツ(琴と大琴)に適する」とあることから、筒型の楽器である琴(日本で箏ソウとも)の材料に用いられる木の意味であろう。因みに中国の琴の説明に「桐木等を用いて制成する」とあり、日本では箏の説明に「箏は桐の木をくり抜いた、上下からなる箱状の楽器(要旨)」(ウィキペディア)としている。
意味 (1)きり(桐)。ゴマノハグサ科の落葉高木。成長が早く材は軽い。湿気を通さず、割れや狂いが少ないという特徴があり、家具などの木材として重宝される。「桐箪笥きりダンス」「桐油トウユ」(アブラギリの種からとる油)「桐花紋トウカモン」(桐の花を意匠化した家紋) (2)あおぎり。
恫 ドウ・トウ 忄部
解字 「忄(こころ)+同(穴があく)」の会意形声。心に穴があくような状態。心が痛んだり、おそれること。
意味 (1)いたむ。心がいたむ。「恫痛ドウツウ」(かなしみいたむ) (2)おそれる。「恫疑ドウギ」(おそれて疑う) (3)おどす。おどかす。「恫喝ドウカツ」(おどして恐れさせる)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨文・金文は「凡(盤=容器)+口(まるい口)」の会意。凡は甲骨・金文の形から板製の角ばった水槽などの象形と考えられ、容器の意。これに口のついた同は、まるい筒型の容器と考えられる。しかし、甲骨文字は祭祀名・地名で、金文は人名。[字統]は、この容器が酒杯と考えられ、この字を含む興キョウ・コウが多くの人の手で同を持ち上げる形であり「集まった者同士が酒杯を交わして一体となる儀礼に用いる。この儀礼の参加者が合一して一体となるのが原義。一体となることから、同じ・ひとしい意となった」としており、興の字が成立した春秋・戦国以後にこの意味が成立したものと思われる。同を音符に含む字は、同が筒型の酒器であることから、「筒の形」「穴があく」イメージがある。
意味 (1)おなじ(同じ)。ひとしい。「同一ドウイツ」「同窓ドウソウ」 (2)ともにする。一緒に。「共同キョウドウ」「同伴ドウハン」 (3)あつまる。「会同カイドウ」 (4)さかずき。
イメージ
「同じ・同一」(同・銅)
同が筒型の酒器であることから「つつの形」(筒・胴)
筒型の酒器は「穴があいている」(洞・桐・恫)
音の変化 ドウ:同・胴・洞・銅・恫 トウ:筒・桐
同じ・同一
銅 ドウ・あかがね 金部
解字 「金(黄金)+同(同じ)」の会意形声。金は当初、銅(青銅)の意味で使われた。青銅(銅と錫の合金)は本来、淡い金色をしており当時の最高級の金属原料であった。のち、鉄や金銀の加工技術が普及し、「金」は、金属の総称、また黄金を指して使われるようになったので、銅を表すため金に同をつけた銅が作られた。意味は、黄金と同じような色をしている銅(青銅)を表す。多くの銅鉱石は錫を同時に含むので自然に青銅が得られた。のち、精錬技術が発展し純度の高い銅がつくられると、あかがねと呼ばれるようになった。[甲骨文字小字典]
意味 どう(銅)。あかがね(銅)。「銅貨ドウカ」「銅銭ドウセン」「銅鐸ドウタク」「赤銅シャクドウ」
※こがね(黄金)・しろがね(白金=銀)・くろがね(鉄)・あかがね(銅)
つつの形
筒 トウ・つつ 竹部
解字 「竹+同(つつの形)」の会意形声。中が中空になっている竹のつつ。
意味 (1)竹のくだ。「竹筒たけづつ」 (2)中がうつろの円柱。「水筒スイトウ」「煙筒エントウ」(=煙突) (3)[国]つつ(筒)。銃身または砲身。鉄砲または大砲。「大筒おおづつ」、楽器の中空の部分。「太鼓の胴どう」
胴 ドウ 月部にく
解字 「月(からだ)+同(つつの形)」の会意形声。身体の筒のかたちの部分。
意味 (1)首・手足を除いた体の中央の部分。「胴体ドウタイ」「胴上(どうあ)げ」 (2)物の中央の太い部分。物事の中央。「胴元ドウもと」
穴があいている
洞 ドウ・ほら 氵部
解字 「氵(水)+同(穴があいている)」の会意形声。水が大地の中を流れて造りだした穴。
意味 (1)ほら(洞)。ほら穴。「洞窟ドウクツ」「洞穴ドウケツ」「空洞クウドウ」 (2)つらぬく。見とおす。「洞察ドウサツ」
桐 トウ・ドウ・きり 木部
中心に穴があいている桐丸太
解字 「木(き)+同(穴がある)」の会意形声。幹の中心部に穴があき空洞となる木。桐の木の中心部は必ず穴があいて空洞となっている。この解字は桐の木に穴があることからの私見であるが、覚え方として掲載した。しかし、漢字を作った人が桐の木の穴を自覚していたのか疑問である。「説文通訓定聲」(清代)に「その材は琴瑟キンシツ(琴と大琴)に適する」とあることから、筒型の楽器である琴(日本で箏ソウとも)の材料に用いられる木の意味であろう。因みに中国の琴の説明に「桐木等を用いて制成する」とあり、日本では箏の説明に「箏は桐の木をくり抜いた、上下からなる箱状の楽器(要旨)」(ウィキペディア)としている。
意味 (1)きり(桐)。ゴマノハグサ科の落葉高木。成長が早く材は軽い。湿気を通さず、割れや狂いが少ないという特徴があり、家具などの木材として重宝される。「桐箪笥きりダンス」「桐油トウユ」(アブラギリの種からとる油)「桐花紋トウカモン」(桐の花を意匠化した家紋) (2)あおぎり。
恫 ドウ・トウ 忄部
解字 「忄(こころ)+同(穴があく)」の会意形声。心に穴があくような状態。心が痛んだり、おそれること。
意味 (1)いたむ。心がいたむ。「恫痛ドウツウ」(かなしみいたむ) (2)おそれる。「恫疑ドウギ」(おそれて疑う) (3)おどす。おどかす。「恫喝ドウカツ」(おどして恐れさせる)
<紫色は常用漢字>
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