80分の1丁目16番地

ペーパースクラッチによる車両作りを中心に1/80、16.5ミリゲージの鉄道模型を楽しんでいます。

京王線、地下へもぐる(詳報)

2012-08-19 15:47:44 | 実物・資料系(現在)
こんにちは。

今日は、昨日、おとといの天気がうそのように抜けるような青空が広がっています。
3時間ほど寝たおかげでやや復活しましたので、昨晩の地下化切替え工事の詳報をお届けします。

昨晩は22時半頃に車で家を出て調布駅近くのコインパーキングに駐車。あらかじめ目星をつけておいた駐車場はなんと満車で、少し離れた別の場所に何とか入れることが出来ました。のちに国領駅方面へ移動したときに判明したのですが、当夜は工事関係者の車が大量に押し寄せていたようです。

調布駅西端の「調布1号」踏切はこんな時間でも昼間に劣らない人だかり。鉄道ファンだけでなく地元の人も多く訪れているようで携帯などで撮影していました。踏切の中州には京王の関係者が陣取って交通整理中。



近くの公園では作業員を集めて朝礼が行われていました。全体6工区の切替え工事を一夜で同時実施するのに、いったい何人が動員されたのかはかり知れません。



本日最後の営業列車となる相模原線の若葉台行きが0時45分、ほぼ定刻に通過し、国領~調布間の地上線の歴史に幕が下ろされました。ギャラリーから万歳やありがとうなどの声はなく、静かなラストとなりました。



見学場所は数週間前からリサーチしていたのですが、どこも工事区間全体を俯瞰できるような場所はないため、最も線路に近く、住宅地内でギャラリーもあまり多くないであろうと踏んだ相模原線の京王多摩川寄り、第6工区の西側で見ることにしました。ちなみにこの工区の前線本部のすぐ脇です。準備作業が着々と進行中。



作業開始は午前2時との情報を小耳に挟んだので少し京王多摩川寄の工区へ足を運んでみると、ごらんのように多くの人が集まる中、多くの大型クレーンがウォーミングアップをしていました。



本部前に戻り作業開始を待ちます。現場の方から聞いたところ、今夜の工事では仮設の軌道桁=工事桁を持ち上げて固定するところまで行い、後日、それを少しずつ解体していくとのことでした。線路上に作られた門構には工事桁をスライドさせるレールのようなものが見当たらなかったので、先日書いた「STRUM工法」とは違うのかと疑問に思っていたのですが、どうもそのようです。派手に工事桁を引っ張る光景を期待していただけにちょっと残念。。

そうこうしているうちに時刻は午前1時50分、無線が慌ただしく飛び交い、作業開始が近づいたことを知らせてくれます。そして予定より早い午前1時54分、「扛上(こうじょう)開始! 」の合図とともに工事桁の引き上げが始まりました。
頭上の油圧ジャッキがワイヤーロープを静かに引き上げていきます。


線路を支えている工事桁の一部が見え始めました。ジャッキは50cmくらいのストロークで伸びては縮む動作を繰り返しながらワイヤーを引き上げていきます。



数十か所あると思われるジャッキはすべて自動コントロールされているようです。大型モニターには棒グラフのような画像がみえます。作業員が不具合はないかジャッキの動きを注視しています。



午前2時。I型の工事桁が完全に顔を出しました。横に渡してある梁の上まで持ち上げ、固定するようです。



そして午前2時15分、工事桁が完全に梁の上まで顔を出しました。この間かかった時間は約20分。思いのほかスピーディーなのに驚かされます。



横梁を工事桁の下に押し込むため、仮固定してあるボルトを緩めます。



とここでトラブル発生。どうももう一方のボルトが緩まないようです。「どっかにCRC(CRC-556潤滑剤)ないか!?」
刻々と過ぎてゆく時間。周囲に走る緊張・・・


結局、誰かが持ってきた鉄パイプにレンチを差し込み2人がかりで回して事なきを得ましたが、ハラハラした一瞬でした。



無事梁を工事桁の下に押し込みボルトで固定。そして工事桁の斜角に合わせた「テーパープレート」と呼ばれる鉄板を挟み、再びジャッキダウン。(最初「ペーパープレート」って聞こえて、何挟むんだ??ってちょっとびっくりした・・・(^^; )



最後にクランプで固定してかさ上げ作業が無事終了しました。時刻は午前3時10分。作業開始からおよそ1時間15分でした。



持ち上げられた工事桁の下には真新しいコンクリート擁壁とレールが見えていました。



一段落したところで他所を回ってみることに。まずは最も近い京王多摩川方の作業現場へ行ってみると、取り払われた工事桁を片づけているところでした。地下への勾配線にすり付けるためにジャッキダウンした(であろう)区間ではバラストを突き固める音が聞こえています。



ここで第6工区を離れ、西調布方の第5工区へ回ってみました。調布駅への進入待ち列車が長時間停車していた「相模原線調布1号」踏切は、アスファルトでレールが埋められつつありました。



第5工区も第6工区と同じ工法がとられていて、こちらも既に工事桁の扛上が終わっていました。お墓のすぐ脇です。



勾配すり付け区間から撤去されたレール付の工事桁が線路脇の作業スペースに積み重ねられています。



この時間、線路側の締め切り工事は大きな踏切から先に進められているようで、この小さな「調布4号」踏切は遮断かんが撤去され警告灯にカバーがかけられた以外は、まだ手つかずの状態でした。



時刻は午前4時。すでに疲労と眠気がマックスです。やっと「調布1号」踏切に戻ると人影はなく、道路の横断帯などのペイント作業が行われていました。踏切の両サイドはすべて柵が立てられていますが、調布駅を望む一角だけシートがかかっていない場所がありました。うーん、お棺の小窓がパカッと開けられ「それでは最後のお別れです」って言われてるような・・・? (^^;



その調布駅では、平面交差の同時進入を撮ろうと多くの人がたむろしたホーム西端をカットする工事が行われていました。南北をつなぐ暫定の歩行者通路ができるようで、手前側には点字ブロックを貼った舗装路面が出来上がっています。



駅前に行くと既に代行バスの運行が始まっていました。まだ電車の始発時刻前ですが、看板によると既に3時台から運行しているようでした。当然この時間では乗る人もほとんどなくカラのバスが次から次へと・・・



いいかげん疲れたので国領方はパスして帰ろうかと思いつつ、結局車を向けたのは布田、国領方面。旧甲州街道を進むと、もう東の空がうっすら明るくなりかけてきました。そしてこちらもコインパーキングはどこも満車、満車。やっと見つけた国領駅前の24時間営業の西友駐車場に車を入れ、最後見学に向かいます。

国領駅東端の旧「柴崎6号」踏切へ出てみると大変な人だかり。それもそのはず、柴崎方へ向かって工事のようすが一望できる場所だったのです。旧線の工事桁はすべて取り払われ、中央の柱が多数のクレーンで引き上げられているところでした。



続いてもう少し柴崎方の工事開始地点まで行ってみることに。狭い路地を歩いてゆくと、白み始めた空に高々と持ち上げられたクレーンのアームと団地の給水塔のシルエットが浮かびます。



柴崎方の勾配すり付け区間ではバラストの突き固めが行われていました。



それが終わると同時に架線の敷設が開始。すべて分秒刻みで進められていきます。



こちらは線路脇に道路があるため、ここを封鎖して撤去した軌道桁が積み上げられています。溶断したレールの先端には安全のためカバーがかけられています。



時刻は午前5時半。だいぶ日が昇ってきました。国領駅端へ戻ってみると地下へのアプローチ区間の中にあった柱はすべて撤去され、新しい軌道を仕上げる工事が着々と進められていました。



振り返れば朝日に染まった駅前のランドマークタワーがすっくと立ち、新しい京王線、新しい調布のまちの幕開けを見届けているようでした。




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2 コメント

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お疲れ様でした (ぐりれ)
2012-08-25 07:42:04
切り替え工事の詳報、ありがとうございます。

線路切替の様子が良く分かりました。
読んでいると、ウチの子供らが小さいときにプラレールで、電車を走らせながら、さっとレールを繋ぎかえて線路網を拡張していったことを思い出しました。
この工法を思いついた方もまさかプラレールにヒントを得た!?なんて想像しながら読ませていただきました。
次は東急・代官山の切り替えですか?
工事は来年3月15日(金)の夜になると思いますが、見学者も多そうだし、見学場所も限られそうですね。
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Re: お疲れ様でした (isao)
2012-08-25 09:16:45
ぐりれさん、こんにちは。
プラレールってレール+枕木+道床のユニットじゃないですか。それを一気に持ちあげるという点では似てるかも知れませんね。
ただそれが広い床の上でできるかできないかの違いかも。
住宅が接近している西調布方と京王多摩川方のトンネル出口の上には、まだ持ちあげたままの工事桁が残っていて、これいつ解体するんだ?状態です。

> 工事は来年3月15日(金)の夜になると思いますが
ご存じとは思いますが一番忙しい時期ですわ(笑) 見学は仕事の状況いかんですね。
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