以前、プランのところで書きましたが、今回のレイアウト改修では「鳥沢ライクな鉄橋」を出現させようともくろんでいます。昨日クルマで遠出したついでに実物を取材してきました。
中央本線鳥沢~猿橋間に架かる全長513mの、正式名称「新桂川橋梁」がそれであります。実際は左側に続く合成桁部分も含めて513mですが、今回主に見たのはこの3径間連続上路式ワーレントラス橋部分270mです。列車のいない鉄橋単体の撮影って。。(笑)
なので一応列車も撮りましたが付け足し感丸出し。あっという間にヌシとなったE353系が高速で駆け抜けていきます。
E233系は割とよく見かける印象。まあ大月まではフル編成でフツーに入ってきますもんね。。
211系を下からアップで。しかもトリミングしてさらにぐぐっと寄せてみました。
そう。今日は一応「取材」なので直下や真横からも撮っています。鉄橋と並行して道路が1本あるのですが、最初そこから見上げて撮ったらこんなことに!何が何やらワカラン。。帰ってからじっくり見たら、まあこれはこれで色んな情報が詰まってたんですけど。
現物を見るまではプラかヒノキ材でパパっと作っちゃおうと思ってたんですが、いざ現物のディティールをまじまじと見てしまうと手が止まります。車両製作と同じですね。これはいけませんねー、、色んな意味でヤバすぎる・・・!
今回なんでわざわざ現物を見に行ったかというと、ネット写真などを見ていてトラスの構造とか部材が、割とワンパターンじゃなくて複雑に見えたからなんです。
例えばこの写真をじっくり見ていただくと分かるんですが、トラスの斜めの部材(斜材又は弦材ともいう)が箱型のものとH型鋼のものがあります。そしてX型の筋交いも同じ方向の斜材にしか付いていません。もっというと、ガセットプレートと呼ばれる部材同士を連結する当て板や、そこに刺さったボルトの数もいくつかパターンがあって、さらにもっと目を細めてみると、遠目には同じに見えた斜材の太さも一様ではありませんでした。。
これは大変なことになった・・・とアワアワし始めたところで、大昔に勉強した構造力学の教科書(というか今ではネットに山ほど転がってる記事)で勉強し直してみると問題は氷解しました。
トラス構造は各部材に「圧縮」と「引張」の力が加わる、という基本を忘れてました。圧縮力が加わる部材は箱状にして、さらにX型の筋交いを入れて「座屈」現象を抑止しているのでした。一方の引張力が加わる部材は、必要な強度を確保したうえでH型鋼でスマートに設計、ということのようです。
これは河床の真上にある中央径間のさらに中央部分ですが、筋交いのある圧縮部材が両側からハの字に組み合わされています。ここから左右に同じパターンが続いていて、橋脚から外側の台形状のトラス橋部分ではこのパターンが反転。複雑に見えても構造を理解したら実は割と単純なカタチなのでした。やっぱり実地学習は重要よね。
ということですが、わが「鳥沢ライクな鉄橋」はあくまでライクなのでこんな形になりました。長さで1/270、中央部分の桁高さで1/120になっています。高さ方向を等倍に縮めてしまうと車両とのバランスがおかしくなって迫力に欠けてしまうので、なるべく1/80に近い縮率にしてあります。あとは斜材の箱型とH型を作り分けるかどうか、材料はヒノキ材をメインに使うつもりですがEH200やEF64重連に果たして耐えられるのか・・・などなど、検証すべき課題が山積しております。
新しいように見えて実はこの橋が建設されたのは1967年~68年とけっこう古いです。当時の国鉄線では、長さ、高さとも随一の規模だったとか。設計や用地買収に時間がかかり実際の建設期間はかなり圧縮されたそうです。設計には電子計算機(コンピュータと言わないところが時代を感じます)を駆使し、施工にも当時最新の技術を導入して見事に完成されたこの雄姿は、半世紀を経た今も決して色あせていませんね。
ところで新桂川橋梁の設計に当たってはこんな複数案が検討されたそうです。もしコンクリートや鉄骨のアーチ橋が採用されていたら、今よりもっと強力な「映え」スポットになっていたことでしょう。
※石崎・柳沢「中央本線鳥沢・猿橋間新桂川橋梁の設計施工について」(コンクリート・ジャーナル Vol.7,No.6,June1969)より引用
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