一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「第二期マイナビ女子オープン・就位式」に行ってきた

2009-09-17 00:30:09 | 将棋イベント
16日(水)は、毎日コミュニケーションズ本社にて「第二期 マイナビ女子オープン 女王就位式」が執り行われた。女流棋戦の就位式は、女流棋士も多く参加し、華やかでよい。私も図々しく出席させていただいた。
会場は、7月に第3期一斉予選が行われた「マイナビルームA」である。悲喜こもごもの激闘が懐かしくもあり、切なくもある。
私は任意の席にすわる。このとき、「もうひとつ左の席にすわれ」と天の声がしたが、空耳だろう、と無視する。
定刻の午後6時を4分ほど過ぎたころ、司会者の合図で大扉が開かれ、矢内理絵子女王が登場した。昨年は2,000万円のティアラを挿した水色のドレスだったが、今年は趣を変えて、桃色のきものでの、おでましである。
桃色…。私は夏以降、この色にビクビクしているのだが、矢内女王のそれはあでやかで、素晴らしい。洋装と和装、両方似合う女性はなかなかいない。その点、矢内女王はどちらも見事に着こなしている。表情は穏やかで、しっとりと大人の香りがする。心身ともに充実しているのだな、と思う。
式次第にのっとり、毎日コミュニケーションズ代表取締役社長・中川信行氏、日本将棋連盟会長・米長邦雄永世棋聖の挨拶が続く。中川社長は、女流棋士を見守る温かい心、米長会長は、毎コミへの感謝の念が感じられた。
続いてLPSA代表理事、中井広恵女流六段の挨拶である。その途次、私の前の席のふたつ左に、フワッといった感じで、髪の長い美少女が着席した。午後6時14分だった。
あれ? いまのは…や、やま、山口恵梨子ちゃん…? いやまさか…女流棋士会の女流棋士は後方の席などに固まっていた。彼女がここにすわるわけがない。
しかし…あのスタイルは、3月に指された挑戦者決定戦の控室で拝見した姿と寸分変わらない。でも彼女、あんなに髪が長かったろうか。私が「LADIES HOLLY CUP」やマイナビ予選で彼女を観賞してから、かなり時間が経っている。あれから髪が伸びればそんなものだろうか。
ああー、せめて私がもうひとつ左の席にすわっていれば、絶好の位置で彼女を観察できたのに…。いま、☗6九金が私の席とするならば、彼女は☗8八角に居る。私が☗7九銀だったら………と、激しく後悔する。やはり「天の声」に従うべきだったのだ。
周りではテレビカメラも回っており、あからさまに首を曲げて確認するわけにはいかない。仕方がないから、首は固定したまま、目玉だけを動かす。しかし私は何をやってるのだろう。これじゃあ変質者ではないか。
中井女流六段の挨拶は、もう耳に入らない。ただ、挑戦者の岩根忍女流二段の妊娠、出産に際して、毎コミが最大限の配慮をしてくれたことに、同じ女性として心から感謝しています、という趣旨を述べたような気がする。
やがて中井女流六段の挨拶も終わり、その少女が拍手をする。恵梨子ちゃんは、あんな指だったかなぁ、と思う。
チッ、この角度からなら、船戸陽子女流二段だって、中倉宏美女流二段だって分かるのに、なんてこった…。いくら面識がないとはいえ(厳密にはある)、これではファン失格である。
プログラムは滞りなく進み、矢内女王の、五番勝負全3局を客観的に振り返りつつ、岩根女流二段の心情を慮るしっかりとした謝辞が終わると、フォトセッションの時間となった。
そのとき、前方の少女がこちらを見た!

山口恵梨子ちゃんだった!!

やっぱり、そうだった。彼女は私をチラッと見ると(たぶん気のせい)、どこかをじっと見ていた。
可憐だ…。なんて美しいんだろう、と思う。
「美しくなるには、美しいものを見ること」とは、私が宮古島に行くと必ず泊まる宿の、「元ミス宮古島」の女主人の言葉である。山口恵梨子ちゃんはまだ若い。これから将棋の勉強に励むとともに、もっと美しいものを見て、聴いて、さらに美しくなってほしいと思う。
6時半からは場所をレストランに移して祝賀パーティーである。
桐谷広人六段の姿があったので、挨拶に行く。
「桐谷先生、はじめまして。私、先生が書かれた『歩の玉手箱』を買わせていただきました。毎コミ文庫版のほうですけど、とても参考になりました」
「あ、そうですか。それはありがとうございます」
物腰の柔らかい方だ。桐谷先生とお近づきになりたい、これからお話をしたい、というときに、某氏の祝辞が入り、それは中断してしまった。さらに別の方の乾杯の挨拶と続く。お二方とも、将棋は持久戦が好きと見た。
乾杯が終わると、石橋幸緒女流王位がいらして、「あっちへ行かないの? いますよ」と指をさす。その先には、山口恵梨子女流1級がいた。行って自己紹介したいところだが、私という変質者の存在を知って、彼女に益があるとは思えない。
お互い顔を合わさない。これも「味」である。だからここはグッとこらえておく。
バトルロイヤル風間氏がいる。相変わらず顔が大きい。
「バトル先生、このたびはペンクラブ優秀賞、おめでとうございます」
「おお、ありがとうございます! あさっては…?」
「はい、もちろん伺わせていただきます」
18日には、将棋ペンクラブ大賞の贈呈式があるのだ。
大庭美夏女流1級、藤田麻衣子女流1級が来てくださる。藤田女流1級は、先日の女流王位戦で藤森奈津子女流三段に勝ち、次は山口女流1級との対局となっている。先日の金曜サロンでは、私が山口女流1級を応援するのではと勝手に勘違いして、むくれていた?ようなので、
「藤田先生を応援するに決まってるじゃないですか!」
と言いきっておく。私の心の師匠は真部一男九段だと、以前書いた。では女流棋士の師匠は誰かといえば、それは藤田女流1級である。将棋でも文筆面でも、藤田女流1級に学ぶところは多い。
とにかく、「遠くの第2位より近くの第9位」である。私は、LPSAの現役女流棋士にはすべて指導対局をいただいたが、藤田女流1級の実力はかなり上位と思う。藤田女流1級は、私の顔を見ると何故か闘志がわいてしまうらしいが、それを山口女流1級にぶつければいいのだ。
多田佳子女流四段がいらっしゃる。
「多田先生、髪を紫に染めたのはいつごろからなんですか?」
私が前から気になっていたことを訊くと、
「40代のころからね。この色にするつもりはなかったんだけど、なんとなくね…」
と、穏やかな声で応えてくださる。現役のころから、ハイカラな色に染められていたのだ。ちょっと意外だった。
中井女流六段がいらっしゃる。その表情は明るい。
「私は『圏外』ですから」
「……」
繰り返すが、中井女流六段は「別格」なのである。私が少年のころから活躍されていた方に、軽々しく順位を付けることなどできないのだ。
鈴木環那女流初段が側を通る。とてもチャーミングである。鈴木女流初段は、数年前の将棋ペンクラブ関東交流会でお見かけしたことがある。あのときは、隣りに上田初美・現女流二段もいた。ふたりは仲がいいのだろうが、将棋のほうは、現在上田女流二段が一歩リードしている。鈴木女流初段に激励したかったが、ここでも声をかける勇気がなかった。
気を取り直して、入口付近へ移動する。藤森女流三段とスタッフのI氏がいらした。藤森女流三段が私を見る目が厳しいが、気のせいだろうか。
「私、さっき恵梨子ちゃんと話をしてきましたよー」
と、さっそくジャブが入る。月見栞の件で、すっかり藤森女流三段呆れられてしまったので、まあ口を利いてもらえるだけありがたいが、ここでもヤマグチ攻撃である。
私が唸っていると、突然岩根女流二段が現れたので、心の準備ができていなかった私は、ドギマギした。出産して、ホッソリした感じだ。そんな岩根女流二段は、藤森女流三段、I氏と親しそうに話す。感想戦などとは違い、早口でしゃべっていたのが意外だった。しかし、こぼれるような笑顔は変わらない。彼女の「6位」は低すぎたと反省する。
私のことはさすがに覚えていないようだった。でも、それでいいと思う。それにしても岩根女流二段は、この五番勝負の挑戦者であった。せめてパーティーでは、もう少しスポットが当たってもよかったのではないか。
午後8時、パーティー終了。
中倉女流二段に目礼し、出入口で記念品をいただき、レストランを出る。しかし私はアマノジャクなので、すぐ前にあるエレベーターには乗らない。東側のエレベーターを使うべく、長い廊下を歩く。
と、前方に岩根忍女流二段のうしろ姿があった。その数分前まで、すぐ近くで彼女を拝見していたのだ。あの服装は、彼女だろう。気のせいかもしれないが、さびしそうな背中だった。
その時間、矢内女王は、まだ関係者に囲まれて、喜びに浸っていたはずである。ここに勝者と敗者の違いがある。勝負事は、いくら内容がよくても、勝たなければ意味がないのだ。
岩根忍、勝て! 勝ち続ければ、また私は懸賞金スポンサーになることを、ここに約束する。
コメント (9)
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