一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「将棋ペンクラブ」への情熱

2009-09-02 00:35:00 | 将棋ペンクラブ
29日(土)午前、珍しく私あてに電話があった。将棋ペンクラブ幹事のW氏からである。次号掲載予定の、私の原稿内容についてだった。原稿の件ではいつもメールでやりとりしているので、電話でのそれは珍しい。
「あのー、原稿の最後のほうで、カギカッコが最初のしか付いてませんよね。あれ、閉じなくていいんですか?」
「ああ、あれ、閉じてませんでしたか?」
「いま、戴いたワープロ見てるんですけど、閉じてませんでした」
「…そうか、あれは回想という設定なんで、最後に現実の世界へいきなり戻される、って感じを、カッコを閉じないことで表現したかったんですけど」
「……」
「やっぱり閉じたほうがいいですね。でも直せますか?」
「大丈夫です」
「じゃあ閉じましょう! 閉じてください!」
というやりとりをした。
季刊「将棋ペン倶楽部」の編集は、幹事が手分けをして行っている。もちろん専任というわけではなく、みなさんほかに職業をお持ちだ。だから冊子の発行に関しては、無償での労働ということになる。さらにいえば、投稿者にも謝礼は出ない。過去に観戦記者の田邊忠幸氏や、代表幹事の湯川博士先生の連載があったが、いずれもギャラなしの寄稿だったと聞く。恐らく原田泰夫九段や西本馨七段の連載も、無償だったはずである。当然ながら私も、原稿掲載に関して謝礼は一切もらっていない。しかし全国にその原稿が渡る以上、私も七転八倒し、ないチカラを振り絞って奮闘しているのだ。
幹事の心はただひとつ、「将棋のよりよい文章」を世に示したい、その一心である。そこに営利追求は介在しない。
3月に将棋ペン倶楽部最新号の発送作業を手伝わせていただいた日の夜、湯川先生と酒席をともにしたとき、湯川先生は、
「ペンクラブの書き手はアマチュアだよ。だけど人様から会費をいただいている以上、ボカァそれに見合った文章を載せたい。だからみんなに何度でも書き直してもらって、文章の質を向上させたいんだよ」
と熱っぽく語られていたものだった。
今回のW氏の電話も、「文章に少しでも疑問があれば執筆者本人に質し、完璧な出来にしたい」という職人魂の表れからだったと思う。その情熱に、私は畏敬の念を抱く。そしてこうしたスタッフばかりの団体だからこそ、私も安心して原稿が書けるのだ。
ちなみに私はW氏に原稿を送信したら、その内容は忘れることにしている。そして発行された最新号を、夜のとある喫茶店で、新鮮な目で読むのだ。これを至福の時間という。
次号秋号の発行は今月上旬である。自宅に送られてくる日を、私は指折り数えて待っている。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする