AKB48の旅

AKB48の旅

承認願望、もしくは通過儀礼

2015年11月07日 | AKB
10月29日、11月5日の2回に渡って放送された「ミュージックポートレイト 秋元康X黒木瞳」が素晴らしかった。秋元氏にしては珍しくも中身のあるものになってて、とりわけ第2夜で語られた「川の流れのように」のエピソードが興味深かった。秋元氏がこれまで何度も語ってきた美空ひばり氏との関係性なんだけど、やはり対談のお相手が黒木瞳氏だったからなんだろうか、半歩というか1ミリというか、わずかではあるけど踏み込んだ内容になってたように思う。

以下、秋元氏の発言の文字おこし。
「何にも勉強してないけども、ひばりさんが良い詩だって言ってくださったんだから、作詞家として名乗って良いかなって、そこで初めて、アルバイトから正社員になった気がするんですよね。もう、シロウトのふりはやめろっていうことなんですよね。もう十分あなたはプロじゃないかということで、それをメッセージしてくれたのが美空ひばりさんだったんですよ。」

これって一種の承認願望の表明にして、通過儀礼的なあり方であったことの吐露なんじゃないかと思う。ああそういうことなんだと妙に腑に落ちた。「権威」という概念が貶められる風潮の中で、とか書くといろいろ誤解の元なのかもしれないし、逆に当たり前のことを書いてるととらえる向きもあるのかも知れないけど、それでも「権威」というものはあるわけで、それを語っていたのだなと。秋元氏がこのエピソードを何度も何度も語り続けてきた、その思いがようやく届いた、意味が伝わった、刺さったということなのかも知れない。

もう一つ。秋元氏が選んだ「あなたの人生で大切な音楽10曲」中の一曲が「僕たちは戦わない」だったこと。AKB関連曲ではこれ一曲のみだし、ご自身の作詞曲としても、他は上記「川の流れのように」のみ。というか、秋元氏の中では、自身の人生にとって決定的だった「川の流れのように」と、「僕たちは戦わない」が並び立ってることになる。

もちろん、私的にはこの選曲には何の疑問もないというか、私がこの曲を高く評価してるのは既述の通り。ただ、この曲が「戦争を知らない子供たち」の影響下にあったという説明には、ちょっと驚いたし、その上での追い打ちのような「イマジン」の選曲には、なんか唸ってしまった。唸るだけでこれ以上は書かないけど。