AKB48の旅

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「翳りゆく夏」

2015年02月17日 | AKB
WOWOWのドラマに外れなしだけど、「翳りゆく夏」はなかなか評価の難しいところ。途中まではのめり込むように見入ってしまって面白かったけど、後半はいろいろ突っ込み所があったかな。とりわけ「謎解き」の部分はちょっと残念な感じということになりそう。

20年前の誘拐事件を追うことになる、東西新聞社の梶秀和の役を演じる渡部篤郎は素晴らしかった。演出も見事で、事件の真相が暴かれていく過程が丁寧に描かれてて、出来の良い映画か、やはり出来の良いアメリカのドラマを見てるかのよう。少なくとも日本の地上波ドラマとは一線を画してると言い切れそうで、そこはさすがはWOWOW。

前田さんの役どころは、5歳時に事件の唯一の目撃者となった華原優という端役と言えば端役。けれどもストーリー上は決定的なターニングポイントとなる証言をすることになる。5歳時の事情聴取では、セーラムーンが見たかったという子供らしい動機と、刑事の無意識の誘導に気づいて迎合し、偽証する「賢さ」が描かれてたけど、その後、風俗嬢となった経緯についてはまったく触れられてない。なかなか役作りの難しいところだと思うけど、そこはいかにも前田さんらしく演じてた。

原作は未読なんで、もしかして原作にはその辺りの描写があるのかも知れないけど、本作が「残念」なところがまさにこれで、物語の真の主人公であるはずの女性達、上記華原優はもちろんのこと、誘拐犯の娘で言わば狂言回しとも言える朝倉比呂子(門脇麦)、物語のカギとなる東西新聞人事部長の亡くなった妻(鶴田真由)等の背景がほとんど描かれていない。この欠落が、作品としての深みと余韻を奪ってしまってる。

前田さんに視点を絞れば、これだけの役者達、そしてこれだけのプロフェッショナルなスタッフ達と仕事ができたというのは、なによりの財産と言うことになる。秋元氏の指導によるものと勝手に推察するけど、ホント、素晴らしいキャリアを積んでると見なせそうだし、恵まれてると思う。