11月の最初の連休に二つの展示を観に行きました。
日本民藝館の『カンタと刺し子ーベンガル地方と東北地方の針仕事』展と
東京国立近代美術館の『菱田春草』展。
民藝館の展示は、見ごたえがありました。
これまでに見たカンタ(と言っても数はわずかですが)とは、まるで別の布でした。
これについては、後日まとめられれば…と考えています。
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菱田春草 展は、11月3日まででしたが、私はあと1週間先まで開催されているものと
勝手に思い込んでいて、ふと手元の前売り券を見てビックリ!大慌てで出かけました。
先日、”前期”を見たときに、もう一度行くなら10時の開館を待って入るように行かないといけないような予感がありました。
ーーーで、私が竹橋の駅のホームに降り立ったのが9時57分。
ついモタモタしてしまう休日の朝にしては、良いペースでココまで来たな、と思ったものの
改札を出て唖然。改札と券売機の間の決して広くない空間に20人くらい並んでいます。 菱田春草展のチケットを求める人の列です。
そして、美術館の前ではチケット売り場の前に沢山の人が並んでいて、ちっとも進まない様子。前回にはなかった光景です。
前売り券を持っていたので入場には問題ありませんが、入口を一歩入ると、もう思うようには歩けない状況。驚きました。
遠目で観たことのない感じの絵と、もう一度見ておきたいものを嗅ぎ分けて、観て、進みます。
『落葉』の連作の部屋へ着くと、まだそれほど人の数は多くはありませんでした。
≪前期≫の展示4点のうち、重要文化財の『落葉』が消えて、代わりに未完の『落葉』が展示されていました。
これで、連作5点を目にした事になります。
未完の落葉、手前の若木は彩色されていますが、その他の木々は薄い影のように描かれ、
ほとんど描き込みされていない段階のものでした。ですが、たいへん美しいのです。
言わば途中の絵、描きかけ、なのですが、それもまた静かに美しいのです。
菱田春草さんの作品を前にして、、、それは当り前だろうと怒られそうですが。
仕事(描く事)の、どの過程も同じ。
手を緩めない。同じ力の積み重ねが作品になっているのだという真実を教えられました。
そして、猫♪
↓この『黒き猫』は後期のみの展示。重要文化財。
やはり私は、↓こちらの柿の枝の下の黒猫に惹かれます(笑)
これまで、殆ど意識して観た事のなかった菱田春草さんでしたが、
展示の構成もわかりやすく、作品は美しく。様々な気づきや驚きを得た展覧会でした。
出口近くに、春草さんが赤子を抱いた写真が映し出されていたのですが
36歳でこの世を去った春草さんの、その瞳の美しさが心に残ります。
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