マダラヤンマの産卵を撮影することができたので、他のシーンと併せて紹介したい。
マダラヤンマは、日本特産亜種であり、北海道西南部、東北地方全域と関東地方の一部、石川県、長野県に分布しており、ヒメガマ、ヨシなどの抽水植物が繁茂する池沼に生息するが、生息地は極めて局地的である。体長は約65~70㎜と小型だが、成熟したオスは腹部斑紋と複眼が瑠璃色となり、極めて美しいヤンマである。メスは、地色は淡い褐色で胸部と腹部には黄緑の紋があるが、複眼と腹部斑紋がオスと同じ瑠璃色になる個体もいる。 これまで、栃木県と長野県において、オスの静止、ホバリング、オス型メスとの交尾態は撮影しており、ブログ記事「マダラヤンマ」に写真を掲載しているが、マダラヤンマの産卵シーンは未撮影であり、今年の年頭に掲げた撮影目標の1つであった。
二週連続の三連休。先週末は「ルリボシヤンマ 青色型メス」の撮影。マダラヤンマの産卵は、時期的に、この三連休(21~23日)に賭けるしかないが、何と先週中頃に台風17号が発生し三日ともに雨マークが・・・半ば諦めて迎えた週末土曜日。東京は曇りで、時々晴れ間。長野県は雨が降っていたようだが、最新の予報では翌日曜日は一日曇りで、降水確率は30%。GPV気象予報では、午前中は雲があまりなく、晴れ間が多い。どうやら、台風の進み具合が予報より遅いようである。これは、行くしかない。3年ぶりに長野県にあるマダラヤンマ生息地を目指した。 21日17時に自宅を出発。距離は200kmしかないが、午前3時に出発するのは辛く、お決まりの前日入り車中泊である。現地に一番近いSAに19時着。夕食を済ませた後、一本空けて熟睡。翌22日の5時半に再出発。マダラヤンマの生息地では6時から待機した。
気温17℃。薄雲越しに差す朝日が弱く、なかなかマダラヤンマは姿を現さない。8時を過ぎるとようやく強い日差しが照り付け始め、それとともにマダラヤンマのオスたちが飛び始めた。長いホバリングを交えながら、ガマの茂みの中を飛び回る探雌飛翔を繰り返す。こちらは、メスが飛んでくるまでの間、オスのホバリング撮影を楽しむ。 何枚が撮っていると、ガマの茂みの中から交尾態が飛び出してきた。気づかないうちにメスは産卵にやってきていたのである。さすが、オスは目ざとい。運良く、近くの木の2mほどの高さに止まったので、交尾態も撮影。5分くらいすると連結がほどけ(その後もオスが仕掛けるが、メスが拒否)メスは池の方へ飛んでいき、枯れたガマの茎に止まって産卵を始めた。この大チャンスを逃さぬように慎重に近づいて撮影。 この日は、オス7~8頭。交尾態は3組を確認。オスの静止、ホバリング、オス型メスとの交尾態、そして目的であったマダラヤンマの産卵の写真を撮ることができ、今回は、産卵シーン以外は動画も撮影した。
今回訪れた長野県の生息地(市の天然記念物に指定)は、トンボ屋にはよく知られた場所であり、毎年この時期には多くのカメラマンが集まるが、この日は知人I氏と二人だけ。(途中、一人来られたがすぐに帰られた)十二分に撮影を楽しんだが、生息地のほとんどは私有地であり、所有者のご厚意によって立ち入っての撮影が許されている。しかしながら、昨今、隣接するリンゴ畑で用を足すなど撮影者のマナーが悪く、来年からは一切立ち入ることができなくなる可能性もある。写真撮影も観察も身勝手な行為は断じて許されない。
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