幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 拝啓、もうお忘れですか?

2010-05-01 01:10:05 | Weblog

 
 
 ぼく、は
 
 天才だから
 
 即興で詩を書く
 
 
 韻なんて踏まない
 
 そんなの100年前の詩人の詩
 
 
 ぼくは”今ここ”の詩人
 
 それなのに誰も褒めてくれない
 
 誰も褒めてくれないのは構わない
 
 あなたさえ褒めてくれれば
 
 恋人が愛をかなえてくれたみたいに嬉しい
 
 
 あなたにぼくのファンになってほしい
 
 そうしたら夜、ベッドに誘おう
 
 そして、抱いて、夜空を飛翔しよう
 
 
 もしあなたがぼくの詩を読んだら
 
 
 あなたが夢の中で彷徨った川岸
 
 そこにぼくがいたことを思い出すだろう
 
 ぼくは夏の眩しい朝、
 
 川岸にいて、
 
 あなたを見ていた
 
 川岸にいてあなたを見ていた
 
 
 目が醒めたら覚えていない
 
 あの奇妙に美しいフレーズは還らない
 
 あなたの匂い、あなたの感触のように
 
 
 
 拝啓、もうお忘れですか?
 
 胸が張り裂けそうに空しいのですが
 
 そうなさってくださって結構です
 
 この世に永遠なんてないからです
 
 お互いに忘却の彼方にあるダイヤのような小さな記憶のかけら
 
 いつか思い出すことがあったら
 
 若い肉体の痛み
 
 尊い、叶えられなかった希望
 
 なつかしい唄のように口ずさみましょう
 
 口笛を吹きながら、家に帰る散歩道を歩きながら
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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