幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

沖縄からの船上でDr. Bob としょうたろうと僕で話し合ったこと

2019-08-14 00:42:58 | Weblog

Dr. Bob をカリフォルニアから日本に連れて来るときに、沖縄から東京への船の上でボブとしょうたろうと僕がこれからのことについて議論したことを今でもよく思い出す。
3人は、今の石油原子力経済はやがては行き詰まる、だから、エネルギー循環型の経済にしなくてはならないと思っていた。そのためにパラワン島に行って、カサバ芋を作ることにしていた。パラワン島にはカサバ芋の畑がすでにあった。カサバ芋の澱粉からアルコールを作り、絞りかすを家畜の餌にして、家畜の糞をカサバ畑の肥料にする。作ったアルコールで自動車を走らせる。石油の代わりにアルコールをエネルギーにするのだ。アルコールは燃えても水ができるだけで、環境を破壊しない。エコでクリーンなエネルギーだ。石油経済はやがて原子力経済に移行する。アメリカではウラン採掘場でインディアンを働かせてインディアンを虐殺している。それが今のアメリカの石油原子力経済を担う連中のやっている世界支配のやり方だ。我々はそれを終わらせよう。そのためにパラワン島に行こう。ということでは3人は一致していた。
でも、文字通り一文無しで、これからどうやってその夢を実現する? 実際、この船賃だって、台湾で物乞いをして得た金でやっと乗ることができたくらいなのに…。
僕はこう主張した。東京に着いたら、どこか日本の商社の人とコネをつくる。三井とか三菱商事とかそういったところだ。そして、ボブが商社に行ってプレゼンテーションをする。我々が考えているアルコールをエネルギーにする循環型経済の新しいライフスタイルモデルだ。そのプロジェクトをフィリピンに作るので投資してほしいと日本の商社に商談するのだ。
それに対して、しょうたろうは即座に反応した。僕らがやろうとしているのは、パラワン島でカサバな畑を作ってヤギを飼い、アルコールを作って、アルコールで走る船を手作りして、それでフィリピンからインド、さらには中近東まで航海して、石油原子力経済に代わる新しいエネルギー循環型の経済をデモンストレーションして周ることじゃなかったのか。日本の商社なんて、今の経済システムの金を頼りにするなんて、本末転倒してるじゃないか。と。
確かに、しょうたろうの言っていることが一番正当だった。僕も確かにその通りだと思った。でも僕はしょうたろうに比べると、彼ほどの体力はないと感じていた。パラワン島で畑を耕すことくらいまではできそうだった。でもパラワン島にすでにあるという船のキール。それから、林から木を切り出してきて製材して、何十フィートもある船を仕上げるだけの体力は僕にはないのではないかと、密かに思っていた。正直言ってだから僕は日本の商社に投資してもらう案を考えついたのだった。でも、しょうたろうはそれは甘い考えだと言った。
「僕たちが言っている “self sufficient” (自給自足)っていうのは誰の力も借りない、金の力も使わないってことじゃないのか!」
としょうたろうは言った。
でも、2人の話を聞いていたDr.Bobは、僕の案を採用した。
(後日、東京に着いたDr.Bobは、実際に、三菱商事に行ってプレゼンテーションをした。それも2回も。でも、結局、パラワン島での夢は実現しなかった。)

しょうたろうは、今では高原の中に、文字通り自らの手で豪邸を建てて、悠々自適に自然と伴に生活している。

2019.8.3 Facebook に投稿





















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