幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 甘美な絶望

2013-09-17 15:47:31 | Weblog

 
 
  太陽に焼かれた眼球
 
  透明な絹雲を浮かべる蒼穹
 
  群れ飛ぶ伝書鳩
 
  卵黄色の蝶
 
  パイプオルガンのフーガ
 
  記憶に刻印された意志は揮発し
 
  不能者の脳は現金を掴んで
 
  乾いた風に吹かれ
 
  人ごみを避けて歩き行く処
 
  処方箋書きの医師に金を支払って飲み込む
 
  トランキライザーの
 
  ぼんやりとした死臭のする
 
  甘美な絶望