幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 天への祈り

2009-06-16 03:12:28 | Weblog

 
 
 暴力の
 
 天にもあるごとく
 
 地にもあらしめ給え
 
 
 天上の食事が
 
 肉を満足することのないように
 
 日用の糧を今日も与え給え
 
 
 なぜなら
 
 天上にあるごとく
 
 全能の神は
 
 地上においては無に等しく
 
 詭弁を弄するソフィストのごとく
 
 世間においては
 
 弱いものを飢えさせ
 
 富めるものを肥えさせ給うから
 
 豚のように肥えさせ給うから
 
 犬のように餓死させ給うから
 
 
 天にあるごとく
 
 皇居にもあらせ給え
 
 
 なぜなら汝 全能の神は
 
 等しく人民を愛したまえり
 
 その愛するひとり子を
 
 十字架に架けるほどに
 
 この世を愛し
 
 俗人に上着だけでなく
 
 下着をも与えるほどに
 
 この世を愛し給えるから
  
  
 全能にして全知なる主よ
 
 願わくば この世に
 
 汝の天におけるがごとく
 
 無明の闇を与え給え
 
 
 闇がその表を覆っていた淵は
 
 いまだに光すら射さない
 
 絶対の虚無だから
 
 
 天がそうであるように
 
 この世も無きものにならしめ給え
 
 
 汝が
 
 全知全能の神であらせられるのであれば