本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

践祚(せんそ)

2016-07-16 10:55:30 | 漢字

あまり見かけない文字ですが、

天皇の歴史とか見ていると

よく出てくる言葉です。

 

「践祚」

天皇の位を引き継ぐということです。

「践」セン、ふむと読み、

文字の語源は「展」からきているようで

実地に足跡をつけて巡り歩く

ということがもともとの意味のようです。

そこから、

「ふむ」→「位をふむ」→「位につく」

というように意味が変化しています。

「祚」ソ、さいわい・くらい、と読み

もともとは「さいわい」・「しあわせ」

という意味で、

そこから「くらい」、「天子の位」

というようになったようです。

 

今の天皇陛下は終身ということで

亡くなられてから

位を引き継ぐというように

なっていますが、

明治以前は生きているうちに

位を引き継ぐということが

ほとんどで、

そこから、「践祚」という言葉が

頻繁に出てきます。

 

昔は非常に若くして、10歳位とか

で、位を譲り

本人は上皇とか出家して法皇

になり、

実質の政治は上皇が政(まつりごと)

をするといようなことが多かったようです。

 

戒名でも「院号」ということが

なにかと取りざたされますが

本来は天皇が位を譲り

自分は出家して一つの院をかまえ

そこから政治をしたので

「院政」という言葉も生まれましたが、

 

出家しても寺を造るということは

大変で、

寺よりも寺格の下の「院」を造った

のが始まりです。

「寺」というのは本来七堂伽藍を

備えたものを指したのでしょう。

いろいろ宗派とかによって

違いはありますが、

塔・金堂・講堂・鐘楼・経蔵・僧房・

食堂(じきどう)の

堂塔をそなえたものを寺といった

ようです。

 

出家して寺を建立するのは

まずできないので、

本山とかの塔頭(たっちゅう)にあるような

「院」を造りそこに住まいして

また政を執ったということで

「院政」という言葉も生まれ、

その住まいの名を取って

「○○院」と呼んだのが院号の

始まりです。

白河天皇が出家して白河法皇となり

その住まいを白川院と呼んだように

また、金閣寺も正式には

「鹿苑院・金閣」といい

足利義満の院号が「鹿苑院」から

その名前が付いたのです。

 

昔は院号が付くということは

本当にお寺を建立したのです。

今はそれに代わって

お寺に対してそれほどの功徳を

積んだということで

院号が授与されるのでしょう。

 

践祚ということも

昔は、

政治的な絡みとかいろいろあって

よく頻繁に行われたようです。

今回、天皇陛下の願いにより

生前に位を譲りたい

ということが話題になっています。

天皇陛下が位を生前に退位される

ということは大変な大きな問題を

含んでいるのでしょう。

 

 

 

 

 

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