喜多院法興寺

住職のひとりごと

ヒ素を利用して生存、米国の塩湖で新細菌を発見

2010-12-04 09:32:34 | Weblog
12月4日付 編集手帳 読売新聞
 {国文学者の折口信夫は茶を飲むたび、急須の茶殻を食べた。教え子の池田弥三郎さんが『私の食物誌』(河出書房)に書いている。〈むしゃむしゃと…〉とあるから好物だったのだろう。
◆妙な嗜好(しこう)の人がいるように、妙な嗜好の細菌もいる。米航空宇宙局(NASA)などの研究チームが猛毒のヒ素を食べる細菌を米国の湖で発見したという。
◆生命に必須と信じられてきたリンがなくても、ヒ素で間に合わせる。「生物学の常識が覆った」と報じられている。これまで生物がいないと考えられた過酷な環境の惑星にも、地球とは違うタイプの生物がいる可能性が出てきたという。
◆アーサー・クラークは『2001年宇宙の旅』(早川書房)の「まえがき」に記した。自分の綴(つづ)った物語に比べて、〈真実は例のごとく、はるかに異様であるにちがいない〉と。不思議な細菌は、宇宙が見せた“異様”の片(へん)鱗(りん)とでも呼べそうである。
◆茶殻ぐらいで驚かせてくれるぶんにはいいが、いずれ見つかるかも知れぬ地球外生命も、やはりヒ素がご馳走(ちそう)だろうか。意外に気のいい連中だったとして、晩餐(ばんさん)会にはあまり招かれたくない。}

 モノ湖の湖水は塩分濃度が高く、アルカリ性で、人間など通常の生物にとって有毒なヒ素が多く含まれている。湖底で発見された新細菌にリンが全くない環境で培養すると、代わりにヒ素を取り込んで利用し、増殖することを実験で確認した。これは生物の概念を変える発見であり、地球外生命を探索する際にも視野を広げる必要があるという。