喜多院法興寺

住職のひとりごと

100歳以上が行き方知れず何が日本は長寿国だ、

2010-08-12 06:35:40 | Weblog
8月12日付 編集手帳 読売新聞 
{たとえば、北原白秋――〈ヒヤシンス薄紫に咲きにけりはじめて心 顫 ( ふる ) ひそめし日〉などで知られる青春の歌人が存命であれば、老境をどんな歌に詠んだだろう。
◆あるいは、竹久夢二――大正浪漫の画家が存命であれば、服装も髪形も様変わりした平成浪漫の美人画をどんなふうに描いただろう。さらに、石橋湛山――病気のために首相在任2か月で無念の退陣をした政治家が存命であれば、病気でもないのに首相が交代してばかりいる政治の現状を何と論評するだろう…
◆とりとめのない空想にすぎない。歴史のなかに籍を移して久しい3人は、存命ならばいずれも125歳になる。
◆125歳とはそういう年齢である。実在するだけでも騒ぎであり、その人が行方知れずとあれば大騒ぎしてよかろうに。“消えた高齢者”が全国で相次ぐなか、神戸市で125歳の女性の所在が分からないという。住民登録上の所番地は現在、市の公園になっているとか。市は所在不明と知りながら放置してきたらしい。
◆〈更けては風も泣くそうな〉と、夢二ゆかりの『宵待草』にある。世間から忘れられた悲しみに泣く夜更けの風もあるだろう。}

 何が長寿大国だ。戸籍には存在する100歳以上の行方不明者が全国的に存在することが調査で判明した。神戸の行方不明者を把握しながら、戸籍係にには連絡しなかった。神戸市で125歳の女性の住民登録上の所番地は現在、市の公園になっていて、所在が分からないというのに放置した。今の世の中何処かおかしい。誰しも歳を取るというのに、老人にとって冷たい世の中になった。