うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

花鳥風月 2....(E85-1)

2008年01月23日 22時35分55秒 | 水の存在
cosumosuさんは、冬の花として、梅・水仙・やぶ椿 が好きとおっしゃる。
ならば、その三点セットをお届けしよう。
梅は、どこで咲いても梅花だが、天神様で咲いたものがいい。
水仙は、どこで咲いててもいいが、できれば日本海の潮風に耐えて咲く風情が良い。
やぶ椿は、笠山にとどめをさすだろう。
しかし、早春の花は、当然だが、これにとどまらない。
ロウバイの香りは、春を呼ぶ。さんしゅの黄は力強くなった日差しを感じる。
黄色の花から春が開く。
しばらく早春の花を共に楽しむとしよう。
さて、最初に、今年の紅梅。1/19の防府の天神様で。

花鳥風月....(E84)

2008年01月23日 14時39分05秒 | 水の存在
花鳥風月という美しき物をそろえた中で、星はどこに位置するかと問うたとき、
まず「月」に含まれるでしょう、と答えがかえってくるだろう。
それはそれでいいとして、じゃぁ「風」は何を示しているのか。
雪月花と言うときの「雪」と、花鳥風月という時の「風」とは同じような位置だろう。
風には、曖昧さ、うつろい、刹那、見えないもの、そうしたすべてがふくまれる。
そうした物の中に美がある。
うがってみれば「風」は物語、さらに飛躍すれば「愛」を示しているとみたらどうか。
だから、私は「風」が好きだ。
シモバシラ草に風を見ないか。おとめ座・かみのけ座の物語に風を感じないか。
どうだろう、cosumosさん、naganoさん...
私もシモバシラ草に感動したので、我田引水へりくつに添えて、もう1葉。

シモバシラ草....(E83)

2008年01月21日 21時32分02秒 | 水の存在
以前、めずらしい花として紹介したのはシモバシラ草だった。
今日、同じ多摩のハイカー氏から追加の画像が届いたので、その中の1枚を紹介する。
シモバシラ草は、枯れかけた草の茎の中にかなりの滞留した水を持っていて、
それがきゅんと冷えた夜に氷って、宙空のシモバシラを作る。
普通、霜柱とは、土中の水が氷って表土を持ち上げる現象だが、シモバシラ草の場合は、茎の中の水が氷る現象だ。
生きている植物は、水が動いているから、氷らない。
枯れた草の茎には、氷を作るほどの水気はない。
水を抱いたまま立っているある種の草に限ってこれができる。
しかし、水が氷るとき膨張するので、茎を破って氷の花が咲くわけだから、
できてしまうと、もうそのシーズンは二度と作れない(できない)。
ため息が出るくらいはかない。はかないが故にぞっとするくらい美しい。

天神社....(B82)

2008年01月20日 18時07分34秒 | 史跡散歩
菅原道真公は、太宰府に配流されるときに、瀬戸内の各地に足跡を残している。
この近くでも、防府市や光市にゆかりの天神社がある。
かくいう宇部にもちゃんとある。梶返天神社。
ここは、周防灘をつっきって九州に渡る本土の最後の地だったが、波が荒れて渡りきれず、
梶を返して、一泊されたという。私の住む東梶返という住所はそのゆかりの地だ。
防府市の防府天満宮は、その地に数日滞在していらっしゃるから、もっと由緒が深い。
光市の天満宮は別名「冠天満宮」といい、そこで世話になった若い漁師に冠を与えたという故事にのっとっている。
冠を与えるなんて、菅原公もよほど世話になったか、ここまで落ちればもうどうでもいいやと、やけっぱちになったか、
少なくとも彼の意志が濃厚にあることは読める。
瀬戸内各地の天神社を訪ねてみるのは楽しいだろう。
京都から、「露」天神社を皮切りに、太宰府をゴールに。
画は、防府天満宮の梅。撮影は昨日(08.1.19)、今年はすでに全体一分咲き。

春の悪役3星座... (C82)

2008年01月19日 08時15分42秒 | 新・星座物語
春の悪役3星座といえば、かに座・しし座・うみへび座だ。
いずれも勇者ヘルクレスを苦しめる役どころで、物語がメインなら星座になるのが不思議なくらいだ。
つまり、うみへびはともかくカニもライオンも黄道12星座だから、ギリシャ時代以前のすこぶる古い星座で、
先に星座があって、後になって物語をさがしてくっつけたふしがある。
というわけで、しし座生まれのサエカと、かに座生まれのカナンが結託して、
悪玉の彼らを善玉に変える新しい物語を設定してやろうという不遜な企てをしている。
カニとライオンは自分たちの役、うみへびの役は私らしい。
そして、どういうわけか、こじし座も登場して、それはリナンの仕事らしい。
さらに、おとめ座が加わって、奴らを改心させるらしいのだが、まるで西遊記だ。
おとめ座は誰がやるのか知らないが、脚本を作って朗読劇のようなプラネタリウム解説を作るという。
その構想は二人でどこかに合宿して練ろう、と話はトントン拍子に進んでいるようだ。
どこかとは我が家らしいので、「おいおい」という感もするが、総合的にそんなズーズーしい考えは大好きだ。
おもしれぇ。この話、乗った。さぁ、来い。
画像は、M87 (NASA)。超巨大だ円銀河。
おとめ座銀河団(この銀河団に我が天の川銀河もとなりのアンドロメダ銀河も含まれる)のボス的存在。

お初天神 その1....(B81)

2008年01月17日 22時11分02秒 | 史跡散歩
大阪、北区曽根崎の露天神社は、別の名をお初天神と言い、
近松門左衛門の『曾根崎心中』の舞台になったところである。
   *あんさん、露天神社を“ろてんじんじゃ”と読みはったん ちゃう?
    屋台飲み屋の守り神やおまへんで、そないな読み方、やめなはれ。
    “つゆてんじんしゃ”と読まな、あきまへん。
“露”とは菅原道真公が太宰府に配流されるとき、この地で詠まれた歌、
「露と散る涙に袖は朽ちにけり 都のことを思い出ずれば」にちなむと言われている。
または、入梅の頃祭礼をすることから「梅雨天神」に掛けたとも、
真水の少ない大阪でこんこんと湧く井戸が境内にあり、その井戸を
「露の井戸」と呼んだことに由来するともいわれている。
もともと曾根崎は“崎”というくらいだから、島が砂州でつながった地形で、
その中の小さな島に祀られていた社が元になっている。千三百年もの歴史がある。
その由緒ある露天神社とこのたび小さな縁ができた。
なに、三男がその天神社で結婚式を挙げるというだけのことだが、
なにかにつけ愉快がる私にとって、通称「お初徳兵衛、恋の社」なんて言われると
無性にわくわくするのである。
当件はまた語るときがあるだろう。


宇宙人....(810)

2008年01月16日 10時54分33秒 | うべプラネタリアン
私が「あの人は宇宙人だ」と言うときは、最大の賛辞の“つもり”である。
たとえば、あの人は国際人だねと言われると、スケールの大きさ、視野の広さ、
礼儀正しさ、教養の深さや語学力まで、高評価された感があるだろう。
宇宙人はその高次元化というわけだ。
しかし「宇宙人」は、訳のわからない、話の通じない侵略者的な意味に取られるから、言われた方は気に入らない。
そこがおもしろくて、わざといい訳をしない。

3年前の星空観察会で、当時5年生の女の子が「宇宙人ってテレビでも物語でも意地悪なのが多いけど、
実際そうなんですか?」と聞いてきた。
「そうだね、ドラマではあまり友好的な宇宙人はいないようだね。
私はほんものの宇宙人に会ったことないから、何とも言えないけど、これだけは想像してみてね、
例えば、将来文明が発達して、私たち地球人がどこかの星に行ったとする、
そこの星に生物がいたとする、となると、その星の生物から見たら、私たちはまさしく宇宙人だよね、
宇宙人がやってきた!と大騒ぎになるかもしれないね」
「ええ、わかります」
「さあ、そのとき、私たちはいい宇宙人だろうか、いい宇宙人でありたいよねぇ」
とっさだったけど、私はこの答えに自分で満足した。
地球人も宇宙人なんだ。
宇宙人としての視点を持つと、地球を愛おしく見守ることもできるし、
地球を守る大切さがわかりやすく理解できるのではないか。
多くの人が『かぐや』が写した宇宙に浮かぶ地球を見ただろう。
涙の出るくらい美しい星だったではないか。あれが宇宙からの、宇宙人としての視点だ。
私たちは良き宇宙人であらねばならないと思う。

それ以来、折に触れて、そんな話をするようにしている。
宇宙人たり得る能力を持った生物は、否応なく人類だろう。
そして、地球以外にいま一片の生命体すら見つけられていない中で、
人類は宇宙人として責任があるのだ。覚悟しなければならないことがあるのだ。
決して勝手な無体なことをしてはならないのだ。

おとめ座・かみのけ座....(C81)

2008年01月15日 21時23分19秒 | 新・星座物語
今年最初の“新・星座物語”は、今日、郵送で届いた杉山はるかさん(常盤小6年)の作。
全く、原文のままお届けする。
タイトルは『おとめ座・かみのけ座』

 ある村に、美しい乙女がいました。
でも、その乙女には、ひとつの秘密があったのです。
その秘密とは、乙女は永遠に生きる魔女だったのです。
 ある日、乙女は村の子どもが橋から落ちそうになっているのを見かけ、思わず魔力を使ってしまったのです。
 それがきっかけで、魔女ということが村の人々に知られ、その村では、魔女は不吉の象徴として伝わっていたので、
乙女はすぐ焼き殺されることになりました。
 そして処刑当日、乙女は村の広場にすえつけられた木にはりつけにされてしまいました。そしてとうとう点火されました。
 その時、あのとき助けられた子どもがやってきました。
 「やめてーーーー!!」
 子どもはせいいっぱいの大声で叫び、訴えました。
 「なんで...何で殺すの?何も悪いことしてしてないのに...」
 魔女が口を開きました。火は、もう、胸のあたりまできています。
 「....ありがとう....でも....やっと、やっと私は....」
 乙女はそう言って、この世を去りました。目には、涙が。
 永遠の命を持つ乙女は、実は永遠の命など欲しくなかったのです。
 ただただ、「普通」がほしかったのです。
 乙女の焼けたあとには、その美しい髪だけが残っていたのでした。

....と、まぁこちらで、整理したりドラマチックに入れ替えたり手を入れれば味は良くなるけど、あえてしなかった。
 そして、これには、次のような“あとがき”が添えられている。

 少し、ジャンヌ・ダルクと似せてみました。永遠の命を持っているのに何で死んだの?とかの
つっこみはよしてください。「永遠の命」のところ削っちゃってもいいし。
 私にしては、長いの書いたんで、がんばったということで見逃してください。

 封には、信書もあって、これは公開できないけれど、私は、それを読んでいて、デスクで思わず目頭が熱くなった。
 星のお話を続けていて良かったと、じぃんときたのだ。
 杉山さん、あなたもブログを見てくれているようだから、ここで、改めてお礼をいいます。
 ありがとうは倍かえしで、「ありがとう、ありがとう」。
 中学に入ったら天文クラブにいらっしゃい、大歓迎で待っていますよ。
 画像は、おとめ座ソンブレロ銀河。

今年初めのホームズ彗星....(89)

2008年01月12日 20時29分27秒 | うべプラネタリアン
17Pホームズ彗星は10月末から年内ずっと興奮させてくれたが、ここんとこ
双眼鏡で見ても存在がよくわからない。
115年前の発見時に、70日後に再増光したと言うから、このたび大増光が10/24だとして、
ちょうど今頃が70日くらい、一番期待したいタイミングだ。
しかし、宮崎さんの撮った、1/5のホームズを見ると、どうやら2匹目のドジョウはいないようだ。
(画像は、宮崎さんの撮影)
こんなかすかすになってしまった姿に会うと、アンコール登場はあきらめざるを得まい。
それでもしつこく、ペルセウス座のアルゴル付近を眺めることは続けよう。
天界は何が起こるかわからない。巨大なマンネリと、めくるめくアドリブ...
我々はせいぜい80年の生命体だ。宇宙の時の流れを一個の人間のスケールで測ってはならない。
しかし、一個の生命体はさまざまな形で繋がってゆくから、宇宙スケールで夢を描くことができる。
星虫は翔ぶことができる。
明日(1/13-14)は、再び大阪と京都へ出向く。
新しい世界を形にするために。

雨の宵は....(88)

2008年01月11日 21時50分20秒 | うべプラネタリアン
宮崎さんが、上関町皇座山から撮ったカノープスでも見て、明日の夢でも見よう。
(中央上の白い光跡はシリウス、カノープスは水平線から立ち上がっている)
皇座山は南天に開けているから、動くことを厭わない羽根のある星虫には格好の観測サイトだ。
大昔何度か出向いたことがあるが、いまだにいいとこなんだ。
しかし、宇部の星虫の幼虫を駆り出すのはちょっと遠い。
18日は天文クラブだが、雨の天気予報だから、外は無理かもしれない。
晴れれば、竜王山、と狙っているが...。
26日は最終土曜だから、会館の望遠鏡をあける。定例観望会だ。
月齢はあまり良くない(18夜)が、晴れさえすれば、火星やオリオンはゆけるだろうし、
近日点を通過するタットル周期彗星も見ることができるだろう。
ホームズ彗星は、同じ日同じところで宮崎さんの撮影したものを見ると、
全くかすかになってしまっている。
やはり、これでは再増光は期待薄だな。