健康楽園。

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クレド ウェル ノンクレド。

2006-04-02 | 読んでみた。finding.
王妃の離婚

集英社

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ハイかイイエで答えなさい!(クレド ウェル ノンクレド)、裁判の物語です。舞台は1498年暗黒といわれたフランス中世、イギリスとの100年戦争がシャルル7世により終結した後ルイ12世の時代です。
ところが作家は佐藤賢一さんという日本人、東北大学でフランス史を専攻しました。登場人物も当然フランス人で、日本語を喋りますので違和感がありそうでしたが案外スムースに読み終わりました。
主人公フランソワといって、マギステル(バカロレア・科挙みたいな資格)を飛び級で取ったエリート。現在は、暴君ルイ11世に追放されて、浪人の身です。
裁判の物語でも、中世・キリスト全盛の時代ですから裁判所は無くって教会で裁判が行われ、陳述調書もラテン語という前近代。
驚きは原告がルイ12世という国王であり、被告がジャンヌ王妃であるということ、訴訟内容が王妃が「醜女」しこめでブスで1回もベッドを共にしていないという理由の離婚裁判です。
暴君ルイ11世の次女ジャンヌは政略結婚で1476年オルレアン公妃となります。やがてオルレアン公が即位しますから、ジャンヌは王妃となります。
第一回の公判で、クレドを迫られるジャンヌですが気丈夫にノンクレドを貫きます。傍聴席で聴いていた主人公はルイ家への復讐・「弱いものにおもねり、強いものにへつらってはならない。」と弁護人を引き受けます。
公判の内容は王妃の処女証明に及んできます。「人差し指の第一関節まで入らなければ処女・第二関節まで入れば・・・・。」111ペ^ジ、「女だって美男に抱かれたい。」30ページなど、抱腹絶倒の宗教裁判になってきます。
膣鏡を使っての証明など、とんでもない方向を逆転させるフランソワ!ついにルイ12世の男根検査を裁判長に要求します。カウサ・インポテンティア(不能審理)「美人だからやらなかったなんて、どう考えてもインポ野郎の言い訳じゃんか。」のような訳のわからん理論まで飛び出してくるのです。
ルイ11世に強制された結婚説を否定・近親結婚説も見事に論破していくフランソワ。当時の医師まで証人として見つけ出し、勝利は確定したのに、ジャンヌは離婚を認めます。
そしてフランソワと、「美しさの他に、男が女のなにを愛するというのか?」「男の心は、ひたむきな女のいじらしさに熱くなってしまいます。」355ページ・恋に落ちるのです。実は複雑な恋愛小説でした。

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