健康楽園。

健康に関する情報・提案を主にする。

桃のコンポート。

2006-04-22 | 読んでみた。finding.


角川書店

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フレンチのフルコースをこってりと味わったフィナーレに、本日のメインディッシュを思い出しながら味わうデザートみたいな作品じゃ-ないですか!
無論、メインディッシュは「ツイラク」です。
14歳の中学生が、セックスでぐちゃぐちゃになってしまっているのが、直木賞を受賞できなかった一番の原因だったと評する方もいるし、実は14歳で、ただならぬセックスを体験するのがウリだったりするんだよね!っていう人もいます。
だけど、激流のような「ツイラク」の奈落に落ち込んで行くような、奔流に身を任せて物語を読み終えると、充実感のもう一方に、激流に任せきったからこそ、味わい確かめることが出来なかった、淵・というもの知りたくなるのかしらん???
「ツイラク」の追補、ツイラクで描ききれなかった、ツイラクの登場人物を、時間軸をさかのぼって描いた、デザートのような作品です。
「ツイラク」の主人公が、中学時代に周囲を生きていた登場人物!。どんな精神成熟度で、準子を見て、判断していたか?
検証され、明らかになる、小編の6話がおさめられています。
それは、「ツイラク」の理解をより深める物語でもありますし、新たな精神的未成熟と成熟の格差を表現しきった物語になっています。
「ツイラク」の世界を覗き見するような、隠微な快感を得ることもできてしまいます。
第四話「青痣」で筆者は言っています。「すべてがそうだったのに。わたしもまた。解らなかった時間を恥じ、だがわたしは、めぐりあい集積してきた時間をすべてかぶる。いまの日常を忌まない。ここで暮らしているのだ。青痣があり、でもここに、わたしははいる。」244ページ。
あくまでも筆者は時間軸に忠実で、その軸の最中にいる登場人物の精神成熟レベルを白日の下にさらけ出してしまう。
桃のコンポートとして味わいつくしてしまうのです。
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