奈良県御所市原谷
奈良県御所市は南紀に行く際の通り道で、だからたぶん、もう50回以上は通過しているのだが、神社はといえば二ヶ所しか訪れたことがない。
それなりに名の通った神社が多い地域でもあるのに、往きは南紀へと向かう気が逸り、帰りは疲れきって立ち寄る気力も無いといった状態であるので、ただ通り過ぎるだけの場所になっていた。
似たようなことは、以前に御所市の巨勢山口神社を紹介したときにも書いたけれど、そんな御所市で、最も気になっていた神社がこの国見神社だった。
国見神社は国見山の山麓にあり、その国見山は神武天皇がここから国見をしたことに由来するのだが、神社そのものが創建された時期は不明で、式内社でもない。
私は歴史には無頓着で、風景、雰囲気の観点からこの神社に興味があったが、相当古くからあるであろう気配はあって、そういったものが創り上げる風景、雰囲気というものは確かにあると思う。
周辺は古い家並みで道路は狭い。
駐車場所を探すのに苦労するだろうと思っていたが案の定である。
参道は今住側と原谷側からの二ヶ所あり、私は参道の長い今住側から入ることにしたが、もとより参道近くに駐車できるとは思っていなかったので、家並みの中を往復してから、今住の南側にある踏切近くに駐車することにした。
そこから今、車で通ったばかりの道を歩き出す。
どこかで左方向の道に入らなければならないのだが、神社方面へは特に立て札等も見当たらなかったので、自転車で通りがかったお爺さんに道を尋ねる。
丁寧すぎてくどいくらいの説明なのだが、それが嬉しくもある。
説明通り左手の山の方へ向かう路地に入り、すぐに墓地に出る。
そこからは半ば山道といった風情になるけれど、よく踏み固められたしっとりとした道で歩きやすい。
神社は山麓にあるといっても、なだらかな尾根に沿うような道で奥深く、鳥居が見えてくるまでそれなりの距離がある。駐車場所からは15分ほど。
山麓ではなく山中の気配で、雨上がりのしっとりした気配に包まれている。
鳥居の先は参道らしくなって、更に奥へと続く。
本当に歩きやすくていい道だ。
地元の人がよく参拝されている証拠だろう。
二の鳥居が見えてくる。
その周囲に湛えられた雰囲気に、ちょっと驚く。
鳥居の先には割拝殿のような建物。
この鳥居のところで原谷方面からの参道が右に来ている。
ちょっと進んでみるとすぐに一の鳥居があって、田畑や民家が見える明るい場所に出る。
原谷側から参拝したら、あまりにあっけなくて印象も変わってくるかも知れない。
鳥居の手前で左へ向かう道もある。
こちらは国見山への登山路へと続いているようだが、登りのきつい正面の参道が無理な人のためだろうか、ぐるっと回り込むような感じで、緩い勾配の道が境内へと続いている。
割拝殿らしき場所から本殿。
やはりなんと言うか・・・
周辺地域の雰囲気とは隔絶された気配のある場所というか・・・。
瑞垣内には普通に入っていいようなので本殿の前へ。
振り返ると、石灯籠の多さが目に付く。
本殿左手に稲荷神社があり、境内社はこれだけのようだ。
そこから見た本殿。
割拝殿の横にはたくさんの竹箒。
多くの人が出てきて掃除をされるのだろう。
箒も傷んでおらず綺麗だし、境内社に供えられていた榊も瑞々しいものだったから、やはり地元の方々に親しまれている場所のようだ。
それと相反する、と言うとちょっと語弊があるけれど、自然度の高さ、奥深さが、損なわれずに共存しているのが魅力的だ。
どこか深山の神社のようですらある。
帰り道、再び二の鳥居付近を。
ずっと残してほしい環境である。
2万5千分1地形図 畝傍山
撮影日時 110524 10時30分~11時20分
駐車場 なし。原谷側は軽なら鳥居前付近に駐車できるかも知れない。
地図
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ですね。ホント余所の世界と隔絶している感じです
ね。しかし、この通りを無茶苦茶通っているんです
ねぇ。
昨日は遠江に行きまして二ヶ所ほど、かなりの田園
地帯に行ったんですが一軒も桧皮葺なかったです。
福島はかなり行っていますが記憶ないですね。やは
りコストの関係ですかね?火事なんかも怖いですし
ね。でも桧皮葺は良いですよね。神社の本殿でも
桧皮葺だと得した気分になりますよね。
お疲れ様でした。二日車中泊は身体にも心にもシン
ドイですよ。でも奈良は満足いったみたいなんで
これから楽しみです。
おっと丹後も、そのうちですね。
車中泊はいろいろ楽しいけど次の日の布団のありが
たさも実感できますよね。
暗い木陰の間から見える緑の鮮やかさも良いですね。
5月はGWに出かけたきりで、週末毎に地域の行事があって遠出が出来ません。
しかも結婚式が三連続、毎月あるって、どーよ? ってことでお金もありません。(><)
ので、行きたい場所にも行けず、鬱々と梅雨を迎えてしまいました。
奈良のお友達が「早くおいで」と言ってくれるので、暑くならないうちに行きたいのですが。
當麻あたりの人だったと思います。
みたいな感覚にくらくらしそうです
写真なのに
漂う気配が肌に感じられるような…
というか
杜がものすごく
明確な意思を持って
こちらに迫ってくるような感じです
感服
時折楽しませて頂いてます。
荘厳で凛とした風情があって 良い神社ですね。
立派な境内なのに誰も訪れず 荒れ放題になっている神社があると哀しくなってしまいます。
片隅に壊れた竹箒を見つけて 思わず掃除してみたり(^^;)
でもこういう場所は、変わらず土地の皆さんに愛され続けているんだなぁ、と頼もしく感じますね。
苔むした石造りの鳥居も美しいです。
ある程度は事前に写真などで見て知っていたんですが、
思っていた以上に奥深いところで、
御所市のイメージも少し変わりました。
私は18枚目と二の鳥居付近かなぁ。
高速の工事ということで、恐らく西に向かわれるだろうと思ってましたが、
遠江まで行かれたんですね。あの辺りも茅葺は無いですか・・・。
それだけ少ないとなると、丹波の茅葺が非常に貴重なものに思えてきました。
神社の桧皮葺も減る一方ですしねぇ。
満足とは言っても、神社は4社、渓谷一ヶ所しか行ってないんですけどね。
本当は8社くらい周る予定だったんですが、
駐車場所が見つからなかったり、なぜか人が多かったりで・・・。
でもまあ数のわりに充実してた感じです。
紹介できるのは3社ですかね。
渓谷はたぶん2、3回に分けないといけないくらいの写真量です。
丹後は6月中に行くつもりではありますが。
帰ってきてから、ちょっと異常なくらい寝てしまいました(笑
>Junさん
二の鳥居付近の雰囲気は、もっと山深いところにある神社でも
なかなか味わえないくらいのものがあります。
石灯籠、これだけあるなら、もっと参道に置けばいいのに、とか思ったり(笑
でも、これだけまとまってあるからこそ、ちょっと独特の雰囲気があるんでしょうね。
結婚式とか続くと困りますよねぇ。いや、めでたいんですけどね。
私も最近は月一回くらいしか遠出しないことが多いですが、
私の場合は怠け癖ですね・・・。
>幽黙さん
雨上がりであることも幸いしたんでしょうが、
予想以上の杜に出逢えました。
そんなに大きい木というのはなくて、
全体で杜を作り上げているといった感じでした。
よく手入れされた神社、
そして、ずっと昔から歩かれてきたであろう、
しっかりと踏み固められた、けれど足に心地いい道、
それから杜。
それらが一体となって素敵な環境を作っていました。
奈良に住まれたら、ふらっと昼過ぎからでも行けますね(笑
やっぱり奈良はいいなぁ・・・。
>天籟さん
お久しぶりです。
そういえば初めてコメントを頂いたのは、雨の太歳神社でしたね。
濡れた地面や木々の雰囲気、ちゃんと出せているか自信が無いですが、
良い神社なのは間違いないです。
一部の人が細々と手入れしていたり、
年に数回だけ、行事のような形で清掃をするといった神社が多いですね。
私も、思わず掃除をしたことがあります(笑
ここは日常的に手入れをされている感じで、
木々に包まれた参道に蜘蛛の巣もありませんでしたし、
やはりこの、竹箒の状態を見てもそれが判ります。
それでいて、へんに木々伐ったり余計な手を入れたりしていないのが見事で、
ちょっと神社管理のモデルケースにしたいくらい(笑
二の鳥居たしかに良いですよね。
奈良は意外なとこに深い自然と聖地があって驚く
ことありますよね。
丹波と隣接する播磨の式内の兵主神社の桧皮葺が
前回の張替えで○千万かかったそうなんですよ。
普通の家では保存維持できないですよね。
丹波の桧皮葺は貴重ですよ。
遠江は桧皮葺は全滅でしたね。完全に農業しかない
エリアだったんですけどね。神社はよかったで
すよ。以前参拝してお気に入りの雨櫻神社の写真
を撮りなおすのが最大の目的だったんですよ。
hiro1jzさんの場合は数じゃなくて質ですからね。
そんなhiro1jzさんが満足というなら期待大です。
落ちる一社も気になりますけどね。
それにしてもhiro1jzさんの選ぶ場所で人が多いは
珍しいですねぇ。
渓谷も、そんなに量が撮れたということは成功の
ようですね。天気も良い感じだったんですかね?
丹後もばっちり撮ってくださいよ。立岩の近所は
車止めれるはずですよぉ。気合の車中泊。
でも疲れる歳ですよね。お互いにですよ。
奈良は春日造に朱色の社殿、というイメージがありますが、
意外とバラエティに富んでいて、
しかもおっしゃるように、思いがけない深さがあったりして面白いです。
桧皮葺の葺き替え費用は高いですよねぇ。
どうしても小さな神社は銅板葺きとかになっちゃいますね。
民家の方は茅葺ですから、桧皮ほど調達が困難でもないし、
そこまで高くは無いでしょうが、
やはり職人さんも少ないし、手間もかかりますから減る一方ですね。
丹波は茅葺民家は多いですが、桧皮葺の神社は少ないような。
雨櫻神社は良さそうですね。
いい写真が撮れたでしょうか。
まあ神社は一社でもいいところに出逢えれば満足なんですけどね。
そういう意味では、最初にこの国見神社に行った時点で
けっこう満足しちゃってました。
人が多かったのは高天彦神社で、なぜか駐車場は満杯。
しかも参拝者のようには見えない人が辺りをうろうろ。なんだったんだろう・・・。
渓谷は、良いというよりかは凄いところでした。
天気も上々で良かったです。
丹後、行く神社をそろそろ選定しなければ。
記事を読ませていただきました!
実は私は国見神社の氏子なのです。国見神社は気が向いたら行ってみたり、年に最低2回以上は通う、大切で大好きな神社です。
そんな国見神社は位置も少し離れていますし、見に来ていただけないことも多々あるのですが、
こんなに素晴らしい写真を撮っていただいて、素晴らしい記事を書いていただいて、本当に嬉しいです!
ありがとうございます!!
拙い文章ですみません…
コメントありがとうございます。
私は今まで600~700くらいの神社に行ってますが、
この国見神社は、その中でもかなり好きな神社の一つです。
こんな神社が身近にあるなんて羨ましい…。
もし地元に住んでいたら、月に一回くらいはお参りしたいです。
それだけに、もっといい写真が撮れるはず! という思いもあって、
いつの日か再チャレンジしたいと考えています。
あの素敵な環境は、地元の方々が大切にされているからでしょうし、
こちらこそ、「ありがとうございます」です。