神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

須波阿須疑神社

2009年07月21日 | 福井県

福井県今立郡池田町稲荷


池田町の中心、といっても小さな町であるけれど、とにかく開けた場所にあるので、ここで掲載する神社としては異例の明るさである。
神社背後の山には福井県でも最大級の杉があるということで立ち寄ってみたのだが、いま調べてみると式内論社であった。越前まで足を伸ばしておきながら、碌に下調べもしていないのである。
須波阿須疑は「すわあづき」と読むようで、地図でも他の情報を見ても、「づ」には「須」の漢字が当てられていたが、本殿前の案内板では「」の字が用いられていた。

とある巨木サイトでは、この池田町にある巨木を見て周っている時に、他府県ナンバーだから、という理由で警官に職務質問された話が書かれていた。
嫌な予感がするなぁ、なんて思っていたら、この神社から3キロ近く西へ行った国道沿いの駐車スペースで休憩していると、パトカーがやってきて職務質問。「あまり見かけない他府県ナンバーだから」という理由だった。
ちょっと皮肉を込めて、「福井は職務質問が多いね」と返すと、「いや、田舎やし、滅多に余所から人も来ないし」などと言う。ここよりもっと田舎にしょっちゅう行っているけれど、職務質問などされることはまず無い。
お巡りさんは愛想の良い人だったし、防犯に熱心なのは結構だと思うが、やはり気分のいいものではないし、他府県民の犯罪比率が高いなんて事実も無いだろうに・・・。



駐車車両がまともに写り込んでいる画像を使うのは初めてかも知れない・・・。
それなりに車の通りかかる道路から写真を撮るときは、いつもおざなりになってしまう。



参道の中ほどに楼門。朱塗り、というよりはレンガ色で、どこかモダンな雰囲気。
左手はグラウンドのように開けており、公共施設らしき建物と、野外ステージのようなものがある。



楼門の向こうに拝殿が見えてくる。
楼門の左右には等身大以上の大きな随神像。



仰ぎ見る拝殿は大きい。
この二の鳥居辺りから、やっと木々に覆われた空間になる。



拝殿。
昭和57年までは茅葺だったらしく、出来れば当時の姿を見てみたかったものだ。
もっとも、当時の私はまだ子供だが。



拝殿内部。
正面中央が能舞台らしく、右手奥は現在は神輿殿だが楽屋として使われていたらしい。
左手奥には囲炉裏があって、厄年にあたる氏子達が大晦日の夜に参籠し、火に当たることで厄払い出来るという。
大きいだけあって、なかなか多目的な拝殿である。



拝殿前から振り返る。



拝殿の背後へと廻り、本殿を見上げる。
さすがに杜の気配も濃くなってきた。



本殿は大きな覆屋の中。
福井県内最古の神社建築だという。
それにしても、何故こんな右寄りのアングルで撮ってしまったのだろう・・・。



本殿の右手から、山道を10分ほども登ると「稲荷の大杉」と呼ばれる巨杉の前に出る。
辺りは開けていて鬱蒼とした雰囲気は無く明るいが、樹齢千数百年と言われるだけあって、その樹皮の表情は厳かで、周囲を圧倒する風格がある。
目通り10m、樹高40mと、大きさもかなりのもの。


2万5千分1地形図 稲荷
撮影日時 090617 11時~11時40分

駐車場 神社前から南へ向かう道に入ってすぐに、観光客向け?らしき駐車スペースあり。
地図

 


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9 コメント

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Unknown (幽黙)
2009-07-21 14:58:56
随神門や拝殿だけ見ると
神社建築というより
寺院建築のようですね
殊に拝殿は鳥居がなければ…
もしかすると神仏混淆の容が
どこかにあるんでしょうか…
随神門の色
何色でしょうね
和の色と名前は美しいと思います
http://www.colordic.org/w/

それにしても職務質問は厭ですね
愚生はまだその体験はありません…
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Unknown (hiro1jz)
2009-07-21 16:32:46
おっしゃる通りでして、本殿前にあった案内板には、
「当本殿は、延徳三年(一四九一)に越前守護一乗谷城主朝倉貞景が、池田領主池田勘解由左衛門平時忠を普請奉行として寄進したもので、再建当時は本殿のほか、拝殿、佛殿、護摩堂、三重塔、鐘楼、山門の七堂伽藍の偉容を誇っていたと伝える。その後、天正二年(一五七四)の一向一揆の兵乱により、他の堂宇は焼失したが、幸いこの本殿一宇のみ焼失を免れた。」
と書かれています。

おお、これだけの色を表現する言葉があるのですね。
これで見ると、煉瓦色とは違いますね。
弁柄色か栗梅、赤銅色あたりが近いでしょうか。

職務質問の経験無しですか。私は四度目です(涙
南紀では車中泊中の深夜に、丹波では松茸シーズンだったので、
若狭では真昼間に今回と同じ理由で、といった具合。
やはり福井は厳しいようで、特に若狭は、
拉致問題や密入国、原発が絡んでくるので厳しいです。
他の三箇所は免許証見せて雑談して終わりでしたが、
若狭だけはトランクを開けさせられ、職業等も訊かれました。
警官にもよるのでしょうが、応対も堅苦しい感じで雑談する雰囲気ではなかったです。
返信する
Unknown (幽黙)
2009-07-21 17:28:42
ああそうだったのですか
ということはどちらかというと
寺院としての性格が強くて
鎮守社という位置づけだったものが
明治あたりに逆転したという感じでしょうか
愚生の情報収集量の貧困さで
須波阿須疑神社という名前も初めての神社
楽しませていただきました
というかまだ今立郡あたりは未検索だ…
ターゲットがあるとその周辺だけしか
検索しないというのは駄目ですねぇ…

色は写真で見ると
PCなどの場合は特に環境とかもあって
正確には掴めないでしょうから
実際の色をご覧になられたhiro1jzさんの
目で判断いただいて一番にあがった
弁柄色がもっとも近いのかもしれませんね
愚生のPC環境で見た写真でも
愚生は弁柄色が近いかな…という感じです

職質も厳しくなるのは
たまたま何か事件があったりとか
何かこう政治的なイベントが近くで
行われるようなときだったりとか
そういうことも無いですかね
返信する
失礼しましたぁ (era)
2009-07-21 22:33:45
hiro1jzさんは大川掲載済みでしたね。幽黙さんの
方だと思い込んでました。

いいなぁ。諏訪阿須疑神社は、この前の福井参拝
で行けなくて後悔した場所です。ここは論社の中
でも一番雰囲気良さそうなんですよね。ここの神
門と杉はみたいです。やはり行けばよかった・・・
あ~思い出した。福井は余所の県の犯罪多いかも
です。原発関係でヒドイ話大量です。
あと信濃の古い本を読むと、ここの神様は諏訪神
の御子神なんて書いていましたよ。

福井の十一社は少ないですね。大瀧で二時間使っ
たのが原因ですね。敦賀の二社は、焼肉のついで
なんですよ。凄く怖い神社なんですよ。
でも大瀧は奥の院まで行って正解でした。感動
しますね。
舟津は拝殿まわりはイマイチでしたか!あそこも
素晴らしい神社なんですけどね。

やはり神社の苔が好きなんて要ってると神社で
煩悩に悩むことないですね。たまにメジャーな
神社で萌えることあるくらいですね。
この前、悪友がセーラー服の巫女を東京の神社で
みたらしいんですよ。我々には縁なさそうな話
ですよね。

は~雨ですね。晴れてたら新潟に突撃したのに。

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Unknown (hiro1jz)
2009-07-22 08:34:17
>幽黙さん
楼門、拝殿、本殿に、それぞれ案内板があって、
各々の建物についての経緯などは書かれているのですが、
神社全体の歴史的なことには触れられていないので、
一向一揆による焼失後に今のような形態になったのか、
明治の廃仏毀釈によるものか、
そのへんのところはちょっと判らずじまいでした。

あるテーマやターゲットをポイントに、
その周辺を掘り下げていかれるのが幽黙さんの凄いところですよ。
私なんかは漠然と「いい風景が見たい」だけで周っているので、
かなり広い範囲を周って、結局得るものがないこともよくありますし。

PCの環境については、自分の写真を不特定多数の人に、
見てもらおうとしている者にとっては悩ましいところです。
デフォルト設定であってもメーカーや機種によって違いますし、
自分の伝えたい色が伝わっているのかな、という不安がありますね。
少なくとも、幽黙さんのPC環境は、私とは大きくずれていないようで良かったです。

若狭で職質を受けた場所は、高浜原発の近くで、
地元車以外あまり通らない道に車を停めて休憩中のときでしたから、
たぶんそれが普通なんだと思います。
パトロール中の警察官は、都市部はともかく、
駐車車両があればとりあえずナンバーは見るようですし。
まあスピード違反なんかと一緒で、タイミングや運の悪さもあると思います。


>eraさん
自分が掲載したところは何とか憶えてますが、
幽黙さんのところくらい数が多くなると曖昧になってきます。
あちこち見られているeraさんが勘違いされても仕方ないでしょう。

須波阿須疑は論社が四つありますよね。
他は行ってないですが、規模で言えばここがいちばん有力なんですかね。
鳥居横のJAと参道左手の広場が目障りで、
昔はもうちょっと木がいっぱいあったんじゃないかなぁ、
と思うと残念ではありますが、御神木は見る価値ありです。
あ、いちおう池田町内における犯罪の、という意味です。
原発近くの地域での職質は、ある程度しかたないと思いますし。
須波については諸説ありますが、やはり諏訪から来てるんでしょうかね?

よく考えたら、敦賀の神社ってまだ一社も行ってませんでした。
イメージとしてあまり奥深い神社が無さそうですが、
怖い神社と聞くと、人気の無い鬱蒼としたところを想像してしまいます。
もっとも、私と同じで、eraさんがそういうところに怖さを感じるとは思えませんから、
リアルに何かあった神社なんでしょうか?
舟津は陽射しの強い時間帯に行ったので、
木々に覆われた参道はともかく、社殿周りは白飛びが激しくて・・・。

セーラー服の巫女って、もはや客寄せイベントですね。
そこまで行くと、ちょっと引くと思います。
昔、南アルプス天然水のCMにあったような、
ああいうシーンが萌えだと思います(笑

私は月初めに名張に行って、それから今月終わりまでどこにも行けずです・・・。



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こんばんわ (era)
2009-07-25 22:45:31
どうもどうも遊びに夢中というか遊びの予定・計画
で忙しかったです。

ホント自分の興味の広さは問題ですね。失礼しま
した。

須波阿須疑の一応一番有力なのが、この池田町と
云われているようです。ここは江戸時代は稲荷さ
んだったかな?古い芸能なんかも残っていて古い
町なんでしょうね。
阿須疑は一般的に足羽と同義と云われています。
自分の資料だとタケミナカタの御子神とあるん
ですが・・・福井には、そんな資料ないでしょう
ね。

池田町の地形が排他性をうんだのか?それとも
過去に犯罪あったんですかね?
岐阜に中○川って田舎あるんですが変な殺人多い
んですよ。でも、この話はネットで出てこないん
ですよね。。。けっこう怖い田舎ってあります
からね。

お~誤解する書き方でした。悪友が神社に参拝し
たときに神主さんが忙しくて帰宅したばかりの
お嬢さんが着替えもしないで悪友の対応してくれ
たんですよ。この悪友は、でも巫女萌え指数が
極端に低いんですよ。自分と、もう一人の悪友が
地団駄踏んで悔しがったんですよ。
懐かしいCMだなぁ。自分も好きでした。

hiro1jzさん好みの敦賀の神社って思いつかないん
ですよね。気比は、明らかに違うし、常宮は自分
の中では得点高いけど、ここも違うなぁ。
敦賀の怖い神社って昔悪友が、やば~い心霊写真
撮ったんですよ。かなり嫌な雰囲気だったんです。
そんで、また行ったら今回もヒドク嫌な感じで
したよ。ツレは本殿前で「あかん。寒イボでる」
って絶叫してました。自分は髪の毛逆立つ感じ
でしたよ。。。何かあったのかな?この神社?
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Unknown (hiro1jz)
2009-07-26 05:34:50
私もちょっと来週あたりから忙しくなりそうで、
更新、返信が少し遅れるかもです。
暫く出かけていないので、精神状態も体調も下降気味・・・。

やっぱりここが有力なんですか。
地名はズバリ「稲荷」ですね。
室町時代の古能面など神宝をたくさん保存しているみたいですから、
町と共に古い歴史があるのでしょう。
祭神は、倉稲魂命 大野手比売命 建御名方命ほか5柱、
となってますね。神主さんの家が境内横にあったと思いますが、
一般的に、神主さんってどの程度の資料を持ってらっしゃるんでしょう?

地形的、地理的なものはあると思いますね。
池田町自体に目的が無いと、通過することも無い位置にありますし。
怖い田舎・・・昔、和歌山のミカン栽培が盛んな山里に行ったときのことを思い出しました。
徒歩で山道を抜けて、余所者などまず来ない山里に辿り着くと
民家の軒先で犬が激しく吠え立てる。
民家からおじいさんが出てきたので、頭を下げると、
おじいさんもぺこりと頭を下げる。
犬も鳴きやんだので、ホッとしつつ民家の前を通り過ぎると、背後から何やら気配。
振り返ると、さきほどの犬が解き放たれ、こちらに向かって駆けて来る。
その向こうに見えるおじいさんは、何とも言えぬ不気味な笑顔でこちらを見ていて・・・。
てなことがありました。

あ、そういうシチュエーションでしたか。
それは地団駄踏みますね(笑
というか、かなり羨ましいです。

そういう意味で、敦賀の神社に行くことはあまり無いだろうと思っていたんですが、
その怖い神社の話を聞いて、ちょっと行ってみたくなりました。
私はそっち方面は鈍いので、果たして何か感じることがあるのかどうか・・・。
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Unknown (幽黙)
2009-07-26 10:04:37
hiro1jzさんの
和歌山のエピソード
こわいこわいこわい
こわすぎます~
その意味で
愚生もeraさんのおっしゃる
敦賀の神社
行ってみたいです
逢って対話してみたいものです
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Unknown (hiro1jz)
2009-07-27 09:36:35
いやもう半端じゃなく怖かったです。
おじいさんの目が、「暗い」ではなく「昏い」という感じで、
いや、どう違うのかよく判らなかったりしますが、
とにかくミカン畑の広がる明るい村に、
余所者の知りえない、生贄を捧げるような風習なんかがあったりして、
明るさとは裏腹の暗部を秘めた場所なのでは、
なんて妄想を膨らませてしまいました(笑
笑みを浮かべながら犬を放つ、というのは、
やはり狂気なんでしょうね。
狂気に触れると、一般常識や、性善説的要素のある社会の大前提が覆されてしまって、
寄辺無いような不安を伴った恐ろしさがあります。
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