神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

白鬚神社

2016年05月27日 | 京都府

京都府木津川市加茂町高田


春日若宮神社からは、やや広い道に出て南へ向かう。
田畑と丘陵が広がる風景の中とはいえ、それなりに車や住宅の多い、ちょっと退屈な道だ。
天気も良くて、歩いていると少し汗ばむ陽気になってきた。
更に車の多い道と合流するが、そこからすぐに集落内の狭い道に入る。
これから向かう神社は過去に車で訪ねようとしたことがあって、そのときは神社への道がかなり狭そうだったし、集落内に駐車できそうな場所が無かったことから立ち寄っていない。
集落に入って少し進むとお寺があり、何組かのハイカーの姿を見かける。
近くに登るような山は無いし、歴史ハイク的なものかな、と思うが、「大仏鉄道遺構めぐり」という立て札を見かけたから、それ目的の人達かも知れない。
大仏鉄道の存在は知っていたけれど、具体的にどこを通っていたかは知らなかったので、今回の神社めぐりでコースが重なるとは思っていなかった。
私は鉄道も好きだし、廃校や廃線といったものにも惹かれる性質なので、ちょっと立て札に従って道を辿ってみたくなる。



神社は集落の北の外れにある。
民家が途切れるとこんな風景になる。
なんでもない風景だが、私が子供の頃に遊びまわった環境に似ていて、どこか懐かしいような気分になる。
尤も、私が幼少期に暮らしたのは城陽市で、ここからさほど遠くはない。



神社が近づくと木々は深くなって雰囲気が変わる。
コントラストが強く、木々の下は斑模様になるので、カメラのコントラスト設定を下げて撮る。
付近は丘陵の上で、集落からは平坦なままここまで来られるが、山地でもないのに豊かな木々に包まれている。
実際、航空写真でこの辺りを見ると、常緑広葉樹の緑がべったりと張り付くように覆っていて、こんな穏やかな地形でよくぞ残っているものだと感心する。






建物をくぐりながら、本殿方向を見る。






振り返って鳥居方向を。



この建物、割拝殿のようでもあり、



絵馬殿のようでもあり、



舞台のようでもある。
まあ色々な用途を兼ねているのだろうし、よくは判らないけれど見ていて楽しいものだ。



本殿はやっぱり奈良を思わせるもの。



本殿前から振り返る。
参道と言うほどのものでもないし、さして広い境内でもないけれど、飛び石とクマザサ、羊歯のシシガシラや、鳥居とくぐる建物などが調和して、思いのほか素敵な場所だ。






ここの狛犬さんは、珍しく涎掛けを着けている。
お地蔵さんの涎掛けは、子供との繋がりもあって理由があるわけであるが、狛犬に関してはたぶん無いだろう。
是非はともかく、大事にされているからであろうし、どこか茶目っ気があるようにも見える。



本殿左から。






本殿右から。
ここも、春日若宮神社ほどではないが、綺麗に保たれている。
定期的に塗り替えられているのだろう。



本殿周囲は緑がいっぱいだ。






斜面ではないのに、木々が奥へと続く環境はあまり見られないもので、森を思わせる。



神社横に続く小道を少し辿ってみた。
暫くで森のような雰囲気は尽きるが、神社も含めて、とても素敵な環境と雰囲気が保たれており、居心地の良さを満喫した。
ただ、先ほど見かけたハイカー達は、お寺には立ち寄っていたのに、ここには来る様子が無さそうだ。
お陰で静かな環境に浸れるのはいいのだが、神社好きとしては、何でだろうなぁ、と思わないでもない。


撮影日時 160517 11時20分~12時10分
地図


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6 コメント

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Unknown (Jun)
2016-05-29 14:18:23
また気持ち良さそうな空間ですね!
もし私が子供だったら、神社の境内や森の小径を一日中走り回って遊んでますよ。
社殿がトンネルの向こうにあるかの如く見える写真は、不思議な印象です。
まるでおとぎ話みたいですね、穴の向こうに神殿があるなんて。

昨日は名古屋と横浜から家人の自動車仲間が来神されて、北野町や高架下商店街などを歩きました。天気予報では晴れだったのに、当日は雨、遠くから来てくれたお友達には申し訳なかったのですが、暑くなくて、なんとか楽しく街歩きが出来ました。
午後からは大阪の人も合流されました。
みんな都会の人なので、滝や神社も興味があり、次回は京都で神社巡りを、と言う話も出ました。
もしかすると宇治あたりを行くかも知れません。

写真は今回あまり撮らなかったのですが、夕方は晴れて帰路、田圃と夕陽の風景が美しかったです。
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Unknown (hiro1jz)
2016-05-31 18:01:30
>Junさん
この日、一番お気に入りになった空間でした!
私も間違いなく遊び回ってますね(笑
私が子供の頃に住んでいた場所の近くには、竹薮や茶畑や雑木林などがあって、
それらと共に神社も遊び場の一つではありましたが、
さすがにここまで環境が良くなかったので、
こういう場所を見ると、童心に返ってしまいます。
くぐる建物も、子供心に訴えかけてくるようで、
もしこういうところで遊んで育っていたら、
また違った感性が育まれていたのかなぁ、などと考えてしまいます。

交友範囲が広いですねぇ。
確かに都会の人なら、緑濃い神社や滝は喜んでもらえるかもですね。
私は宇治の近くにも住んでいたことがありますが、
宇治の神社は全く知りません。
ただまあ、山里の風情とかは無さそうですね。
宇治上神社とか、写真で見るぶんには惹かれるんですが、
やっぱり観光客が多そうで。

今日は、とある花を目的に山に行ったのですが、
かつてはあったのに見つけることが出来ず、写真も撮らずでした。
残念…。
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Unknown (Jun)
2016-05-31 23:06:33
こんばんは

子供の頃の環境が感性を育てるって、確かにそれは大きな要素でしょうね。
子供の頃は、結構男の子みたいに冒険ごっこが好きでしたから、材木置き場や空き地で遊んでいました。
神戸は山の開発が進んでいたので、里山で遊んだ経験はないのですが、それでも雑木林などはありましたから、親に立ち入ってはいけないと言われながらも林の中に入っていましたね。
住宅地の中の雑木林は、実は取り壊されたお屋敷の跡地だったりして、家の基礎や井戸などが残っていて危険だったのですが、そんなことは知りませんでした。
危険なのはウルシなどの植物でした。
かぶれるので、林に入ったのが親にばれるんです(笑

目的のお花って何でしょうね。
いつか写真に撮られる日を楽しみにしています。

岩手のネッ友(年上の女性)は水鳥が大好きで、真冬の夜に雪の中を出かけて沼で鴨や雁の撮影をします。
そこまで好きだと、ちょっと変人扱いされると本人も言っていました。
彼女はどうしても見たい花があると言い、ヒマラヤへ登って青い芥子の花を撮影していました。
同じ花が神戸の高山植物園にあるのですけどね・・・
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Unknown (hiro1jz)
2016-06-02 08:38:48
>Junさん
おはようございます。
例えば海辺で育った人と、山奥で育った人では、
随分と感性が違うのではないかと思ったりするわけですが、
実際のところ、今まで出会った人を見ると、
顕著な差は見受けられなかったりします(笑
個人の資質の方が大きいのかも知れません。

私もよく冒険ごっこはしました。
というか、今でもそういう気分は残っています(笑
子供の頃から私は肌が弱くて、しょっちゅう湿疹に悩まされていたのですが、
何故かウルシにかぶれたことが無いんです。
山は友達だから、などと馬鹿なことを考えたりしてました。

トキソウという蘭科の花です。
多くの県で絶滅危惧種に指定されていますが、
兵庫県では準絶滅危惧種になっています。
20年以上前に自生地を見つけたのですが、
木が茂って日当たりが悪くなったせいか消滅していました。
結構険しい山道を登っていったので、徒労感が大きかったです。
少し離れたところにもトキソウの自生する場所があるのですが、
そこは割と有名な保護地区になっていまして、
遊歩道などが整備されています。
岩手のお友達さんが植物園でなく自生地に拘られたのと同じように、
保護された場所でなく自分で見つけた自生地で撮りたい、
と思っていたのですが…。
といいつつ、妥協して保護地区に行こうかとも考えています。
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Unknown (Jun)
2016-06-02 22:07:58
お花と言えば、最近職場の横を流れる加古川の河川敷に群生している植物が花を咲かせました。
紫色のお花で、群れているので、道路から見るととても綺麗なのです。
家人は「青」と言いますが、私には紫に見えます。
で、何の花なのか、わからなかったので、職場の人に言うと、休憩時間に手折って来ました。
四角い断面の茎で、背丈が1メートル以上あるそうです。
お花は意外に小さく、1本だけだったら道路から見えないだろうと言う大きさ。職場の人は「離れて見ると綺麗だけど、手に取ると汚い雑草や」と感想を述べました。
外来植物だろうと見当はつきました。名前がわからないので、ネットで調べましたが、どこにも載っていないのです。
諦めかけていたら、多摩川河川敷の植物を紹介しているサイトでやっと見つけました。アレチハナガサ と言うアメリカ原産のお花でした。 洪水対策で護岸工事された跡に咲いているので、「造成地に多い」と言う説明にも納得です。
外来植物が増えるのは困ったものですが、綺麗なのですよね、群生していると(笑

トキソウ、ネッ友の一人が自生地をご存じのようです。保護のために、ネット上では場所を明かされませんが。
可愛らしい可憐なお花ですね。

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Unknown (hiro1jz)
2016-06-03 18:14:41
>Junさん
アレチハナガサという名前は知りませんでしたが、
画像を検索すると見たことはあるような。
私にも紫に見えますが、確かに群生すると綺麗でしょうね。
それにしても、河川敷というのはもはや帰化植物だらけですね。
綺麗でも素直に愛でられないというか…。
こちらでは緑地そのものが無いので、アスファルトの横にナガミヒナゲシや、
メマツヨイグサが咲いている程度で、どちらも帰化植物ですね。

たぶん兵庫はトキソウの好む環境の多いところです。
地形図を見ているとトキソウのありそうなところは沢山あるのですが、
藪を掻き分けていく気力が無いです。
トキソウと同じく準絶滅危惧種で、食虫植物のイシモチソウを見つけたのですが、
リュックからカメラを出すのも面倒で撮りませんでした(笑
撮っておけばよかったと後悔してます。
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