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神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

春日若宮神社

2016年05月20日 | 京都府

京都府木津川市加茂町里口薬井


久しぶりに、山城南部を訪ねることにした。
この地域は、車で移動していた時にはあまり行く気になれない地域であった。
行き帰りで渋滞に巻き込まれる可能性が高いことと、神社周辺の生活道路が狭く、駐車場所にも困りそうだったからだ。
奈良と京都の間ということもあって、古くから開けた地域でもあるから、田舎というわけでもなければ都会でもない。
古い民家の立ち並ぶ集落を縫うような、車社会に対応してない狭い道路の先に神社があったりする。
山里の鄙びた風景を好むことからしても、少し違う、という印象もあった。
だが、鉄道と徒歩で神社巡りをするようになって、好みというか視点がちょっと変わった。
狭い道が入り組むところは、寧ろ楽しそうに見えるし、どの道を辿ろうかと思案するのも面白い。
車だと、最短経路、若しくは最も走りやすそうなルートを選んでいたが、徒歩だと探索の趣が深まってくる。
そうなってくると、少し敬遠気味だった山城南部も魅力的な地域に思えてくる。
尤も、六所神社、高神社、松尾神社、朱智神社、天神神社など、かつてここでも掲載した神社は、とても惹かれる風景に出逢えた場所でもあり、もともと魅力的な地域ではあったのだが。


関西本線の加茂駅で下車する。
大阪に直通する快速電車が出ているので、駅前に高層マンションが建っていたりするが、駅から少し離れると古い家並の続く静かな町になる。
天気予報は快晴で、家を出るときにも快晴だったが、加茂駅を降りたときにはどんより曇っており、気温も肌寒いほどだった。
これから向かう春日若宮神社は、計画を立てた当初は立ち寄るつもりは無かった。
いくら都市部ではないといっても加茂町の中心部にかなり近く、地図をぱっと見ただけでは目を引かれない。
だが、詳細な地図を見ると参道は長く、航空写真を見れば杜は深い。



駅から500メートルほどで狭い道に入り、更に100メートルも進めば左手に鳥居が現れる。
これは帰りに撮ったもので晴れているが、着いたときにはまだ曇っていた。



鳥居をくぐれば桜などが植わった参道。
これも帰りに撮ったもので、コントラストが強くて困った。
往きに撮っておくべきだったが、先が暗くなっており、杜が深まることが判ると思う。



ここからは撮った順番で。
雰囲気が一気に変わり、木々に覆われた素敵な参道になる。
正面に見える紅い社殿は境内社である。



山城地域の神社は照葉樹が多く、ここも照葉樹の濃密な香りが漂ってくる。
ただ、モミジも結構あって、紅葉時にはさぞかし映えるのではないかと思う。



境内社の手前で左に90度折れた方向に本殿がある。



本殿が見えると、ああ、奈良の文化圏だな、と感じる。
京都府南部は京都市よりも奈良市に近いし、この辺りの神社を訪ねれば、京都というより奈良にいるような気分になる。



それはともかく、美しい佇まいだ。



本殿を囲むように、湧き上がるような勢いを見せる緑も見事。



民家から近く、時おり電車の音も聞こえてくるが、落ち着いた心地のよい空間。



参道の手摺も朱色に塗られていたし、ここの手摺もそうだ。
多くの人にとってはどうでもいいことかも知れないが、写真を撮る者としてはありがたい。



春日造の本殿。







建て替えられて間が無いのか、塗り直されたばかりなのか、とにかく汚れ一つ無く鮮やか。



本殿を囲う塀も真っ白だ。
普通なら、こういう状態は違和感があったり、風景から浮いてしまったりするものだが、ここでは何故かそれが無い。



晴れて青空が広がりだした。



雰囲気が変わって、写真も撮りにくくなってきた。



コントラストが強く、これから向かう神社の写真がちゃんと撮れるかどうか…。



とはいえ、晴れた空は心地よく、陽の光を浴びた緑も気持ちいいもので、歩く足取りは軽くなる。


撮影日時 160517 10時~11時
地図


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14 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Jun)
2016-05-20 21:44:08
こんばんは
本当に車より徒歩の方が遙かに面白い発見が出来ますね。
私の相方は歩くのが嫌で車で行ける滝とか神社にしか行ってくれませんが、私は駐車場を見つけたら、そこに車を置いて、一人で歩き回ったりします。車内で相方が昼寝している半時間ほどの自由です。

確かに、神社の様式は奈良を思い出させますね。
京都や兵庫ではあまり見かけませんものね。
それに朱色も、奈良の色ですね。
手摺りを神社の色に合わせてくれて、センスがありますね、管理者の方々。
味気ない金属そのままの所が多いですから。

のんびり歩いて行きたい道、今回も楽しませていただきます。

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Unknown (hiro1jz)
2016-05-21 08:49:46
>Junさん
おはようございます。
車があったときも、どこかに駐車して長い距離を歩いたときの方が、
何となく充実感を得られることが多かったように思います。
たぶん、より多くの情報量を感受できるからだと思うのですが、
それでもやっぱり、車があればなぁ、と思うこともしばしばです。

神社で見ると、城陽、京田辺あたりが奈良と京都の境界ですかね。
伊勢なんかもそうですが、奈良周辺も画一的すぎて、
ちょっと飽きるような気もします(笑
手摺りを塗るのは手間も費用もかかるでしょうに、ありがたいことです。
センスというか、拘りがあるのでしょうか。
ちょっとお話してみたい気がします(笑

この日は楽しい一日でしたが、この後、陽射しは強くなって、
後半になるほど写真がつまらなくなるような…。
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Unknown (Jun)
2016-05-21 21:46:23
日が高くなると、確かに写真がつまらなくなりますね。
撮影意欲も半減しますし、人間も疲れてきます。
私は元々朝型人間なので、早起きは平気ですが、普段何をしていても昼食後はやる気が失せてしまう悪いクセがあります。
再び気力が戻るのは日が傾く頃ですね。

先週の続きですが、山崎のシャクナゲ園は昼食後の日がすっかり高くなった時刻で、写真も投げやりです(笑
元気になったのは白綾の滝訪問の時で、生野から自動車1台分の幅しかない細い県道を走っている時、とてもわくわくしました。
途中、「乙女の滝」や無名滝をいくつか目にして、歩きたかったのですが、駐車スペースのない県道で、結局停車せずに進みました。
(2時間の間に見た車は1台きりでしたが・・・)

突然山の中に墓地が現れた時、本当にびっくりしました。
こんな山奥に誰が墓参りに来るのだろうと思ったのです。
でも墓地のすぐ上に5,6軒の集落があり、人が住んでいて、さらに驚きました。一体どうやって生活しているのだろうと思ってしまったのです。
それが「白口」の集落でした。
白綾の滝は墓地の中にある分岐から山の中に入った所にあるのです。

「白口」の集落、今でこそ過疎の限界集落ですが、江戸時代から明治時代までは、「白口千軒」と呼ばれる大きな町だったそうです。
どうして山奥に? ですが、謎の答えは簡単で、県道のすぐ脇に鉱山の坑道が現在も残っていて、ぽっかり口を開いており、柵をして立ち入らないようにしてあります。
「白口」は、生野銀山の一部だったのです。

山の植林林の中に、かつて民家が建てられていた石垣の基礎がいっぱい見えます。苔むして、木々が生えていますが、まさに近代産業遺跡と呼んでも良い姿で、石垣が何層にも築かれ、夕陽に照らされて美しかったです。
白綾の滝も美しかったのですが、私はあの繁栄の跡の写真をゆっくり撮りたいなぁと思いました。
駐車場が墓地にしかないのですけど。
「白口」集落は、JR生野駅からコミュニティバスが出ています。
運行は月曜日と木曜日のみで、しかも予約制だとか。
もっとも山歩きが趣味の人々は駅から歩いて白口を通り、山越えして反対側の神河町作畑へ出て、路線バスで帰るみたいです。

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Unknown (hiro1jz)
2016-05-23 09:49:22
>Junさん
海とか田畑とか、広がりのある風景と青空を撮るならいいのですが、
杜の中は斑模様になって駄目ですね。
時にこれから夏にかけては、陽射しも強いし角度も高いので、
曇りの日を選ばないと撮影は厳しいです。
私は夜型人間です(笑

面白そうですねぇ、白口。
思えば、私の好きな南紀のとある場所も鉱山跡で、
鉱山跡というものに何故か惹かれてしまうのです。
○○千軒というのは鈴鹿山脈にも幾つかありまして、
こちらは木地師の里だったりしますが、
いずれにしても、栄枯盛衰を感じさせて、やはり強く惹かれます。
鈴鹿もそうですし、南紀でも山中に石垣が多く残っていますけれど、
但馬も多いんでしょうかね。
そういえば、シワガラの滝に行ったとき、
案内板に踏鞴場跡というのがあったような。
鉱山が多かったところは、繁栄から急速な衰退への変遷が残っていて、
それを目の当たりにしたとき、何か身に迫ってくるようなものを感じますよね。

白口にも神社があるようですが、こちらは立ち寄られなかったのでしょうか。
普段、祭神とかは気にしないのですが、
やはり鉱山に関わる神様なのかなぁ、などと、ちょっと気になったりします。

生野駅から滝まで往復しても15キロありませんね。
歩いて行ける距離ですが、もう一箇所、何か見所が欲しいところです。
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Unknown (Jun)
2016-05-23 23:37:57
見所ですか・・・
歩いて行かれるのでしたら、道中お寺さんが並んでいたり、俳優の志村t喬記念館があったり(子供の頃銀山関連の社宅に住んでいたそうです)、銀山関係の施設の跡や露天掘り跡が川に沿ってありますが。
県道では、白口に行く途中の猪野々に「乙女の滝」があります。対岸に渡ると川へ降りられるそうです。
黒川温泉や法道谷もヤマビルの季節を外せば散策に良いと思います。
あの辺りの川は滑床なので川底を歩けるのです。
自転車で川を走る人もいますよ。

白口の神社は鳥居は見ました。
生白稲荷大明神です。駐車場がないので、止まらなかったんです。
ほとんど車が通らない道ですが、それでも通る車がいれば道路を塞ぐことは出来ませんから・・・

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Unknown (hiro1jz)
2016-05-24 19:28:23
>Junさん
鉱山跡には惹かれますが、生野銀山はちょっと有名すぎるので、
廃墟的な魅力はどうかなぁ、という感じがします。
お寺は基本的に寄りませんし…。
乙女の滝は、白綾の滝よりだいぶ劣りそうという印象。

あ、稲荷神社だったのですね。
神社を検索して見てみますと、神社よりも白口の集落の方が雰囲気が良さそうな。

最大のネックは交通費が5000円ほどかかることですかね(笑
車の時より移動に融通がきかないので、
費用対効果を結構真剣に考えてしまうようになりました。
やはり暫くは近場をうろうろしますか…。
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Unknown (Jun)
2016-05-25 23:36:15
こんばんは
どうしても交通費が気になりますね(笑
私も淡路島や四国に行ってみたいのですが、橋の通行料金を考えると二の足を踏んでしまいます。
電車賃も馬鹿になりませんものね。

生野にはキャンプ場が多くあって、法道谷周辺でも夏になると結構テントを張って川遊びしている人を見かけます。
魚ヶ滝などは人気スポットですね。
オオサンショウウオとか、珍しい物もいますから。

ところで、腫れた日の陰影の強い風景は撮影が難しいのですけど、それを上手に撮影される方がいます。
私に写真を撮ってネットにアップする楽しさを教えてくれた、私のネット遊びのお師匠さんなのですが、74歳になられる女性で、私と同じ町内にお住まいです。
一度もリアルでお会いしたことはありませんが、互いに家は知っていて、年賀状のやりとりもしている、と言う間柄です。
この方も決して人間は撮らず、自然の草花や小鳥だけを撮影されるのですが、晴れた日にしか撮影しない、と言う習慣をお持ちです。
きっと明るい世界がお好きなのでしょう。
最近は但馬高原植物園にお出かけで、私だったら白トビしてしまう森の小径の景色を大変美しく撮っておられました。
それを見たら、私ももっと修行しなきゃ、と思いますよ(笑
ネット上には先生が大勢いてはって、参考にすべき作品がいっぱいです。

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手摺 (uzi)
2016-05-26 20:36:59
先日、鞍馬寺・由岐神社から貴船神社へ抜ける道を歩きました。
鞍馬寺・由岐神社は13年ぶり、貴船神社は7年ぶりでした。
貴船神社の、灯篭が並ぶ参道の石段、初めて行った時は手摺がなかったのですが、二度目に行った時、ステンレスの手摺が設置されてました。
高齢化社会では致し方無いなと思いました。
今回行くと、その手摺が赤く塗られてました。
単にステンレスの上から手で塗ったというのではなく、焼き付け塗装のように見えましたので、造り変えたように思いました。
ステンレスの銀ピカより、鈍い赤色の方がたしかにいいですね。
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Unknown (hiro1jz)
2016-05-27 13:20:58
>Junさん
こんにちは。
高速代は別として、ガソリン代の時は、そんなに気にならなかったんですよねぇ。
やはり融通性の違いが大きいんでしょう。
電車だと、つまらないから次の場所、ということが出来ませんし。
それにJRの場合、電車賃の方が車のガソリン代より3割くらい高い印象です。
もちろん車の維持費を勘案すれば、車の方が高くなるでしょうが。

赤目に住んだことがあるせいで、目が贅沢になってしまった感はあります。
赤目滝以外にも滝は結構ありましたし、オオサンショウウオも多い地域でしたから。

晴れた日には晴れた日に相応しい被写体、というものがあるとは思いますが、
上手い人はどんな状況でもやはり上手く処理されますよね。
ただまあ、緑濃い神社というのは、
晴れた日に撮影の難しい被写体のトップクラスではないかと。
橿原神宮とか、ああいった空間なら問題無いですが。
あと、やっぱり私は暗い世界が好きなんでしょう(笑
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Unknown (hiro1jz)
2016-05-27 13:28:07
>uziさん
さすが貴船神社という感じですね。
あそこくらいになると、どこか変えると文句を言ってくる人もいそうですし、
また、それに対して善処する資金力もありそうですし。
山里の、銀ピカの手摺が似合わないような場所ほど資金難というのが悲しいですが。
それにしても、私もそうですが、気付けば5年ぶり、10年ぶりという場所が多くて…。
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