京都府南丹市美山町
大阪の能勢町にコブシ(タムシバ?)が綺麗に咲いている場所があるので、それを撮りに行こうとしたのだが、あまりに光線状態が悪く、つまらない風景になっていたので素通りし、そのまま地図も見ずに美山町へ向かうことにした。
美山町は茅葺民家が多いことで知られていて、そこに桜が加われば美しい風景が見られそうだし、途中にある大野ダム周辺には桜が多かったような気がする。
特にどこという明確な目的地は無く、とりあえずあの辺り、といった感じで車を走らせた。
それに、前回の「春」と題した記事も、春を表現するには物足りなかったように思うし、特に桜に関しては、毎年中途半端についでで撮っている気がするので、ちゃんと桜のある風景を追ってみたかった。
尤も、最初の目的はコブシだったのだから、今回の桜もついでみたいなものだけれど。
今回のタイトルは大野ダムとしたが、勿論ダムの撮影が目的ではなく、ダム周辺の風景であることと、撮影地が複数ということからそうしただけで、ダムそのものは見てもいないし、ダム湖の写っている写真も僅かである。
また、同じ理由で住所も美山町までとし、字は省いた。
写真の枚数が多いので、2回に分けて掲載。
ダムの近くにある駐車場付近は桜も満開で数も多かったが、いかにも公園的雰囲気で惹かれない。
どこであろうと美しいには違いないのだけど、やはり似合う場所があると思う。
ダム湖に沿った道を進み、最初に現れる橋で対岸に渡る。
地形図では恐らく昔の橋が表示されているようだが、実際は少し西に架かっており、橋を渡ってから左折してやや狭い道を進むと、地形図で橋が記載されている辺りでアスファルトの道が途切れる。
そこに駐車して付近を歩いてみることにした。
地図も見ずに来ているので神社の存在は知らなかった。
田畑の向こうに山、その山際には桜と神社、という風景にはとても惹かれる。
鳥居の右上には社殿の屋根が見えているし、狭くて奥行きも無さそうだ。
この時点では気付かなかったが、桜に囲まれた場所に、茅葺の建物がある。
神社へは後で訪ねることにして、まずは付近の桜を撮ることにする。
アスファルトの道が尽きた先にも未舗装の農道が続いている。
立派な桜があるわけではないけれど、なんとも清々しく気持ちの良い道だ。
桜の根元ではスミレも満開で、春爛漫といった感じだ。
手前の桜の向こう側がダム湖で、奥に見えている桜は対岸である。
一際目を引く桜というのは無いが、周辺はこんなふうにあちこちで桜が満開だ。
対岸の山の斜面は、まだ茶褐色。
でも、所々で山桜の彩が見える。
群生する白く小さな花はタネツケバナだろうか。
地味ながら、これも春を彩る。
やっぱり、桜は山村や田畑が似合うなぁ、と思う。
桜は無いけれど、こういう風景も好きだ。
右側の山裾をゆく小道なんかは、続きが気になって歩いてみたくなる。
ぐるっと一周するような感じで、集落の反対側(写真の奥側)から神社のそばまで来た。
ここで初めて茅葺の建物の存在に気付く。
屋根は土に還りそうな苔生し具合で、手入れがされていないと言えばそうなのだが、それがまた美しくあるのは、自然のものだけで作られているからだろう。
ここは神社の境内ではないが、無関係とも思えない。
帰宅後、調べてみると、地元では茅葺観音堂と呼ばれているものとのこと。
写真は桜の花びらが散る瞬間を狙ってみたものの、花びらの数が少なく中途半端に・・・。
茅葺の建物ばかりに目が行っていたのだが、ふと背後に何か気配を感じて振り返ると、カシの大木があった。
やや傷んでいるのか、樹液が滲み出し、周囲はその匂いで満ちている。
寄り添うように椿。
そして根元には石仏。
さて、鳥居をくぐって神社に参拝。
扁額には「瀧明神」とある。
で、どうして瀧なのかと疑問に思うところで、地形図を見ても周囲に滝などあるとは思えない地形だ。
これも帰ってから調べてみたところ、ここは大野ダムの完成により現在地に遷座したらしく、かつては由良川のそばにあったようだ。
なるほど、それなら納得できる。
由良川は河岸段丘状の地形を呈していて、流れのそばは急傾斜を形成している。
横から流れ込む小さな谷は、そこで滝となる。
現在の地図から想像するに、水量は少なかったと思われるが、落差は10メートルほどあったらしい。
その頃の神社の姿を見てみたかった。
石段には落ち椿と桜の花びら。
見上げれば石段のすぐ先に社殿があって、やはり奥行きは無さそうだ。
振り返れば、先ほど見てきた桜や田畑が望まれる。
かつての神社が、滝のある深い雰囲気の場所だった可能性は高いけれど、今の場所も、これはこれでいいのかも知れない。
ただ、斜面にへばり付くような感じで、とても狭い境内ではある。
境内にはショウジョウバカマが多い。
花の盛りは過ぎて、やや萎れているけれど、辛うじて鮮やかさを保っていた。
境内社の前から、カシノキと観音堂を見る。
カシと椿。
観音堂の屋根と桜。
日本の春を感じる。
撮影日時 110418 8時40分~9時50分
2万5千分1地形図 和知 (リンクしたポイントは駐車したと思われる地点)
駐車場 本文中に記載した場所や、観音堂前など
地図
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田園風景の中の桜は
もちろんいいのですが
萱葺屋根の建物と
少ないとはいえ
落花のなんともいえぬ風情
よくあんな風に
止まって写ってくれるものですね(泣)
そしてなによりもカシの樹と椿
背後に気配を感じさせるに十分の存在感
カゴノキっぽく見えるのが椿ですかね?
残念なことをしました。また行ってみたいです。
散る花びらの撮影は本当に難しいです。
近江八幡で菓子店たねやの前を撮影したら、花弁の散るのが雪みたいに映りました。
花吹雪には見えませんでした。とほほです。
山裾の鳥居にはどきどきします。
最近気がついたのですが、神社そのものより、ちらりと見える鳥居や屋根が私は好きなんだな、と思います。だから1番目と2番目の写真が、どきどきです(笑
ちらりではありませんが、佐用の国道沿いの丘の上にぽつんと立っている鳥居がとても気になって、再訪してみました。
地元の人に尋ねたら、神社はずっと奥の山裾にあると言うことでした。次回は神社まで行けるかどうか。
天から降りてきた磐船の伝説や、滝や、なんだか興味深いものがある土地でした。谷間の桜も良かったです。
暖かく、のどかですねぇ。。
時がゆったり流れる昔のふるさとに帰ったようで
心が安らぎます。
桜の木々の姿も優しいですね。
カシの古老と椿、茅葺の観音堂。。
眺めて時間が過ぎてゆく。。
良いところに行かれましたね。
名木と言われるような桜もいいんですが、
当たり前のように風景に溶け込む桜もいいですよね。
花びらの落下速度は、それなりに速いものだったのですが、
1/100秒でこの状態に写ってくれました。
もっといろんな場所で挑戦すれば良かったです。
晴れて背景が暗いところなら、タイミングさえ合えばどなたでも撮れるかと。
このカシノキ、ホントに気配がありました。
気配を感じたというか、何の脈絡もなく、
「え?」、という感じで振り返ってしまいました。
椿はおっしゃるようにカゴノキっぽいやつです。
椿の根元が写っているカットがあったので、追加してみました。
>Junさん
美山町に行かれた記事、アップされた頃に見ました。
あの辺り、特に茅葺の多い北集落は、
ちょっと俗化されてしまって、
撮影意欲の湧かないところになってしまいました。
ですが少し横に逸れると、殆ど人の来ないところばかりです。
散る花びらは、やはり場所選びですかねぇ。
幽黙さんにも書きましたが、桜に日が当たって、
尚且つ背景が杉林など暗くなる場所、
あとは花を散らす風さえ吹いてくれれば問題ないかと。
山裾の鳥居は、私の場合、しみじみです。
いいなぁ、としみじみ感じ入ります。
私が普段撮っているのは「神社の風景」で、
1、2枚目のような写真が、「神社のある風景」ではないかと思ったりします。
佐用の丘の上の鳥居、見させてもらいましたが気になりますね。
いったいどんな神社なのか・・・ぜひ探訪して紹介してください。
>風花さん
美山は、近畿では最もふるさとらしい場所のひとつという気がします。
先日、東北のことを日本の原風景と書きましたが、
そのせいか、不意に美山に行きたくなったのです。
目を見張るような特徴ある風景ではないけれど、
どこか優しく懐かしい。そんな感じです。
桜、カシ、椿、茅葺、偶然にも、一箇所でこれだけのものに出逢えて、
とても豊かな時間を過ごすことが出来ました。
散る花びらを大地が確りと受けとめている。
こんな侘び錆のある景色に癒されます。
他の写真も良いんですけどね。日本の原風景みたい
な感じで良いですよね。好きなのは七枚目と十枚目
も良いなぁ。でもhiro1jzさんらしいなぁと感じる
のはラストと椿の花が石段に落ちている写真かな?
行って来ましたよ。伊勢。早朝の椿大神社は良い
ですよぉ。雰囲気あるし写真撮りやすいですよ。
六時半くらいだったんですが、あと30分早ければ
と思いましたがね。
あと天一鍬田神社の庄内神社がストレートに良かっ
たですよ。裏ベストは小さいけど小岸大神社。ここ
渋いですよ。ネットで見るより格段に良いです。
フランケンはつぎはぎだらけで正解です。定検が
無茶苦茶大変といってましたよ。
敦賀は怖いと両親が言っていたんですね。それは
理解できますね。敦賀は比較的原発と住民の関係
良いみたいですけど三社?が敦賀に原発持ってい
るんじゃないかな?どこも問題ある会社で怖いん
ですよね。文殊はとくに・・・
そうそう福島原発は人災ですよ。確定。役人もゲロ
しましたよ。
人災というか地震で壊れた場合は保証だけじゃなく
て他の原発も基準見直しで一回全部止めるの困る
んで天災説を流しているんじゃないかって話です。
「~春の心は のどけからまし」という歌がありますが、
里山の春はのどかですね。。。
後半の写真も藤沢周平の時代劇に出てきそうな、良い雰囲気です。
1時間余りの撮影時間で見かけた人は、
軽トラックで通りかかったおじさん一人。
本当に人目に触れることなく、
あるがままに咲いているという感じでした。
とても癒される場所でした。
>eraさん
んー、やっぱりもっと花びらが欲しかったです・・・。
7枚目は私も好きですが、どれが自分らしいかとなると、
自分ではちょっと判らなかったりします。
庄内神社は三重に行くときの候補に入れてます。
参道が良さそうかなぁと。
小岸大神社は明るすぎて駄目かと思ってましたが、
意外と良かったんですね。
椿はやっぱり朝ですよねぇ。
というかeraさんは何度目ですか?
つぎはぎだらけの原発ってイヤだなぁ・・・。
確か私が小学校三、四年の頃、
敦賀湾の海藻から放射能が検出されたことがあって、
その話を両親がしてたんですよ。
それ以来、原発には懐疑的になってますね。
敦賀は関電、原電、動燃の三社ですね。
どこも問題ありそうですか・・・ありそうだなぁ・・・。
もんじゅは確かに、ちょっと・・・ですね。
一回全部止めるっていうのは確かに無理がありますが、
天災で片付けるのも無理がありますよねぇ。
本格的に代替エネルギーを考えないと・・・。
>akeiroさん
里の春を求めて行ったので、とても満足出来ました。
その歌は、桜があるから春の心はのどかではいられない、
ということなのでしょうし、私自身、
もう満開になっただろうか、もう散っただろうかと、
たしかに落ち着かない季節ではありますが、
写真にしてしまえば、おっしゃるように、
ただただ里山ののどかな春、ですね。
この辺り、茅葺民家が多いので、所々で時代劇のような風景に出会えます。
水曜は長野行きましたけどね。
なんとなくhiro1jzさんの写真って薄明かりの中に
対象がポワーっと浮かび上がるイメージ強いんで
すよね。
花びらは多いにこしたことないけど素敵な写真で
すよ。間違いない。
四度目です。特別好きではないんですがなんとなく
立ち寄りますね。今回は純粋に撮影目的でした。
庄内は狙っていましたか!今の宮司さんが境内を
こぎれいにしているのが好印象です。
小岸はどんつきで、そんなに明るくないですよ。
最後の曲がり角の橋が嫌でしたよ。
なかなか、このエリア良いですよぉ。
漏れたことあるんですね。その話は知らなかった
ですよ。
そのエリアの三社は怖いなぁ。良い話聞かないで
すよ。建築終わったあとにもヤ○ザが原発内の事務
所に入れるの、そのエリアだけみたいです。
九州とかは不明だなぁ。東電・東北・中電ではない
話だそうですよ。
時間と投資で代替エネルギー開発して欲しいです
よね。それまでは今の体制かなぁ?
人事異動ですか?
地位が上がって責任も大きくなったのでは?(笑
長野だったらまだ満開だったでしょうね。
薄明かりに浮かび上がる、そんなふうに撮りたいとは思ってますが・・・。
そう言ってもらえると嬉しいですが、
風景、光や風の状況が良かっただけに、
あとは花びらの数だけと、よけい悔しいんですよね・・・。
おお、四回も行かれたことになるんですか。
特別好きというわけでなくても、何か惹かれる要素があるんですかね。
庄内は候補だったんですが、これで確定ですね。
小岸はまだ迷うなぁ・・・。時間があれば、ですかね。
といっても、思った以上に時間が取れず、5月中は無理かも。
橋が嫌というのは、車の通行の意味でですか?
確か当時、敦賀の海水浴客も減ったと思いますよ。
なんかもんじゅは一日当たりの維持管理費が5500万円かかってるそうで、
なんだかなぁ、という感じです。
原発っていうのは、ある程度オープンにして周辺住民に理解を求めないといけないし、
見学会なんかもやっているんでしょうが、
かといってモノがモノだけに、誰でも入れるようでは怖いですね。
そっち方面の方々とは、どういった繋がりがあるのか・・・。
暫く現状維持は仕方ないですが、
維持管理費とかの金額を聞くと、それを代替エネルギーの開発に使えよ、
とか思ってしまいます。
まあ、そう単純ではないのでしょうけど・・・。