宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

「半分のひよこ」『スペイン民話集(エスピノーサ篇)』(第73話):「ひよこを2つに分けた」のにひよこが「死なない」のが謎だ!半分のひよこは1本足でピョンピョン歩いて行くのだろう!

2024-06-21 12:55:43 | Weblog
(1)
2人の奥さんが雌鶏に卵を抱かせると1羽のひよこが孵(カエ)った。2人ともひよこを欲しがったので、ひよこを2つに分けた。1人はその半分のひよこを食べてしまったが、もう1人は半分のひよこを藁積みの中に投げ込んでおいた。
《感想1》「ひよこを2つに分けた」のにひよこが「死なない」のが謎だ。
《感想1-2》どのようにひよこを2つに分けた(切断した)のだろうか?あとで「半分のひよこ」は旅に出るから、歩けるはずだ。半分のひよこは1本足でピョンピョン歩いて行くのだろう。
(2)
「半分のひよこ」は藁積みの中からお金の入った袋を見つけた。そこへ一人の壺売りの男が通りかかって、「その袋のお金をわしに貸しておくれ。8日たてばあんたに返すから」と言った。半分のひよこは袋の金をわたし、壺売りは立ち去った。
《感想2》おそらく壺売りは8日分の「利子」を払って金を返すはずだ。「利子」の支払いなしで、「半分のひよこ」が壺売りに金を貸すわけがない。
(3)
8日たったが壺売りの男は戻ってこなかった。「半分のひよこ」は男を探しに行った。道をどんどん歩いて行くと、途中で、(ア)「狐」に出会った。狐が言った。「おい、半分のひよこ、どこへ行くんだ。お前を食ってやる。」半分のひよこは「だめだめ、僕を食べないで。僕のお尻に入ってちょうだい。僕はぼろ屑で蓋をするから」と答えた。
《感想3》「狐」は寛容だ。①なぜ半分のひよこを「食う」のをやめたのか?また②半分のひよこの「お尻」の中になぜ素直に狐ははいったのか?
《感想3-2》「狐」がひよこの「お尻」の中に入るor入れるというのが謎だ。しかもそのお尻に「ぼろ屑で蓋をする」のだ!不思議だ。
(4)
「半分のひよこ」がさらにどんどん歩いていると、さらに(イ)「狼」、(ウ)「猫」、(エ)「小石だらけの野原」にも会い、彼らは「お前を食ってやる」と言う。しかし彼らも寛容で、①半分のひよこを「食う」のをやめ、また②半分のひよこの「お尻」の中に素直に入る。
《感想4》「小石だらけの野原」が半分のひよこの「お尻」の中に入るというのが、不思議だ。野原は広い。「お尻」の中は四次元空間のようだ。Cf. ドラエもんの「四次元ポケット」のような「お尻」だ。
(5)
「半分のひよこ」がさらにどんどん歩いていると、(オ)「フーカル川」に出会った。フーカル川が言った。「おい、半分のひよこ、どこへ行くんだ。お前を溺れさせて(食べて)やる。」半分のひよこは「だめだめ、僕を食べないで。僕のお尻に入ってちょうだい。僕はぼろ屑で蓋をするから」と答えた。フーカル川は半分のひよこのお尻の中に入った。
《感想5》「川」が半分のひよこの「お尻」の中に入るというのが、不思議だ。「四次元お尻」だ!しかもそのお尻に「ぼろ屑で蓋をする」のだ!
(6)
こうして「半分のひよこ」は壺売りの家に着いた。そして戸口で叫んだ。「ピオ、ピオ、ピオ、僕のお金を返しておくれ。」(ア)壺売りは女房に「鶏小屋に投げ入れておけ、きっと鶏がつついて、ひよこを食ってくれるだろう」と言った。すると半分のひよこは「狐」を(尻から出して)放した。「狐」はすべての「鶏」を食べてしまった。
(6)-2
それから半分のひよこは、また壺売りの家の戸口に言って叫んだ。「ピオ、ピオ、ピオ、僕のお金を返しておくれ。」
(イ) 壺売りは女房に「驢馬小屋に投げ入れておけ、きっと驢馬がひよこを踏みつけてくれるだろう」と言った。すると半分のひよこは「狼」を(尻から出して)放した。「狼」はすべての「驢馬」を食べてしまった。
(6)-3
それから半分のひよこはまた壺売りの家の戸口に言って叫んだ。「ピオ、ピオ、ピオ、僕のお金を返しておくれ。」
(ウ) 壺売りは女房に「兎小屋に投げ入れておけ、きっと兎がひよこを食べてくれるだろう」と言った。すると半分のひよこは「猫」を(尻から出して)放した。「猫」はすべての「兎」を食べてしまった。
(6)-4
それから半分のひよこはまた壺売りの家の戸口に言って叫んだ。「ピオ、ピオ、ピオ、僕のお金を返しておくれ。」
(エ) 壺売りは女房に「オリーブ油の壺に投げ入れておけ、きっと溺れてしまうだろう」と言った。すると半分のひよこは「小石だらけの野原」を(尻から出して)放した。「小石」は「壺」を壊してしまった。
(6)-5
それから半分のひよこは、また壺売りの家の戸口に言って叫んだ。「ピオ、ピオ、ピオ、僕のお金を返しておくれ。」
(オ) 壺売りは女房に「広場にある焚火の上に投げておけ、きっと焼けてしまうだろう」と言った。すると半分のひよこは「(フーカル)川」を(尻から出して)放した。「川」の水は「焚火」を消してしまい、広場にいた人々を流し去ってしまった。
《感想6》「半分のひよこ」が尻の中に入れた(ア)「狐」、(イ)「狼」、(ウ)「猫」、(エ)「小石だらけの野原」(「石」)、(オ)「(フーカル)川」は、それぞれ「半分のひよこ」を殺そうとした(ア)「鶏」、(イ)「驢馬」、(ウ)「兎」、(エ)「(オリーブ油の入った)壺」、(オ)「焚火」をやっつける、すなわち殺し・割り・消してしまう。
《感想6-2》ストーリーの構成は明瞭だ。「天敵」or「強弱」の組み合わせだ。(ア)「狐」-「鶏」、(イ)「狼」-「驢馬」、(ウ)「猫」-「兎」、(エ)「石」(「小石だらけの野原」)-「壺」、(オ)「水」(「フーカル川」)-「焚火」。
(7)
それから「半分のひよこ」はまた壺売りの家の戸口に言って叫んだ。「ピオ、ピオ、ピオ、僕のお金を返しておくれ。」壺売りは女房に「おい、お前、あいつのお金を返して、あいつを帰らせろ」と言った。半分のひよこはお金を返してもらうと帰っていった。
《感想7》「半分のひよこ」はお金を返してもらい、目的を達成した。ただし「利子」はない。「半分のひよこ」は《お人よし》だ。
(8)
しかし途中で自分のお金を勘定してみると、1センティモナ足りない。そこで「半分のひよこ」は再び壺売りの家に引き返し、家にやって来ると叫んだ。「ピオ、ピオ、ピオ、僕のお金を返しておくれ。」
《感想8》センティモナは、スペインで使用された通貨ペセタの補助単位であり、1ペセタ=100センティモナだ。1ドル=100セントのようなものだから、1センティモナはほんの僅かの金額だ。「半分のひよこ」はなかなか「細かい」!「壺売り」に何度も殺されかけて取り返した金なのだから、危険な「壺売り」の家に引き返さないほうが良かったかもしれない。
(8)-2 
壺売りは腹を立て、「半分のひよこ」をつかまえると、首を切り、焼き鳥にして食べてしまった。
《感想9》「壺売り」は実に悪党で、その本性をあらわした。それまで壺売りは、「半分のひよこ」を殺そうとする意図はあったが、自分が直接、手を下そうとしなかった。すなわち(ア)「鶏」、(イ)「驢馬」、(ウ)「兎」、(エ)「(オリーブ油の入った)壺」、(オ)「焚火」によって、「半分のひよこ」を殺そうとした。
《感想10》物語の実に残酷な終了だ。物語の主人公である「半分のひよこ」はあっさり殺されてしまった。
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