※安部悦生『文化と営利 ―― 比較経営文化論』有斐閣、2019「第Ⅰ部 経営文化の理論的解明」「第4章 企業の存在理由と企業組織」(51-65頁)(その2)
(1)-2 企業の目的(理念・目標)(経営理念・経営目的・経営目標)(続)!(54-57頁)
(ⅴ)「株主への高配当&高株価」という企業目的!(54頁)
G 現在のアメリカ企業では、「株主への高配当と高株価」を企業目標とする企業が跋扈する。短期的な利益目標。Ex. ]四半期主義。
G-2 1980年代から技術変化・社会変化によって、スピードが重視され、このような企業目標になった。従業員の賃金、企業内福利はなおざり。株主資本主義の弊害だ。
G-3 1970年代までは、企業目標はもっと長期的だった。従業員福祉も重視されていた(かつてのIBM、GM)。
(ⅵ)「社会的責任の重視」という企業目的!(54-55頁)
H 「環境重視」:これまで環境問題はコスト増になるとして無視されることが多かった。最近では、環境重視が企業の声望(corporate reputation)を高める。Ex. グリーン・インベストメント、SDG(持続可能な開発目標)、ESG(環境、社会、統治)
H-2 「法令順守」(compliance):自然人と同じく法人(legal person)も企業市民(corporate citizen)だ。(ア)脱税つまり税法の問題、(イ)独占禁止法、環境保護法、労働保護法、労働法など。
H-3 企業市民として、(ウ)演劇公演や美術展、音楽会など文化芸術活動への支援(メセナ)(Cf. 古代ローマのMaecenasマエケナス)、(エ)スポーツイベントの支援。
(ⅶ)企業の社風としての「経営理念」!(55-56頁)
I 様々な企業目的・目標のどれを重視するかを示し、掲げられた「経営理念」が企業の社風を示す。
I-2 (a)住友:「浮利を追わず」(堅実経営)、(b)三菱:「産業報国」・「処事光明」(ディスクロージャーorトランスペアレンシー)・「立業貿易」(資源の少ない日本における貿易の重要性)、(c)三井:「現金、掛け値なし」(顧客との誠実な関係)、(d)大丸:「先義、後利」(公正誠実な取引)、(e)キッコーマン:「産業魂」(社会の福祉、国家の発展、労使協調主義)、(f)ソニー:「自由闊達で、愉快な理想工場」、(g)ホンダ:「三つの喜び(買う、売る、創る)」消費者、販売者、生産者の「三方よし」の精神、(h)パナソニック:「水道哲学」(水道の水のように低価格で良質なものを大量供給し物の面から貧をなくす)・「七精神」(産業報国、公明正大、和親一致、力量向上、礼節、順応、感謝)、(i)サントリー:「やってみなはれ」(積極精神)、(j)キャノン:「共生」「実力主義」(単なる年功序列と一味違う日本的経営)。
(1)-3 まとめ:「三方よし」(売手、買手、世間=社会)の理念!(56-57頁)
J 企業目的として最も重要なのは近江商人の唱えた「三方よし」(売手、買手、世間=社会)の理念だ。
J-2 類似したものにフォードの理念がある。買手には安くて質の良い車、従業員には同業他社より高い給料、株主には高配当という「三方よし」。
J-3 かくて他者を犠牲にし、会社の利益のみ追求する企業(Ex. ブラック企業、泥棒専門会社、「梁山泊」というパチンコ荒らし)は企業として存在すべきでない。「三方よし」あるいは「ウィンウィン関係」(カスタマー・サティスファクション(CS)を通じて売手と買手の双方がベネフィットを得ること)がないからだ。
(1)-2 企業の目的(理念・目標)(経営理念・経営目的・経営目標)(続)!(54-57頁)
(ⅴ)「株主への高配当&高株価」という企業目的!(54頁)
G 現在のアメリカ企業では、「株主への高配当と高株価」を企業目標とする企業が跋扈する。短期的な利益目標。Ex. ]四半期主義。
G-2 1980年代から技術変化・社会変化によって、スピードが重視され、このような企業目標になった。従業員の賃金、企業内福利はなおざり。株主資本主義の弊害だ。
G-3 1970年代までは、企業目標はもっと長期的だった。従業員福祉も重視されていた(かつてのIBM、GM)。
(ⅵ)「社会的責任の重視」という企業目的!(54-55頁)
H 「環境重視」:これまで環境問題はコスト増になるとして無視されることが多かった。最近では、環境重視が企業の声望(corporate reputation)を高める。Ex. グリーン・インベストメント、SDG(持続可能な開発目標)、ESG(環境、社会、統治)
H-2 「法令順守」(compliance):自然人と同じく法人(legal person)も企業市民(corporate citizen)だ。(ア)脱税つまり税法の問題、(イ)独占禁止法、環境保護法、労働保護法、労働法など。
H-3 企業市民として、(ウ)演劇公演や美術展、音楽会など文化芸術活動への支援(メセナ)(Cf. 古代ローマのMaecenasマエケナス)、(エ)スポーツイベントの支援。
(ⅶ)企業の社風としての「経営理念」!(55-56頁)
I 様々な企業目的・目標のどれを重視するかを示し、掲げられた「経営理念」が企業の社風を示す。
I-2 (a)住友:「浮利を追わず」(堅実経営)、(b)三菱:「産業報国」・「処事光明」(ディスクロージャーorトランスペアレンシー)・「立業貿易」(資源の少ない日本における貿易の重要性)、(c)三井:「現金、掛け値なし」(顧客との誠実な関係)、(d)大丸:「先義、後利」(公正誠実な取引)、(e)キッコーマン:「産業魂」(社会の福祉、国家の発展、労使協調主義)、(f)ソニー:「自由闊達で、愉快な理想工場」、(g)ホンダ:「三つの喜び(買う、売る、創る)」消費者、販売者、生産者の「三方よし」の精神、(h)パナソニック:「水道哲学」(水道の水のように低価格で良質なものを大量供給し物の面から貧をなくす)・「七精神」(産業報国、公明正大、和親一致、力量向上、礼節、順応、感謝)、(i)サントリー:「やってみなはれ」(積極精神)、(j)キャノン:「共生」「実力主義」(単なる年功序列と一味違う日本的経営)。
(1)-3 まとめ:「三方よし」(売手、買手、世間=社会)の理念!(56-57頁)
J 企業目的として最も重要なのは近江商人の唱えた「三方よし」(売手、買手、世間=社会)の理念だ。
J-2 類似したものにフォードの理念がある。買手には安くて質の良い車、従業員には同業他社より高い給料、株主には高配当という「三方よし」。
J-3 かくて他者を犠牲にし、会社の利益のみ追求する企業(Ex. ブラック企業、泥棒専門会社、「梁山泊」というパチンコ荒らし)は企業として存在すべきでない。「三方よし」あるいは「ウィンウィン関係」(カスタマー・サティスファクション(CS)を通じて売手と買手の双方がベネフィットを得ること)がないからだ。