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宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

『大人のための教科書、新説日本史』編著樋口州男、2011年、日本文芸社(その1:南北朝・戦国時代)

2011-06-23 00:45:02 | Weblog
 テーマごと読み切りの、パラシュート学習法の模範。
 最新の研究成果が反映され「苔むした」日本史のイメージが刷新される快感。
 ここでは最もドラマチックな時代、中世から近世への移行期を扱った第4章を見てみよう。

 第4章 南北朝時代~戦国時代
 1 建武の新政(1333):後醍醐天皇の新政へかける意気込みは異常である。それは何故か?
 宋朝の君主独裁をモデルにして、天皇独裁をめざす情念が後醍醐天皇を動かした。
 独裁を支えるため「異類」「異形」とされるものを抜擢。
 また家格秩序を破壊。しかしこれは伝統勢力の経済的基礎の破壊。猛反発は当然であった。
 後醍醐の「異形」の天皇像が、たちの信仰を集めたことは、彼の歴史的意味を暗示する。
 
 2 室町幕府の成立(1336):建武の新政へ不満を持つ武士が足利尊氏に結集する。しかし幕府がなぜ鎌倉でなく京都なのか?
 尊氏の軍事的基礎が京都の高師直らバサラ(婆佐羅)大名だったから。
 鎌倉に固執した弟直義(タダヨシ)と対立する。
 
 3 南北朝の争乱の開始(1336):南北朝の争乱は長期化し1392年まで約60年続く。それはなぜか?
 ①武家の相続が、分割相続から惣領の単独相続への転換期。そのため一族内の私闘が激しくなる。それらが正統化を求め南北両朝の軍勢への参加をもたらす。『太平記』は第3部以降、一族の果てしない私闘を描く。
 ②戦乱の中で生きねばならぬ民衆が、村の名主・百姓を指導層として戦時の略奪に向かう。「野伏(ノブセリ)」の存在。南北両朝の軍勢への参加が彼らの生業である。
 
 4 足利義満の金閣寺建立(1398):彼はなぜ金閣寺を建てたのか?
 彼は権力欲のかたまりだった。
 ①義満は3000騎の奉公衆を将軍直轄の軍事力として編成。
 ②南北朝を合一し幕府権力の正統性を獲得。
 ③武門の頂点であるだけでなく、太政大臣になり公武の頂点へ。
 ④さらにそれらを辞職、出家し世俗の権力を超越。
 ⑤ついには宗教的勢力も併呑する超越的権力者をめざす。
 義満は1398年、「花の御所」から北山第(キタヤマテイ)に移る。彼の破天荒な夢の実現のための荘厳な政庁。その舞台装置が金閣寺だった。

 5 足利義満、明の2代皇帝恵帝に国書を送る(1401):翌年、義満は「日本国王」に冊封される。明の皇帝の臣下になった目的は何か?
 当然にも貿易の利益の独占である。これは良く知られている。
 なお、念願の「日本国王」に冊封されることが実現した理由は、明からの倭寇の禁圧要求にこたえたことだった。
 14-15世紀は前期倭寇。中世倭人の世界は、朝鮮・日本・中国の国家支配の空隙に生まれた国籍を超えた共同体。内乱が生み出した貧民たちが倭寇の供給源だった。

 6 応永の大飢饉(1420-21):大飢饉の原因は何か?
 ①1420年は春から夏、干ばつ。秋は長雨と台風。
 ②職や有徳人(ウトクジン、富裕な人)による施しを求め、諸国の貧人が都に上るが「万人」が死亡。人口密集で疫病も流行。
 ③義持の時代(1394-1428)が応永。「公武融和政治」(権門体制)で「応永の平和」。実はこれは荘民の収奪の強化だった。
 荘園領主たる公家が将軍配下の守護の軍事力を背景に荘民の収奪を強化。富は支配者層の拠点、京都に集中。農村は疲弊し、ひとたび飢饉に襲われれば生活が破綻。
 ④15世紀中ごろから16世紀後半は寒冷化のピーク。応永の大飢饉はそのさきがけ。( 応仁・文明の乱(1467-)から始まる戦国時代は、寒冷化による生産力減少の中、限られた富の争奪戦だった。)

 7 正長の土一揆(1428):「日本開闢以来」の土民の蜂起の原因は何か?
 正長の土一揆は近江の国から始まり、畿内・近国に広がる。(Ex. 土一揆の圧力で興福寺は大和1国に徳政を宣言。)原因は下記の通り。
 ①(上記6の③)「公武融和政治」(権門体制)=「応永の平和」のもとでの荘民の収奪の強化。
 ②(上記6の④)15世紀中ごろから16世紀後半の寒冷化のピークに向かう途上で、生産力低下。
 ③徳政とは、為政者の代替わりや天変地異を機に為政者が行う善政。土民たちは為政者の徳政の観念(支配の正当性のひとつ)を逆手に取り金融業者たちに私徳政を認めさせた。
 (1428年は義持が没し、義教が就任。年号が応永から正長に改められる。称光天皇が没し後花園天皇即位。又、この年、京都で疫病、2度の洪水、各地で飢饉。)
 

 8 嘉吉の変(1441):5代将軍足利義教(ヨシノリ)が赤松満祐邸で謀殺される。
 将軍となった義教(義満の3男)は兄義持の政策を否定し、父義満への回帰を目指す。権力の強大化をめざし恭順しない者を次々に殺す。義教の恐怖政治。
 Ex. 永享の乱(1438)では鎌倉公方足利持氏を討伐。
 嘉吉の乱では、討伐されることを知った赤松満祐が先手を打った。
 この事件を機に、将軍の権威失墜。強力な裁定者を失い、幕府を支えた守護家の内部で内紛激化。

 9 応仁・文明の乱(1467-77):①家督争いの連鎖&②足軽の略奪
 ①将軍家の家督争い(義政の弟義視=後見人細川勝元(東軍)、義政の子義尚(ヨシヒサ)=後見人山名宗全(西軍))、畠山・斯波両管領家の家督争い、各地の守護家の家督争いが絡み、戦乱が京都から地方に拡大。
 家督争いは、一揆を結んで主家の家督継承への発言を強めた在地領主としての家臣たちにより、引き起こされた。
 彼ら在地領主はまた、一揆を結んで力を強めた領民たちに突き上げられた。領民たちは「平和」(=闘争終結)を維持できる実力を主家の家督継承者に求めた。
 西軍諸将が下向し応仁・文明の乱は終結する。
 下向した彼らを待ち受けていたのは在地の家臣たちの「下克上」だった。戦国時代の開幕。
 ②応仁・文明の乱から戦いの主力は足軽となる。彼らは戦場での金品の略奪、人の略奪(乱取り)を生業とした。足軽とは、飢饉によって、富の集積地の京都に流入した貧民たち。京都は略奪で荒廃。

 10 山城の国一揆(1485-1493):国人たちは領地支配の安定と強化を求めたのであって、自治支配が目的ではない。
 ここにあるのはホッブズ問題。万人の万人に対する闘争状況の下で、平和(=闘争の終結)をもたらす強力な権力が求められる。
 応仁の乱終結後も南山城で戦闘を継続していた畠山義就(ヨシヒロ)と政長を、南山城の国人(在地の領主層、荘官)たちが民衆の見守るなか集会を開き、両畠山軍の国外退去を決定。そして実現させる。その後8年にわたり国を自治支配。
 荘園はもとのように荘園領主の支配へ。①荘園領主と地下請契約していた民衆に好都合。②荘官(在地領主)の地位を荘園領主に認められていた国人層にも有利。
 しかし細川政元が幕府の実権を握り、家臣を守護に任命し南山城の支配に乗り出すと、国人たちの多くは守護の支配に服す。国一揆は8年で分裂・解体。
 国人たちが求めたのは領地支配の安定と強化であって、自治支配が目的ではない。
 Cf. 一揆とは政治的連合のこと。

 11 北条早雲による相模平定(1516):ホッブズ問題の解決としての戦国大名の誕生
 将軍から任命され領国を支配した守護大名に代わり、将軍権力から自立して領国を支配する戦国大名の誕生。
 自立した地域権力、紛争裁定者としての戦国大名。強力な紛争裁定者たる将軍権力はすでに衰退。
 在地領主や領民が闘争の終結を望む。
 早雲は領国内の在地領主や領民の合意の下、指出(サシダシ)検地(家臣や村に土地面積・年貢高を自己申告させる検地)により領国内を統一的基準で掌握・統制し、領国内唯一の紛争裁定者となる。Cf. 相模の指出検地(1506)は戦国大名最古の検地。
 ここにあるのもホッブズ問題であり、闘争の終結をもたらす強力な権力が求められる。

 12 鉄砲伝来(1543):ポルトガル人が伝えたのではない!
 鉄砲伝来は種子島が起点で、紀州の根来(ネゴロ)、泉州の堺、さらに畿内・関東に広まったとの通説は怪しい。
 鉄砲は様々の種類のものが列島各地に多元的に伝えられた可能性が高い。またヨーロッパ製鉄砲と異なる「異風筒(イフウヅツ)」も多数、使われていた。
 種子島に漂着した船は、後期倭寇の首領「王直」の船であったと考えられる。(Cf. 後期倭寇の主体は中国人だが、西日本の日本人も多く参加。)鉄砲を日本にもたらしたのは東南アジアまで進出しヨーロッパ人とも交易した後期倭寇たちだった。
 
 13 フランシスコ=ザビエルが鹿児島に来着(1549):ザビエルはなぜ日本に来たか?
 ①深い悩みに苦しむ鹿児島出身のアンジロウが、親交していたポルトガル商人からザビエルに教えを請うべきことを勧められた。マラッカでアンジロウは洗礼を受ける。
 自分の国ではキリスト教に改宗する機が熟しているとのアンジロウの報告を聞き、ザビエルは日本への布教を決意。
 ②当時の日本は戦国時代の悲惨な現実のもとにあり、救済を求める動機があった。
 ザビエルは大内氏の城下町山口で布教。日本人について「話が分かれば神のこと神聖なことについてむさぼるように聞く」と記す。

 14 川中島の戦い(1553):信玄と謙信は以後12年、計5回戦う。なぜか?
 寒冷化の進行、慢性的危機状況のもと戦国大名は、領国家臣団・民衆の支持を維持するため侵略戦争が不可避。
 信玄は信濃侵略、さらに日本海交易の利益獲得のため越後侵略を目指した。
 謙信にとり天然の要害の川中島は、善光寺門前町さらに越後の重要な防衛ラインだった。
 かくて両雄が衝突した。

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『福島原発メルトダウン』広瀬隆(1943生)、2011年、朝日新書

2011-06-15 00:34:29 | Weblog
  1 原発事故は「想定外」でなく、傲慢にも「想定しなかった」
 ① 震災は天災だが原発事故は人災である。原発事故は「想定外」ではなく、傲慢にも「想定しなかった」だけである。地震学者・石橋克彦氏が言う「原発震災」が今回、現実化した。原発推進論者は犯罪者集団。
 ② 2011/4/27現在、原子炉の底から放射能がジャブジャブ流れ出ている。子ども・妊婦はできるだけ逃げる。
 ③ 全国17カ所、54基の原子炉が日本にはある:「原発列島」。浜岡原発は即刻、止めるべき。東海地震が起きる。東名・新幹線が近い。東京圏・名古屋圏が壊滅する。「狼少年」の話と同様、「狼」が必ず来る。

  2 津波に暴かれた人災
 ① 福島原発1号機は1971年運転開始。すでに40年経過。部品の寿命は普通、30年。「60年、運転可能」と東電の暴言を、原子力安全保安院が認める。
 ② 原発はお湯を沸かしているだけ。
 ③ 東電は5.5mの津波しか想定していなかった。実際は14mだった。「想定外」はうそ。1896年明治三陸地震、1933年昭和三陸地震、1993年北海道南西沖地震でも津波は25m以上。日本のすべての原発は津波対策がなされていない。最高で北海道・泊原発が9.8m想定。他の原発はそれ以下。半数は5m以下を想定。
 ④ 電源喪失後、すぐにディーゼル発電機を積んだ電源車が助けに行けばよかった。
 ⑤ 日本はステーション・ブラックアウト(中央制御室の停電)を想定していなかった。
 ⑥ 東電は原発を運転しているが「素人」で、作ったのはGE。しかし東電はGEの助けを今回、断った。
 ⑦ 福島第一原発1-5号機は欠陥品。GEのマークⅠ型原子炉。GE設計陣が「もう少し余裕を見てくれ」と言ったのに東電は経済性を安全性より重視し、マークⅠの格納容器は4気圧までしか耐えられない。
 ⑧ 3・12深夜、圧力容器の圧力がストンと落ちる。おそらく圧力容器につながる配管が壊れたはず。

  3 世論操作
 ① 「ただちに健康に影響がない」とはどういうことか。問題は子どもたちが体に取り込む放射能の安全性である。急性放射線障害が起きたら論外。
 ② 水素爆発さえ予測できなかった「専門家」とは何か。ニセ者。
 ③ 1号機につぎ、3号機も水素爆発。ところが3号機はプルサーマルが行われていた。プルトニウムを使った軽水炉がプルサーマル(和製英語)。プルトニウムは最強の毒物。α線による体内被曝が起きる。すでにプルトニウムが飛び散る。
 ④ 「1000年に1度の大地震」は本当か?(Cf. M0.2でエネルギーは2倍。)「気象庁マグニチュード」で計算しM8.4と発表していたが、後に「モーメント・マグニチュード」で再計算しM9.0とした。世論操作で、東電など原発推進派が責任のがれ。

  4 放射能との長期戦
 ① 発表される数値そのものを疑うべき。
 ② α線は紙1枚で止まる。β線は金属・コンクリートで止まる。γ線=x線。さらに危険なのは中性子線。
 ③ 怖いのは体内被曝。レントゲンや宇宙線は一過性で体内被曝ではない。「ただちに影響がない」のは「対外被曝」のみ。放射線の強さは距離の2乗に反比例する。逆に近づけば距離の2乗に比例する。ぺたっと張り付いて距離が1ミクロンなら1メートルの時と比べ距離が100万分の1なので放射線の強さは1兆倍となる。
 ③-2 プルトニウムはα線を出す。モニタリング・ポストで測定するのはγ線のみ。体内被曝ではγ線のみでなくα線、β線も浴びる。
 ③-3 体内被曝でDNAの鎖が壊れ遺伝子損傷。癌の可能性。細胞分裂が活発な子供・胎児に大きな影響。
 ③-4 また成長期にある子供では甲状腺ホルモンが重要なのでヨウ素131が甲状腺に集まり甲状腺ガンになりやすい。
 ③-5 ストロンチウム90が30キロ圏外で検出。カルシウムに似て骨に蓄積。白血病の危険。
 ④ 1ミリシーベルトが一般の人の年間被曝量の上限:ICRD(国際放射線防護委員会)による。福島第一原発3号機の水素爆発の翌日(3/15)の3号機周辺の放射線が「1時間当たり400ミリシーベルト」。これは365日×24時間=8760をかけて年間約350万ミリシーベルトとなる。
 ⑤ 原発作業員の年間被曝量の上限は50ミリシーベルトだが、3/15に100ミリシーベルト、さらに250ミリシーベルトに引き上げられた。
 ⑥ 200キロ離れていてもチェルノブイリ事故ではホットスポットがあった。雲と雨で放射能が運ばれる。
 ⑦ 放射能は水・土壌に蓄積される。
 ⑧ 植物・動物の食物連鎖による生物濃縮が怖い。再処理工場があるコロンビア川についての研究によると低汚染水の放射能1とすると、プランクトン2000倍、魚1.5万倍、アヒル4万倍、川の虫を与えられる子ツバメ50万倍、水鳥の卵(黄身)100万倍。
 ⑨ どうすべきかの著者の考え:(1)若い人、30歳以下、幼児、妊婦は福島第一原発から250キロ以上離れたところ、風向きからいって西日本に退避。(2)退避者の受け入れ態勢を政府が整備。(3)食品汚染のデータの長期にわたる測定・公表。(4)30歳を超えた個人は自らの判断による選択を可能とした上で、農家・漁業者を守るため出荷制限をやめ放射能汚染食品を食べ、放射能汚染水を飲む。政府は「健康に直ちに影響はないが。将来、ガンになる可能性はある」と言う。
 ⑩4月下旬現在、福島県内の小中学校の75.9%は毎時0.6マイクロシーベルト(年間5.3ミリシーベルト)。これは「放射線管理区域」に相当する放射線量。原発内での労働と同じ環境。すぐに学童疎開が必要。

  5 世界有数の地震多発地帯の日本:原発は危険すぎる
 ① 日本は世界有数の地震多発地帯。日本に原発は危険すぎる。日本の地震学者は日本から原発を全廃すべきと言うべき。
 ①-2 プレート・テクトニクスによれば日本は4つのプレートが重なり、衝突するところ。日本には巨大な活断層、中央構造線がある。
 ①-3 間氷期、縄文時代の海進のあと、その土・泥の上に日本の原発がある。
 ①-4 日本列島の原型はわずか3000万年前にできた。アルプス以北のヨーロッパは5-10億年前、イタリアでさえ2億年前にできた。
 ② プレート境界型地震と内陸直下型地震がある。
 ③ 東海地震・南海地震はプレート境界型地震で1300年代以降は150年周期で起きる。1707年宝永東海・南海地震、1854年安政東海・南海地震、すでに157年たつので東海・南海地震が起きる可能性が高い。

  6 次の原発震災は中部電力浜岡原発
 ① 浜岡原発は150年に一度の東海地震の震源地の真上にある。「今後30年に東海地震が起こる確率87%」と政府の地震調査研究推進本部の予測。浜岡原発ではプレート境界型地震かつ内陸直下型地震が起きる。
 ② 福島第一原発でも地震で配管が損傷し冷却水喪失したはず。浜岡原発で直下型地震が起きれば配管破断で直ちにメルトダウンする。
 ③ カナダのテュゾー・ウィルソンのプレート・テクトニクス理論の完成は1968年。浜岡原発の計画決定1969年、1971年建設開始、以後見直されることなし。1980年代に、プレート・テクトニクスが共通認識となる。
 ④ 耐震補強など当てにならない。原発の「運転」しか考えていない。
 ④-2 高さ10メートルの砂丘など津波で押し流され消える。
 ④-3 砂丘の内側の15メートルの壁はただの直立壁で津波を防げない。
 ⑤ 浜岡原発の発電量などクリーンな天然ガス火力発電所で代替可能。

  7 「原発列島」日本:活断層の危険
 全国18ヵ所の原発プラント。54基の原発。
 活断層:数十万年の間に繰り返し地震。
 (1)北海道電・泊(トマリ)原発:地震の危険。耐震性低い。
 (2)東北電・東通(ヒガシトオリ)原発:活断層の上。六ヶ所村再処理工場にあわせ低い耐震性。
 (3)東北電・大間(オオマ)原発:近くに活断層、火山。
 (4)日本原燃・六ヶ所村再処理工場:パイプの中を放射性物質が流れる大プラント。低い耐震性。M8クラスの地震が起こりうる活断層あり。縄文時代は海底で地盤軟弱。
 (5)東北電・女川原発:地震多発地帯にある。
 (6)東電・福島第一原発:1-3号機メルトダウン。東北地方三陸沖地震による。
 (6-2) 東電・福島第二原発:直下型地震を引き起こす双葉断層がある。
 (7)日本原子力発電(原電)・茨城東海第二原発:茨城県は「地震の巣」。活断層あり。断層を細かく区切って揺れを小さく計算するペテンあり。
 (8)東電・柏崎刈羽(カリワ)原発:7基の原発、世界最大の原発プラント。石油が出る軟岩の上にあり破砕で震度が大きくなる。しかも多くの活断層。2007中越沖地震で痛めつけられた設備のまま運転。斑目春樹は原発推進の「デタラメハルキ」。
 (9)北陸電・志賀(シカ)原発:弱い地盤。縄文時代は海底。ボーリング調査のサンプルを捏造。
 (10)若狭・「原発銀座」(5つの原発プラント):1. 原電・敦賀、2. 関電・美浜(老朽、1970運転開始)、3. 関電・高浜、4. 関電・大飯(オオイ)、5. 日本原子力研究開発機構(原研機構)・高速増殖炉もんじゅ。
 (11)中電・島根原発:22キロの断層が見つかったのに保安院、原子力安全委の御用学者がゴーサイン。
 (12)四国電・伊方原発:最大の活断層「中央構造線」上に建設。「この地域は地震が少ない」と低い耐震性。保安院、原子力安全委がゴーサイン。
 (13)九電・佐賀玄海原発:1号機は運転歴36年で水を急に注入すると一気に破壊の可能性。2009年から3号機はプルサーマル運転。危険なプルトニウムを浴びる可能性。近くに断層群。
 (14)九電・鹿児島川内(センダイ)原発:中央構造線の終点。桜島噴火2009年激しくなる。

  8 完全崩壊した日本の原子力政策
 「原発は温暖化対策に有効でクリーン」か?
 「原発がなければ電力需要がまかなえない」か?
 日本は原発54基で破滅しないのか?
 ① 原発は発電量の2倍の熱を温排水で捨て海を加熱。これは温暖化そのもの。
 ② さらに原発の嘘の経済性。長大な送電設備が高コスト。
  
  8-2 原発がないと電力需要がまかなえないか?
 A 実は最もクリーンな天然ガス火力の稼動率を5-6割に意図的に抑えてきた。石油火力にいたっては1-2割の稼働率。直ちにともにフル稼働せよ。夏場の電力不足はデマ。
 B 資源枯渇はデマ。全世界で新たな天然ガス田が次々開発されている。新たな天然ガス資源としてコールベッドメタン、タイトサンドガス、シェールガス、メタンハイドレートも確認。ガスだけで200年分ある。
 C 保安院の西山英彦審議官の無能。「原発なしで日本はやっていけない」との恫喝。発電と送電を分離。送電網は国有にする。独立系発電事業者(Ex. 新日鉄、昭和電工、日立製作所、東京ガスなど)の発電能力は原発に相当する5000万kwある。
 D 日本に原発は要らない。ど素人で無知な停電論議はやめよ。夏の電力需要ピーク時の電気代を高くすれば企業はすぐに節電する。
 以上より、①電力会社が独占してきた電力の完全自由化、②送電線を分離せよ。

  8-3 六ヶ所村再処理工場は破綻
 六ヶ所村には約3000トンの使用済み核燃料がある。しかももう満杯。冷却ができなくなれば大爆発の危険。使用済み核燃料は原発から毎年1000トン発生する。各原発に置いておくしかないがそれも10年で置き場所がなくなる。
 六ヶ所村の再処理工場は破綻続きで再処理(ウラン235とプルトニウムを取り出す)が進まない。使用済み核燃料のストックが減らない。

  8-4 日本人は知性を持ち原発を廃棄せよ。
 福島第一原発の放射能漏れはだらだら続く。
 エセ専門家のエセ安全論で日本人はマヒ、被曝をますます広げる。
 メルトダウンした放射能の塊をどこに処分するのか?
 プルトニウムは半減期2万4000年。子孫への責任がある。
 原子力と人間は共存できない。
 放射能汚染国家日本の烙印で日本経済は大打撃。
 日本人は知性を持ち原発を廃棄せよ。
 世界が日本を信用せず、日本が世界から孤立するのを避けよ。

  《読後の感想》
 原発全廃に賛成。第二、第三の原発震災の可能性は高い。日本に原発は要らない。日本を滅ぼしてはいけない。浜岡原発は運転停止したが核燃料は他の安全なところに移す必要がある。他のすべての原発も同様。原発は危険すぎる。「原発がなくても日本はやっていける!」

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『ねじまき少女』パオロ・バチガルピ(1973生)、ハヤカワ文庫

2011-06-08 21:46:11 | Weblog
  1 時代
 時代は近未来。舞台はタイ王国の首都バンコク。
 石油は枯渇。石炭エネルギーが軍事用に残る。メタンが重要な燃料。エネルギーは新型ぜんまいに蓄積する。
 遺伝子操作生物により生態系が破壊され、瘤病など新種の疫病が蔓延する。
 温暖化による海面上昇でバンコクは水没の危機。
 穀物は不稔化され西洋人のカロリー企業(穀物企業)から購入するしかない。
 遺伝子操作生物の登場。死肉をあさるチェシャ猫、力仕事をする巨大な象型動物メゴドントなど。
 民族浄化=中国人虐殺がマレーシアなどで発生している。
 
  2 タイ王国
 タイ王国は検疫の強化と疫病の絶滅作戦、つまり鎖国によって時代を生き延びる。
 環境省と白シャツ隊が検疫と防疫を担当。鎖国派。トップはプラチャ将軍。
 通産省は開国派。トップはアカラット通産大臣。その黒幕が摂政ソムデット・チャオプラヤ。
 西洋人アンダースンはカロリー企業アグリジェン社の代理人。遺伝子多様性の宝庫であるタイ王国の種子バンク、また遺伝子操作の天才科学者ギボンズ博士を獲得しようとする。
 ギボンズ博士は環境省が軟禁し検疫と防疫について諮問される。

  3 クーデター
 開国派通産省のアカラットが鎖国派環境省のプラチャ将軍を打倒するためクーデターを起こす。
 通産省のアカラットは西洋人のカロリー企業と手を結ぶ。
 この同盟は一方で権力闘争の勝利のための野合、他方で開国がタイ王国を救うとの経済路線にもとづく。
 この野合に際し、西洋人のカロリー企業に種子バンクの種子を提供することを通産省のアカラットがOKする。
  
  4 白シャツ隊のカニヤ隊長
 かつて子どものころ、環境省白シャツ隊の防疫作戦で村を焼き尽くされたカニヤは、報復のため通産省のスパイとなり、白シャツ隊に潜入。やがてバンコクの虎、ジェイディー隊長の副官になる。
 ジェイディー隊長の死後、カニヤが隊長となる。
 通産省のクーデター成功後、カニヤは降伏し協力を誓うが、環境省白シャツ隊の隊長であり続ける。
  4-2 新たなバンコクの虎、カニヤ隊長
 最後にしかしカニヤは、カロリー企業に種子バンクの種子を提供する通産省アカラットに敵対。カロリー企業の西洋人を殺す。
 報復の西洋人の攻撃でバンコクは水没。しかし種子バンクは秘密の場所に移され西洋人から隔離された。
 カニヤ隊長にとって守るべきはタイ王国の誇りと独立だった。

  5 ねじまき少女エミコの運命
 遺伝子操作の合成生物がねじまき。軍用ねじまきなど多くの種類がある。新人類とも呼ばれる。しかし心=魂はない。簡単に破壊・廃棄される。
 ねじまきは試験管から生まれる。不妊。またねじまきとわかるように動きがギクシャクするよう作られる。
 だが、ねじまきの髪の毛からクローンを誕生させ、それを遺伝子操作で子孫産出可能にできる。また動きも普通の人類と同じにできる。
 そうすれば、不妊とギクシャクした動き以外の点はすべて、これまでの人類より優秀な新人類=ねじまきが、人類に取って代わる日がやがて来る。
 そして確かに、実はすでに、ねじまきは心=魂を持つ。

《読後の感想》
 ① タイのバンコクが舞台でエキゾチズムにあふれる。
 ② ストーリーの展開が見事。
 ホク・センはただの従順な中国人ではなかった。かつての大財閥の零落した姿。
 カニヤは環境省白シャツ隊のただの副官ではなかった。彼女は実は通産省のスパイ。
 アンダースンはただの新型ぜんまい工場のオーナーではなかった。彼は世界を支配するカロリー企業(穀物企業)アグリジェン社の代理人。
 エミコはただの従順なねじまき少女ではなかった。軍用ねじまきに等しい暴力的能力が隠されていた。ねじまき少女エミコの隠された超人的能力。
 ③ メッセージは
 (1)遺伝子操作の合成生物も心を持つのだ、人類と変わらないということ。
 (2)穀物企業による輸出or販売穀物の不稔化は許されるべきでないこと。
 (3)生態系破壊の最大の問題は、疫病・新種の微生物の出現であること。

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