プロローグ
A 種子島宇宙センターで新開発の大型水素エンジン“セイレーン”を使った実験衛星打ち上げ実験失敗:宇宙開発機構。
B 佃航平は、大型水素エンジンの研究・開発に大学で7年、機構で研究員として2年携わる。機構の同僚が三上孝。
第1章 カウントダウン:佃製作所の苦境(1)京浜マシーナリー、(2) ナカシマ工業
A 京浜マシーナリーより、佃製作所に対し、エンジン部品、来月末取引終了の通告。10億円売上減少。
A-2 経理部長・殿村(白水銀行からの出向)が資金繰りのため3億円の融資が必要と判断。
B 佃製作所は、ロケット用水素エンジンのバルブシステムの特許を持つ。ただし銀行は死蔵特許と評価しない。
B-2 佃社長は、ロケットの打ち上げ失敗の責任を取らされ研究員をやめ、父親の町工場・佃製作所を継いだ。
C 3億円の融資はできないと佃の取引銀行の白水銀行。
C-2 殿村が融資がだめなら、定期預金を取り崩すとの方針。
D 大企業のナカシマ工業が、小型エンジン“ステラ”の技術を、特許侵害したと佃製作所を訴える。
D-2 さらにこれをナカシマ工業が、プレス発表。
D-3 事実は、むしろナカシマ工業側が、佃製作所の特許を侵害。
D-4 ナカシマ工業は、佃製作所の資金繰りが行き詰るのを待ち、和解に持ち込む意図。佃製作所を子会社化して、その技術を手に入れるのが目的。
E ベンチャー・キャピタルのナショナル・インベストメントが、佃製作所の資金繰りを可能にする。
E-2 また佃製作所の特許について、抜けがないように、見直しをアドバイス。
F 神谷弁護士のすすめで、佃製作所が、ナカシマ工業の“エルマーⅡ”を特許侵害で訴える。
第2章 迷走スターダスト計画(帝国重工):水素エンジンのバルブシステム特許問題
G 帝国重工:藤間社長が「スターダスト計画」推進。大型商用ロケットの開発。そしてキーデバイスの内製化方針。
G-2 本部長・水原、宇宙航空部開発担当部長・財前、宇宙開発グループ主任・富山。
H ところが水素エンジンのバルブシステムの特許を、帝国重工は取れず。その特許は、すでに、佃製作所が持つ。
H-2 帝国重工が特許を20億円で買うと、佃製作所に提案。これに対し殿村は100億円と主張。
H-3 しかし佃社長は「売りたくない」と言う。特許使用許諾契約を提案。
I ナカシマ工業の佃製作所に対する特許侵害訴訟について、「引き伸ばし」をしないようにと裁判長。
I-2 (1)佃製作所のナカシマ工業に対する特許侵害訴訟について、ナカシマ工業が56億円の支払い、また(2)ナカシマ工業側の訴えの取り下げ。以上の内容の和解案を裁判長が提示。両者が受け入れ。
J 帝国重工の財前部長、キーデバイスの内製化方針に反するが、佃製作所と特許使用契約を結ぶしかないと決断。
第3章 下町ドリーム:水素エンジンのバルブシステム、部品供給か特許使用契約か?
K ナカシマ工業との和解後、佃製作所に白水銀行の支店長が来るが、和解金56億円が支払われたら、白水銀行との取引は解消すると殿村。
L 帝国重工が年5億円、7年間、合計35億円を支払う特許使用契約を提案。
M 特許使用契約でなく、部品供給をしたいと佃社長。エンジンメーカーとしての夢とプライド。新型ロケットエンジン開発は、研究者だった佃社長の夢。
N 帝国重工の財前部長が、佃製作所を見学。売り上げ100億円、従業員200人の小企業にすぎないが「佃品質」「佃プライド」に気づく。部品供給を検討してもよいと思い始める。N-2 ただしキーデバイスの外注は、藤間社長の「部品(キーデバイス)の内製化方針」の例外となる。
O 水素エンジンのバルブシステムについて、部品供給か特許使用契約かで佃製作所内部が分裂。
O-2 若手社員は「特許使用契約にせよ」と要求。「社長の夢になぜ付き合うのか?」「資金繰りに苦労し、いつ路頭に迷うか分からない状況で仕事はできない。」
O-3 「ロケットのキーデバイスを供給することで、商売が大きくなる可能性がある」と、殿村。
O-4 「佃製作所は、社長の技術力と情熱で伸びてきた」との意見もある。
第4章 揺れる心(佃社長):佃製作所にとどまるか、教授職に戻るか?
A 佃社長に対し、「会社を売る気はないか」と、ベンチャー・キャピタルからの提案。
A-2 社員の反発にあい、佃社長は心が揺れる。
B 宇宙開発機構のかつての同僚、三上、現在は大学教授から、「教授職に戻らないか?ポストがある」と佃社長に、提案。
C 佃社長への両提案は、ともに、帝国重工の「スターダスト計画」本部長・水原の工作だったと後で明らかとなる。帝国重工による特許取得のため、佃製作所買収工作。
第5章 佃プライド:部品供給を不可としたい帝国重工の評価テスト
D 部品供給企業に対する帝国重工の評価チームが、佃製作所に来る。
D-2 帝国重工の主任・富山は評価テストで、部品供給を不可とし、特許使用契約に持ち込みたい。
E 佃製作所の若手社員など特許使用契約派(=部品供給反対派)は、帝国重工の評価テストに落ちた方が、特許使用契約になるから、その方がいいと思っていた。
E-2 財務評価では、営業赤字が攻撃される。しかし銀行出身の殿村が「佃製作所はいい会社だ」と主張。
E-3 技術評価では、帝国重工側は、手作業の重要性を全く理解しない。
E-4 帝国重工側の見下した態度に、特許使用契約派(=部品供給反対派)が怒る。「プライドの問題だ」、「会社が小さいと思ってナメてんじゃねえ」と発言。
F 帝国重工の評価テスト第2日目、「佃品質」、「佃プライド」のポスターが張られる。
G 佃社長は、従業員の変化に感激し、三上教授に、大学に戻らないと電話する。
H 帝国重工の主任・富山に対し、評価は「公正に行う」と財務評価担当・田村、技術評価担当・溝口。「帝国重工マンとしてのプライド」と言う。財務評価は「優良」、技術評価は「A」。
第6章 品質の砦:佃製作所の水素エンジン用のバルブは、帝国重工のテストに合格
I 水素エンジン用のバルブのテスト。
I-2 テスト用のバルブ15個のうち1個が異常値を示す。
J 佃製作所の若手従業員で特許使用契約派(=部品供給反対派)の真野が、故意に、不良品と入れ替えた。
J-2 ただしテストの数値を悪くするのが目的で、不合格にまでする気はなかったとのこと。
K 帝国重工の主任・富山は部品供給を不可とし、特許使用契約に持ち込みたいので、納品ミスを認めず、再テストをしない。
K-2 しかし財前部長は、「バルブシステムの特許が競合外国企業等に渡ってはまずい」、「佃製作所からの部品供給も仕方ない」と考える。かくて納品ミスを認め、正規のバルブを受け取り、再テストするよう指示。
L 「部品供給ができないなら、特許使用契約もしない」と佃社長。
M 佃製作所の水素エンジン用のバルブは、帝国重工のテストに合格。
M-2 かくて帝国重工、財前部長は、水素エンジン用バルブシステムの佃製作所からの部品供給を受け入れる決断。
第7章 リフト・オフ:帝国重工、佃製作所からのバルブシステム部品供給を認める
(1)帝国重工の新型水素エンジン「モノトーン」燃焼実験、失敗
N 帝国重工の新型水素エンジン「モノトーン」の燃焼実験
N-2 佃製作所が約40種類、80個のバルブを提供。
N-3 ところが燃焼実験失敗!
O 原因は二酸化ケイ素が紛れ込み、バルブがうまく作動せず。
O-2 フィルターに付着していた。帝国重工のミス。
P 「スターダスト計画」水原本部長も、財前部長とともに、佃製作所からの水素エンジンのバルブシステムの部品供給を認める。
(2)帝国重工、佃製作所からのバルブシステム供給を認める
Q かつて佃社長は、宇宙開発機構の大型水素エンジン「セイレーン」開発主任。帝国重工の藤間社長は当時、製造委託された帝国重工の担当責任者だった。
Q-2 佃製作所の水素エンジン用バルブシステムを「うちが採用しないと競合他社が採用するかもしれない」と財前部長。
Q-3 「キーデバイスの内製化方針の例外とする」と藤間社長。水原本部長がほっとする。
(3)「モノトーン」燃焼実験、成功
R バルブシステムの部品供給成功。「佃品質を帝国重工に知らしめた!」と殿村、男泣き。
S バルブの特許を次世代の佃製作所の柱にしたいと佃社長。
T 特許が専門の神谷弁護士が、佃製作所の顧問弁護士となる。
U ベンチャー・キャピタルのナショナル・インベストメントが、佃製作所の新規事業への投資を打診。
V 大学の助手となった真野が、水素エンジンのバルブシステムが人工心臓に応用可能と佃社長にメール。
エピローグ
W 種子島宇宙センターから帝国重工の新型水素エンジン「モノトーン」搭載のロケット打ち上げ成功。
W-2 佃社長に、娘莉菜が花束をわたす。
《評者の注》
1 一方で経営者の夢の実現と、他方で従業員の現実主義との相克が描かれ、リアリティがある。
2 従業員200人の中小企業経営者が、資金繰りに、どんなに苦労するかが分かる。銀行が嫌われる理由も明白。
3 特許ビジネスの重要性、また特許をめぐる訴訟の専門性などが、よく理解できる。
4 帝国重工という超巨大企業内部での意思決定過程が、具体的に描かれ、よく分かる。
5 「特許売却」、「特許使用契約」、「部品供給」の3レベルの区別が、物語のポイント。
6 ベンチャー・キャピタルの役割が、理解できる。
7 下請け企業に対する親企業の傲慢さが、憎々しい。
8 全体として過不足なく物語の諸要素が、構成されている。
A 種子島宇宙センターで新開発の大型水素エンジン“セイレーン”を使った実験衛星打ち上げ実験失敗:宇宙開発機構。
B 佃航平は、大型水素エンジンの研究・開発に大学で7年、機構で研究員として2年携わる。機構の同僚が三上孝。
第1章 カウントダウン:佃製作所の苦境(1)京浜マシーナリー、(2) ナカシマ工業
A 京浜マシーナリーより、佃製作所に対し、エンジン部品、来月末取引終了の通告。10億円売上減少。
A-2 経理部長・殿村(白水銀行からの出向)が資金繰りのため3億円の融資が必要と判断。
B 佃製作所は、ロケット用水素エンジンのバルブシステムの特許を持つ。ただし銀行は死蔵特許と評価しない。
B-2 佃社長は、ロケットの打ち上げ失敗の責任を取らされ研究員をやめ、父親の町工場・佃製作所を継いだ。
C 3億円の融資はできないと佃の取引銀行の白水銀行。
C-2 殿村が融資がだめなら、定期預金を取り崩すとの方針。
D 大企業のナカシマ工業が、小型エンジン“ステラ”の技術を、特許侵害したと佃製作所を訴える。
D-2 さらにこれをナカシマ工業が、プレス発表。
D-3 事実は、むしろナカシマ工業側が、佃製作所の特許を侵害。
D-4 ナカシマ工業は、佃製作所の資金繰りが行き詰るのを待ち、和解に持ち込む意図。佃製作所を子会社化して、その技術を手に入れるのが目的。
E ベンチャー・キャピタルのナショナル・インベストメントが、佃製作所の資金繰りを可能にする。
E-2 また佃製作所の特許について、抜けがないように、見直しをアドバイス。
F 神谷弁護士のすすめで、佃製作所が、ナカシマ工業の“エルマーⅡ”を特許侵害で訴える。
第2章 迷走スターダスト計画(帝国重工):水素エンジンのバルブシステム特許問題
G 帝国重工:藤間社長が「スターダスト計画」推進。大型商用ロケットの開発。そしてキーデバイスの内製化方針。
G-2 本部長・水原、宇宙航空部開発担当部長・財前、宇宙開発グループ主任・富山。
H ところが水素エンジンのバルブシステムの特許を、帝国重工は取れず。その特許は、すでに、佃製作所が持つ。
H-2 帝国重工が特許を20億円で買うと、佃製作所に提案。これに対し殿村は100億円と主張。
H-3 しかし佃社長は「売りたくない」と言う。特許使用許諾契約を提案。
I ナカシマ工業の佃製作所に対する特許侵害訴訟について、「引き伸ばし」をしないようにと裁判長。
I-2 (1)佃製作所のナカシマ工業に対する特許侵害訴訟について、ナカシマ工業が56億円の支払い、また(2)ナカシマ工業側の訴えの取り下げ。以上の内容の和解案を裁判長が提示。両者が受け入れ。
J 帝国重工の財前部長、キーデバイスの内製化方針に反するが、佃製作所と特許使用契約を結ぶしかないと決断。
第3章 下町ドリーム:水素エンジンのバルブシステム、部品供給か特許使用契約か?
K ナカシマ工業との和解後、佃製作所に白水銀行の支店長が来るが、和解金56億円が支払われたら、白水銀行との取引は解消すると殿村。
L 帝国重工が年5億円、7年間、合計35億円を支払う特許使用契約を提案。
M 特許使用契約でなく、部品供給をしたいと佃社長。エンジンメーカーとしての夢とプライド。新型ロケットエンジン開発は、研究者だった佃社長の夢。
N 帝国重工の財前部長が、佃製作所を見学。売り上げ100億円、従業員200人の小企業にすぎないが「佃品質」「佃プライド」に気づく。部品供給を検討してもよいと思い始める。N-2 ただしキーデバイスの外注は、藤間社長の「部品(キーデバイス)の内製化方針」の例外となる。
O 水素エンジンのバルブシステムについて、部品供給か特許使用契約かで佃製作所内部が分裂。
O-2 若手社員は「特許使用契約にせよ」と要求。「社長の夢になぜ付き合うのか?」「資金繰りに苦労し、いつ路頭に迷うか分からない状況で仕事はできない。」
O-3 「ロケットのキーデバイスを供給することで、商売が大きくなる可能性がある」と、殿村。
O-4 「佃製作所は、社長の技術力と情熱で伸びてきた」との意見もある。
第4章 揺れる心(佃社長):佃製作所にとどまるか、教授職に戻るか?
A 佃社長に対し、「会社を売る気はないか」と、ベンチャー・キャピタルからの提案。
A-2 社員の反発にあい、佃社長は心が揺れる。
B 宇宙開発機構のかつての同僚、三上、現在は大学教授から、「教授職に戻らないか?ポストがある」と佃社長に、提案。
C 佃社長への両提案は、ともに、帝国重工の「スターダスト計画」本部長・水原の工作だったと後で明らかとなる。帝国重工による特許取得のため、佃製作所買収工作。
第5章 佃プライド:部品供給を不可としたい帝国重工の評価テスト
D 部品供給企業に対する帝国重工の評価チームが、佃製作所に来る。
D-2 帝国重工の主任・富山は評価テストで、部品供給を不可とし、特許使用契約に持ち込みたい。
E 佃製作所の若手社員など特許使用契約派(=部品供給反対派)は、帝国重工の評価テストに落ちた方が、特許使用契約になるから、その方がいいと思っていた。
E-2 財務評価では、営業赤字が攻撃される。しかし銀行出身の殿村が「佃製作所はいい会社だ」と主張。
E-3 技術評価では、帝国重工側は、手作業の重要性を全く理解しない。
E-4 帝国重工側の見下した態度に、特許使用契約派(=部品供給反対派)が怒る。「プライドの問題だ」、「会社が小さいと思ってナメてんじゃねえ」と発言。
F 帝国重工の評価テスト第2日目、「佃品質」、「佃プライド」のポスターが張られる。
G 佃社長は、従業員の変化に感激し、三上教授に、大学に戻らないと電話する。
H 帝国重工の主任・富山に対し、評価は「公正に行う」と財務評価担当・田村、技術評価担当・溝口。「帝国重工マンとしてのプライド」と言う。財務評価は「優良」、技術評価は「A」。
第6章 品質の砦:佃製作所の水素エンジン用のバルブは、帝国重工のテストに合格
I 水素エンジン用のバルブのテスト。
I-2 テスト用のバルブ15個のうち1個が異常値を示す。
J 佃製作所の若手従業員で特許使用契約派(=部品供給反対派)の真野が、故意に、不良品と入れ替えた。
J-2 ただしテストの数値を悪くするのが目的で、不合格にまでする気はなかったとのこと。
K 帝国重工の主任・富山は部品供給を不可とし、特許使用契約に持ち込みたいので、納品ミスを認めず、再テストをしない。
K-2 しかし財前部長は、「バルブシステムの特許が競合外国企業等に渡ってはまずい」、「佃製作所からの部品供給も仕方ない」と考える。かくて納品ミスを認め、正規のバルブを受け取り、再テストするよう指示。
L 「部品供給ができないなら、特許使用契約もしない」と佃社長。
M 佃製作所の水素エンジン用のバルブは、帝国重工のテストに合格。
M-2 かくて帝国重工、財前部長は、水素エンジン用バルブシステムの佃製作所からの部品供給を受け入れる決断。
第7章 リフト・オフ:帝国重工、佃製作所からのバルブシステム部品供給を認める
(1)帝国重工の新型水素エンジン「モノトーン」燃焼実験、失敗
N 帝国重工の新型水素エンジン「モノトーン」の燃焼実験
N-2 佃製作所が約40種類、80個のバルブを提供。
N-3 ところが燃焼実験失敗!
O 原因は二酸化ケイ素が紛れ込み、バルブがうまく作動せず。
O-2 フィルターに付着していた。帝国重工のミス。
P 「スターダスト計画」水原本部長も、財前部長とともに、佃製作所からの水素エンジンのバルブシステムの部品供給を認める。
(2)帝国重工、佃製作所からのバルブシステム供給を認める
Q かつて佃社長は、宇宙開発機構の大型水素エンジン「セイレーン」開発主任。帝国重工の藤間社長は当時、製造委託された帝国重工の担当責任者だった。
Q-2 佃製作所の水素エンジン用バルブシステムを「うちが採用しないと競合他社が採用するかもしれない」と財前部長。
Q-3 「キーデバイスの内製化方針の例外とする」と藤間社長。水原本部長がほっとする。
(3)「モノトーン」燃焼実験、成功
R バルブシステムの部品供給成功。「佃品質を帝国重工に知らしめた!」と殿村、男泣き。
S バルブの特許を次世代の佃製作所の柱にしたいと佃社長。
T 特許が専門の神谷弁護士が、佃製作所の顧問弁護士となる。
U ベンチャー・キャピタルのナショナル・インベストメントが、佃製作所の新規事業への投資を打診。
V 大学の助手となった真野が、水素エンジンのバルブシステムが人工心臓に応用可能と佃社長にメール。
エピローグ
W 種子島宇宙センターから帝国重工の新型水素エンジン「モノトーン」搭載のロケット打ち上げ成功。
W-2 佃社長に、娘莉菜が花束をわたす。
《評者の注》
1 一方で経営者の夢の実現と、他方で従業員の現実主義との相克が描かれ、リアリティがある。
2 従業員200人の中小企業経営者が、資金繰りに、どんなに苦労するかが分かる。銀行が嫌われる理由も明白。
3 特許ビジネスの重要性、また特許をめぐる訴訟の専門性などが、よく理解できる。
4 帝国重工という超巨大企業内部での意思決定過程が、具体的に描かれ、よく分かる。
5 「特許売却」、「特許使用契約」、「部品供給」の3レベルの区別が、物語のポイント。
6 ベンチャー・キャピタルの役割が、理解できる。
7 下請け企業に対する親企業の傲慢さが、憎々しい。
8 全体として過不足なく物語の諸要素が、構成されている。