Ⅶ ケインズの戦後の国際金融システム案はナチスの「欧州経済新秩序」の新貿易決済システムと酷似
Ⅶ-1 貿易の決済は中央銀行が一括して行う
企業各自が決済をすると金・外貨の流出入を管理できず、通貨の不安定化につながる。貿易の決済は中央銀行が一括して行う。ナチスが為替清算勘定で行った方法。第1次大戦前、世界中が通貨の不安定化で苦しんだので、為替・貿易の中央銀行一元決済。
これをナチスもケインズも主張。
Ⅶ-2 国際通貨「バンコール」:金本位制でない国際金融システム
貿易の決済は国際通貨「バンコール」で行うとケインズ。バンコール:bank銀行+ore金(仏語)。あらかじめ自動的に各国に過去3年分の貿易額の75%を「バンコール」として配布し、決済をこれで行う。
金を大量に保有するアメリカはケインズに反対。金本位制に固執。
Ⅶ-3 貿易(輸出・輸入)の収支均衡義務
貿易黒字国は黒字削減義務。貿易黒字があると課徴金を課される。以上、ケインズ。
シャハトは輸出した分だけ輸入することで相手の国も経済発展し双方が潤うと言う。貿易黒字の貯め込みはその国を豊かにしないし相手国にも迷惑。
しかしケインズ案は採用されず。
Ⅶ-4 マネーゲーム(資本移動)の規制
資本逃避・投機が国際経済の混乱の原因。ケインズとナチスで共通。投資家たちのマネーゲームがドイツからの資本逃避、アメリカへの金の集中をもたらした。「資本移動が規制されねばならないということほど確かなことはない」とケインズ。
Cf. アジア通貨危機、アメリカITバブル崩壊、リーマンショック
しかしケインズ案は受け入れられず。
短期の資本移動(投資)は制限。ただし長期の資本移動は当然、必要。
国内の金融政策(利子率の調整)が有効になるには、自由な国際的資金移動はマイナス。
Ex.1 借金に頼っていたドイツ経済は、1928年、米国の資金がドイツから引き上げられアメリカの株式市場に投資されることで破綻。
Ex.2 1990年代のアジア通貨危機はヘッジファンドの急速な資金引き上げが原因。
Ⅶ-5 ブレトンウッズ体制
ケインズ案は、世界の金の7割を持つアメリカの反対で敗北。金・ドル本位制採用。なおIMF初代総裁はケインズ、IMF体制発足の翌年死去。
アメリカの「一人負け」で、金流出60年代から加速。1971年、ブレトンウッズ体制崩壊。ケインズは「一国の通貨(Ex.ドル)を国際決済に使用するのは無理」と指摘。アメリカが貿易赤字でないとドルが供給できない。
Ⅷ 「自由放任主義」「共産主義」以外の経済
「自由放任主義」(古典的資本主義、全く自由にする)、「共産主義」(全部、管理する)以外で、経済をうまく行かせる方法をケインズもナチスも考えた。
Ⅷ-1 ケインズ主義
ケインズ『自由放任の終焉』(1926年)によれば民間事業の国有化には反対、当人の能力と関係のない親の遺産への相続税は超累進化。
Ⅷ-2 ヒトラーの「国家社会主義」
国家社会主義は資本主義をベースに国家による統制を取り入れる。資本主義は労働者問題がひどい。共産主義は「巨大な官僚主義」。ドイツ社会をどう立て直すかとヒトラー。
ヒトラー、ケインズは「共産主義の幻想」を見通す。Cf. 1989年東欧民主化、1991年ソ連崩壊で「幻想」消える。
国家社会主義は個人・私企業の能力・業績・活動をないがしろにしない。資本主義がベース。共産主義と異なる。しかし国民生活が破壊されないよう規制する。政府による命令・統制で私企業のエゴイズムを規制。
ヴェネチアの国家統制経済は500年間、パンの値段を変えなかった。ユダヤ人の「自由貿易」という弱肉強食がこれを壊した。
経済活動は自由だが公益優先。
Cf. 理念の問題でなく、理念の選択の問題。民主的手続きの重要性。
格差社会を作らないことがヒトラーとケインズの共通点。
Ⅷ-3 失業
デフレが起きて失業者が出るより、インフレで金利生活者が困る方がまし。問題は失業だとケインズ。
ケインズは無駄な公共事業をやればよいと言ったわけではない。(Ex. 1990年代自民党政権の無駄な公共事業。)政府がやるのは失業対策である。無駄な公共事業でない。
Ⅸ 消費性向が高い低所得者がポイント
子ども手当てを民主党のように全員に支給しても駄目。消費性向が高い低所得者に限るべき。ヒトラーはそうした。貧乏人にカネを回さないと消費が増えない。(Cf. 民主党は金持ち・大企業に増税しない。)ヒトラーは金持ち・大企業に増税した。
Ⅹ ヒトラーの反ユダヤ主義の原因
A ユダヤ人はドイツのハイパーインフレに乗じて儲けた。大企業・金融業者のユダヤ人が銀行から融資を受け資産を買いあさりハイパーインフレで大儲けし、返済額は減る。
ユダヤ人はローマに滅ぼされた70年から1948年まで国家を持たない。ユダヤ人への迫害の下でカネのみが信じられた。キリスト教の利子禁止もありユダヤ人が金融業へ。
B ユダヤ人に共産主義者が多かった。Ex. マルクス、トロツキー、ローザ・ルクセンブルグ。平等で平和な社会への憧れ。ユダヤ人の迫害の下での理想。レーニンは「ユダヤ人なしでは革命はなしえなかった」と述べる。
ナチスの反共産主義がユダヤ人迫害とリンク。
Cf. ヒトラーが構想しケインズが受け継いだ世界共通通貨構想をつぶしたホワイト(アメリカ案)はユダヤ人でソ連のスパイだった。
ⅩⅠ ユダヤ人は規制に反対する:反ケインズ
ユダヤ人経済学者に反ケインズが多い。
Ex. フリードマンのマネタリズム:通貨ストックの量だけを、インフレにならないよう国家が管理し、あとは市場に任せる。彼に従いレーガンは金融規制を撤廃し大成功で一時は3選も検討された。
Ex. 住宅バブルを放任したグリーンスパン元FRB議長はユダヤ人。
ユダヤ人は規制に反対しケインズ理論を攻撃。
「よそ者」を追放する規制にユダヤ人は歴史的に反感。Ex. 中世の職業組合ギルド。
ⅩⅡ ユダヤ人の経済的貢献
ユダヤ経済人たちが作ってきた国際経済レジーム。
国際金融・国際貿易にたけたユダヤ人を受け入れてきた国は発展。スペイン・ポルトガル→英・オランダ→アメリカ。
ユダヤ人の自由競争至上主義。迫害をおそれ手っ取り早く金儲けする。国際的情報ネットワークで株など投機にたける。
共産主義はユダヤ人自身(Ex. マルクス)によるユダヤ金銭至上主義に対するアンチテーゼ。
ⅩⅢ ともかく失業をなくす
マネーゲームは絶対におかしい。規制が必要なのは当然。「冨」と「仕事」の分配がすべて。ともかく失業をなくす。(Cf.. 狂信的ナショナリズムは失業から生まれる。)
日本は「冨」と「仕事」の分配がうまくいっていない。世界3位の経済大国なのに自殺者3万人&ワーキングプア。馬鹿みたいな話!