宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

田中貢太郎(1880-1941)「村の怪談」『日本怪談全集』(1970)所収:寝ないで朝まで外を「ぐるぐると歩く」!「大石塔」を相手に角力を取った!「犬神持ちの家」!「狸」は人間と同格か、より賢い!

2024-06-11 08:36:25 | Weblog
※田中貢太郎『日本の怪談』河出文庫、1985年
★「狸」に「化されて」、「家」へよう帰らずに一晩中、「某(アル)所をぐるぐると歩いていた」or「朝まで某所に坐っていた」or「朝まで墓地を歩いていた」。
《感想》①夜、人は「家」へ普通は帰る。②一晩中、寝ないで朝まで「某所」(外)を「ぐるぐると歩く」or寝ないで朝まで「某所」(外)に「坐っていた」or寝ないで朝まで「墓地を歩いていた」のは普通でない。

★「しばてん」は「子供の姿」で「角力(スモウ)をとろう」と言う。大の男がさっぱり子供の「しばてん」に勝てない。子供は突かれても全く動かず男はよろける。男は悪戦苦闘していたが、朝になって、海岸の松原の「大石塔」を相手に角力を取っていると、村の者に言われて気づく。

★「犬神」が憑く者を出す家があった。その家は「犬神持ちの家」と言われた。その家の人は「違った光る眼」を持つと言われた。
《感想》「犬神」に憑かれるとは、おそらく精神疾患だろう。

★甚内という力士は、「狸に憑かれた人」がいると、その人の背から肩を揉んで、狸を追い出した。だが甚内は「仲なおりしたい」という狸に敵(カタキ)を討たれ、たぶらかされ、その後、間もなく病死した。
《感想》「狸」は「人間」より劣った動物でなく、「人間」と同格だ。

★腕自慢の若侍が、狸を退治すると云って、ある日一人で山の中へ入って往った。ところが出家して髻(モトドリ)を切り、山の中の草の上に坐って、合掌しているところを村人に見つけられた。若侍は狸にだまされたのだ。
《感想》「狸」は普通、「人間」以上に賢い。

《参考》田中貢太郎は折にふれて「怪談は面白い。ええものじや。人間のいろいろな気持ちが深く集りよつちよるきに、これは文学の一つの究極じやと思うね」と語り残している。(「解説」尾崎秀樹)
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