3日目は朝4時起床。と言っても夜中はこれまたトイレに向かう人の足音でうるさくて眠れず、
どうせ眠れないからと夜中にテントから這い出て星空とたぶん松本市街と思われる明かりを
ボーっと見たりした。
夜は涸沢も雪渓の風下だったこともあり寒かったけど、ここのほうがもっと寒く感じたのは、
やはりフライシートがテント本体にくっ付いて結露でべっとりと濡れていたからだろうか?
とりあえず朝は暗いうちから雑炊を作って食べていると、白々と明けてきた向こう側に、一昨年
登った横通岳~常念岳~蝶ヶ岳の稜線がきれいに見えてきた。
ああ、常念小屋では出発の時だけきれいにこちら側が見えてたっけなあ。
今日は昨日よりずっと天気が安定してそうな感じで、期待に胸が膨らむ。
テントはびしょびしょだが諦めて畳んでビニール袋に押し込み、パッキングを済ませたころに奥穂
高を見てみるとごらんの大渋滞だったので、準備運動したりして時間をずらし5時50分に出発。
ヘルメットが大きくて邪魔なので被っていくことにする。
こんなんじゃ全然進まないなあとか言ってたんだけど、ザックの重さのせいか朝一番のせいか
ゆっくりでも息が上がり、全然前に進まないのは自分達であった。(笑)
まあ、今日はしんどければ岳沢で泊まればいいし(岳沢ヒュッテは小屋泊の場合は要予約だけど
テントは予約無しでもいける。)、ゆっくりでいいのだ。
笠が岳をバックに。
穂高岳山荘から奥穂高の道は、最初にちょこっとだけ梯子とかあるけど、そこを抜ければ確かに
みねりんさんの言うとおり走れないこともない道だった。走りませんが。(笑)
少しずつ高度を上げていき、振り返ると雲ノ平方面の山々もしっかり見えるほどの好天気だ。
肝心要の時にはガス女返上だぞ!えっへん。
たぶん左奥に見えるのが黒部五郎岳で、右奥のほうは薬師岳かなあ?行ってみたいな雲ノ平。
そして6時35分に奥穂高岳着。山頂は記念撮影する人たちでごった返しているので待つ間に
パノラマビューを堪能する。
天気が良すぎて白んでるけど、槍が岳~北穂高岳~涸沢岳と尾根道がくっきりはっきりと見えます。
昨日霧雨の中歩いてきたルートだけに感慨深い。北穂高岳から槍が岳も歩いて結んでみたい
もんです。(天気がいいときに・・・。)
逆側を見れば、ジャンダルムがどかーんとそびえ立っている。す、すごい。
そのロバの耳部分には登頂を喜ぶ人たちが立っていた。すげーなー。いつか立ってみたいなあ。
あそこって意外と幅あるんだろうか?
やっとこさ山頂で記念撮影したら、前穂高岳へつづく吊り尾根へと進む。
この吊り尾根もかなりの迫力なり。 ここからは前穂高岳へのピストンを除くと基本的には下山
になるため気をつけて、よりゆっくりと歩くことにする。
危険マークはないとはいえ、遭難は下山時に起きることが多いし、実際足もかなり疲れてきている。
そしていきなりこんな長いクサリ場が出てきたりするし~!
終わってない、まだ終わってないわ・・・。
正直もう岩稜帯はお腹いっぱいって感じで、緊張感は十分味わったので、もうそろそろ「お花
きれいだね~!」って感じの道を歩きたいんよ~。
吊り尾根はむちゃくちゃ危ないとかじゃないものの、こんなふうな油断すると反対側の谷に落ち
そうなところはいくつもあった。
実際、私たちの前を歩いていた、息子二人と来て表向き元気そうに振舞っていたお父さんは
ゆっくりの私たちよりだいぶ先行していたはずだったが、途中のなんてことはない道を歩いて
いたら、目の先の谷側の10mほど下の斜面に這いつくばっていた。
「大丈夫ですから!」というお父さんに、(この人何してんだろう?まさか落ちたフリして記念撮影
か?バカじゃないの?)と思ったら、なんと本当に滑落したらしい。
(そう思った理由は、クサリ場で息子に「このポーズで写真撮れ!」とかやってたので、てっきり。)
ザックを持ってなかったのも息子がそこまで降りて行って先にザックとかを引き上げてやり、空
身で斜面から上がろうとしていたところに出くわしたのだった。・・・唖然。
10mとはいえ足を滑らせて顔から落ちたらしい。幸い怪我はなかったみたいだけど、すっかり
足にキテいるのは明白だ。「無理しないでゆっくり歩いた方がいいですよ。」と言ってお別れした
のだが、まったく聞く耳を持っていなかったと後に分かることになる。
そうして微妙に登ったり下りたりしながら前穂高岳へのトラバースを進んで行く。
眼下には梓川と上高地がきれいに見渡せた。
思ったより 長いよ吊り尾根 前穂はまだか?