松尾峠を過ぎて愛媛県側に入ると、道はウソのように
なだらかになった。
ゆるやかな山道を降りて車道に入り、しばらく道なりに
進むと一本松町に着く。なんだか昭和初期な感じの町だ。
ここには温泉があるので入ってみたかったけど、歩いて
行くにはちと遠い。
さらに下っていき途中で休憩を取っていたところ、岩本
寺までで一緒になった宇和島のお遍路Kさんから電話が
かかってきた。前の晩に近くまで行くので連絡を入れたの
だけど留守だったのだ。
Kさんは私のいる場所と今日の夜行バスの時間を告げ
るとなんとお仲間のバーベキューパーティーに誘って下さっ
た!
待ち合わせのバス停まで出てくれば、そこで拾ってお風
呂にも連れてってくれるとのこと!!
わ~!うれし~い。お風呂入りたかったんだ。
俄然がんばる気持ちが沸いて、残り4キロ程を一生懸命
歩いた。
観自在寺の手前で川べりに出たら、散歩にも向いてるよう
な土手が続いていたので遍路道ではないけれど土手を歩い
て行った。 途中の橋から元の道に戻ると、バス停で高速
バスを待つ大阪のMさんが手を振って、
「もう、先に行ったのかと思った。」 とのこと。
いえいえ買いかぶりすぎですよ。(笑)
観自在寺の門前はなかなか賑わっていた。
門を入るときれいで広い境内。
お参りを済ませて元来た道に戻り、路線バスを待っていたら
そのすぐ近くがみかん直売所だったのでついつい寄り道。(笑)
自分の分とみかん好きの友達の分とをいろんな種類詰めて
もらい自宅に送る手配をする。 家に帰ったらいろいろ取り混
ぜて友達に送ってあげよう。
さて、路線バスに乗って20分ほど行き、岩松駅で降りると
Kさんと旦那さんが待っていてくれて、この近くにある日帰り
温泉施設「津島やすらぎの里」に連れてってくれた。
広くてきれい、そして私の大好きな物産市もあるよ~!
このあとがあるのでお風呂はさっと入って、軽く物産市を覗いて
から、暗い道を車で連れて行かれること40分!
どこまで行くのか不安になり始めた頃、明かりの少ない山の中
で車は停まったのでした。
で、そこには驚くものが!
まあ、なんということでしょう!(ビフォーアフター風に)
映画の中に出てくるようなインディアンのテントが張っている
ではないですか! 中に入るとそこは10名もの人が円形に
座れるようになっていて、真ん中にはたき火がおこされ、斜めに
切られた竹筒がその周りを囲んでいた。もちろん熱燗だ。
そしてたき火の上には鉄鍋が掛かっている。
宴会はこれからのよう。
そうして初めて会う人達の中に入って、またまた図々しくも
ご馳走になる私。(笑)
海も近いので網の上には大きなエビや帆立が並べられている。
「酔っぱらわないと夜行バスで寝むれないよ。」
楽しい宴。 いいなあ、こういうの。
大人になっても同じことを楽しめる友達がいるっていいよね。
Kさん、本当にありがとう。
おかげでとても幸せな打ち止めになりました。
いただく。
朝からまたすごいボリューム!
そして汁物はお雑煮だった。あぁ、お正月なんだなあ。

そして、おばあちゃんが香り米でおにぎりを作って持た
せてくれた。
おじいちゃんは、
「観自在寺に行くなら松尾峠を越えないかん。
お姉ちゃん偉いな。

松尾峠の道へはみかん畑の中を通るが、1個2個取ったって
お遍路さんがもらうんじゃ、お大師さんも許してくれる。」
だって。(笑)
去りがたい気持ちを胸に出発。
今度来たとき、まだお元気でいてほしい。

朝早いこととお正月だからか、車道に出ても静かなもの。
宿毛まではまっすぐ一本道なので迷うことなく歩ける。
けれど、宿毛市内に入ったら、古い地図の時から道が新しく
なってるのかちょっと分かりにくかった。
ちょっと迷いつつも松尾峠への小道にたどり着いた。
いきなりの舗装道の急坂!

うっそ。まさかずっとこれ?!と思ったけど、これは正しくは
松尾峠に登っているのではなくて、一つ丘を越えたって感じ。
一度小山を超えてしばらく林の中の緩やかな道を歩くと、
深浦の集落に出た。
そこで道路の脇でちょっと座って休憩していたら、民家の
奥さんが声をかけてくれて、おトイレを貸してくれた。
しばらくトイレがないので、お遍路さんを見かけるといつも
貸して下さってるよう。ありがたい。

(ここから松尾峠に入る道はとよいちさんも描いていて、こんな
ところは普通の絵描きさんなら描かないと思うので、あとで
絵を見た時にうれしくなりました。)
さて、ここからは一気の登り。

一人冷たい空気の中登っていく。息も切れ切れ高低差300m
を登り切ると、昔の茶屋跡や関所跡の残る松尾峠に到着。
松尾峠にはまだ再建されて間もない松尾大師のお堂が建っていた。

こんな厳しい山道にこんな立派なお堂を建てられたお坊さんと
地域の方々には頭が下がります。
峠の開けたところにはテントが張られていて、お遍路さんでは
ないけれど山屋さんなのか泊まられてました。
お堂に上がらせてもらい、そこで修行の道場を無事歩き通した
感謝のお参りをしようと灯明とお線香をあげ、教本を取り出して
読み上げようとしたけれど、何か分からない気持ちがこみ上げて
ただただ涙が溢れてきて、、。
テントの人に気づかれないかと思いながら、どうにも止まらな
かった。
この涙は自分が苦しかったことを思い出しての涙なのか、
それとも今は亡き友達が私が行ってしまうことを悲しんで
いるのだろうか?
高知を離れても 忘れないよ。
いつも思ってるよ。
そう友達に語りかけた。

階下に降りると私以外におへんろさんがもう一人。そしてあと
2人泊まる予定らしいのだけど,まだ着いてない模様。
外は真っ暗だし,無断キャンセルか,,?

夕食はそれはもうお腹一杯の料理。
そしておじいちゃんが「ここのコメは日本一うまい!

というご飯。
ジャーのふたを開けるとプワンといい香りが漂う。

「これって香り米が入ってるんじゃないですか?!

と聞いてみたけど,このへんはみんなこのお米だというので
気のせいかなあと思っていた。
が,私が定期購読している愛読誌「四国Gaja」でお取り寄せ
特集が組まれた時に謎が判明。
この地域は仁井田町に近い場所で,仁井田町は香り米の
生産地なのだ。おじいちゃんは普段毎日食べているので
普通のお米と思ってるけど,普通じゃないのよ。(笑)
思わずお取り寄せしてしまった。(笑)
このお米を炊くと,へんくつ屋を思い出して懐かしい。


そうして夕飯を食べていると,8時頃になって予約して
いたお遍路さん2名がやっと到着。
大月経由の道で来たらしく,随分距離を計算ミスをして
いたようだ。お疲れさまです。

ご飯を食べ終えたら,もう疲れてしまったので大晦日にも
関わらずさっさと寝てしまった。
去年の大晦日はビジネスホテル泊まりで一人さみしく紅白
歌合戦を見ていたけれど,今年は田舎の家に来ているようで
さみしくない。
ぐっすりと眠れたのでした。

明日は松尾峠越え。
とうとう修行の道場も終わり,菩提の道場愛媛へ,,,。
骨董というよりがらくたが詰まった小屋があったり、宿の
外観にも独特の雰囲気があって、正直言って予約してなかっ
たら泊まらなかったかも。(笑)

おそるおそる訪うと、おばあちゃんが一人、入ってすぐの
居間でコタツに入ってテレビを見ていた。
私を見ると、まだおじいちゃんが灯油を買いに行ってて
いないしお風呂もまだ沸かしてないから、帰ってくるまで
コタツに入ってなさいとのこと。
言われるままコタツに入ってみかんを食べてたら、お茶を
入れてくれてお茶請けに坊ちゃん団子を出してくれた!
坊ちゃん団子&みかんLove!の私には



おばあちゃんありがとう!

そこでおばあちゃんと四方山話をしつつ、おじいちゃんが
帰ってくるのを待つことに。
なんだか田舎のおばあちゃんちに遊びに来たような感覚。
雨降るへんろ道からよく来たねと迎えてもらった,そんな気
持ちだった。
玄関の引き戸の内側には,むしろの上にびわの種のような
ものが陰干しされていたので何なのか聞いてみたら,それは
椿の種だった! あ~,言われてみれば~。
ここでは椿の種を潰してつばき油を手作りで作っている
らしい。旅行用の化粧水入れみたいなものに詰めて売って
いたので,記念に小さいのを買うことにした。
おばあちゃん曰く,
「この油はどんなキズでも良く効いて,きれいに治るよ。

とのこと。
そうして30分もしたら,へんくつ屋のおじいちゃんが
帰ってきた。おばあちゃんが問いただすと,灯油を買う
ついでにパチンコ屋に寄ってたみたい。(笑)
おじいちゃんの案内で2階の奥の部屋に通してもらい,
お風呂が沸いたら呼んでくれるとのこと。
疲れていたので座布団の上でしばらくうたた寝する。

しばらくしたらお風呂が沸いたとのことなので,1階に
降りると,お風呂場はおじいちゃんの手作りだった。
ドアを開けると左手に脱衣所,右手に洗濯機置き場が
あって,洗濯したい人は入って来れてしまうのだけど,
おじいちゃんは「ちゃんとだれも入らんようにしとくけん。」
とのこと。(笑)
さて,このお風呂が忘れられない~!!

まず,おじいちゃんお手製の岩風呂。小さいながらも
ちゃんと岩風呂。(笑)
そして,お湯が白い!まさか温泉なの!?と思ったら
脱衣所の棚に「バスクリン」が。(笑)
でも,そんな心遣いもうれしいよ,おじいちゃん。

その岩風呂の周りには,これまたおじいちゃん特製の
石で作ったカエルがたくさんいて,周りに造花の梅やらが
飾ってある。もうパラレルワールド!!(爆)
メガネがないのでよく見えないけど,とにかく楽しい。
入っていて笑えてくる。おじいちゃんの気持ちが伝わって
くるお風呂でした。
今でも忘れられないお風呂です。

だけどあまりそんな気がしないのは、お正月らしいものを
見てないからだろうか?
そして今日は雨。

またまた久百々のお母さんからおにぎり等を持たせてもらい
出発。今日は下の加江の集落手前の橋までは打ち戻りとなる。
打ち戻りだと思って戻りすぎないようにしないと。


橋の袂に来るまで地図を見ながら間違えないように慎重に
歩いて、39番へ続く川沿いの道へ。
雨が降っていることもあるだろうけど、陰気だ。
平成娘巡礼記の中で、男のお遍路さんが住み着いているって
場所はどこだったっけ、、、?

川の音のする道はいいけれど、雨が降っていて休憩もまま
ならない中、昨日の打ち戻りで道を間違えたトラウマからか
何度も地図を見直して自分がどの辺なのか確認してしまう。
幸い古い方の地図にはバス停や橋の名前まで乗っているので、
こんなお店もないような道では距離を見るのにすごく助かる。

休憩場所を探して、ある小屋の狭い軒下にリュックを下ろし
立ったまま休憩。こんな時は雨がうらめしい。
で、こういうときに限って、ほんの5分ほど進むと屋根のある
休憩所があったりして。(笑)
この辺はいくつも休憩所が出来ていた。

そうして歩いていたら、またまた大阪のお遍路さんと再会。
会う人とは本当に何度となく会ったりする。
その後も今日一日、一緒に歩いたり離れてはまた会ったりの
繰り返しだった。
で、またトイレに行きたくなってきた。(笑)

やっとこさ三原の集落に到着し、フェンス越しに簡易トイレ
を発見したのでMさんと別れてトイレへ!と思ったら閉まってた。
(簡易トイレはよく鍵が掛かっていることがあって涙すること
限りなし。)
ずうずうしくも目の前のたけうち商店でお願いしてトイレを
借りることができた。ありがとうございました。

ついでなので、商店の向かいにあったバス停(屋根付き)で
お昼ご飯を食べることにした。
(ここには「名木たぶの木」があるけど、どこが名木なのか
よく分からなかった。あとでとよいちさんの絵に出てきて、
お昼を食べたことを懐かく思い出したりして。)

トイレの心配もなくなりお昼も食べたからか、この辺から
しんどいながらもなんとなく楽しくなってきた。
お昼を食べ終えて出発。しばらく歩くと神社の境内にきれい
なトイレを発見。すぐあったのね、、。
三原町の中心を歩く。人がいるというだけでうれしい。
遍路をしていると人恋しくなる時がある。誰かいると声を掛け
たくなる自分がいて。

そして、三原町のバス停でお昼を食べてたMさんとまた合流。
結局この日は最後までご一緒してもらった。
途中軒下で休憩を取りつつも、おかげでコンスタントに歩き
通すことが出来た。Mさんは明日で打ち止めで、帰りのことを
心配していたけど、宿毛から大阪への直通バスが出来たことを
教えてあげたら喜んでいた。

延光寺のある平田の駅前まで来ると、ぐっと街らしくなって
車の通りも格段に多くなる。
車道から右に逸れて少し登ると15分ほどで延光寺に到着。
お参りを済ませても14:30くらいで少し早いけど、私は
延光寺前のへんくつ屋さんに予約していたので早々に入れて
もらうことに。
Mさんはもうちょっとがんばって6キロ先の宿毛まで歩く
とのこと。ご苦労様です。
で、一人へんくつ屋に行くのですが、、、。

さすがに4時半も過ぎると疲れがどっときてペースが上が
らず,とぼとぼと歩いていたら大阪のお遍路さんとまた会っ
た。

金剛福寺で一度話してるので,簡単な自己紹介もすると
お互い関西からということが分かると関西弁になるMさん。(笑)
実はこの時までどこから来たのかはお互い言ってなかった。

お遍路ってそんなもんだったりする。何をしてるのか,何歳
なのかなんてお遍路には関係ないから。

Mさんは,安宿までの打戻りらしく,往復45キロもある
からスゴ過ぎ!お疲れさまです。
それも、Mさんは行きに例の要注意道しるべにだまされて
山道に入ってしまい1時間ほどロスしたとのこと。
お遍路してると5分でも道を間違えてロスするとすごく
へこむので、1時間は辛い~!

そうして私は5時20分頃に久百々に着いたのだった。
疲れた~!

さて、今日は12月30日ということで、この名物宿には
大晦日を足摺岬で越そうというお遍路さんがたくさん泊まり
に来ていて昨日よりずっと賑わっていた。
久百々の居間はそんなに広くない分みんなと親しくなれて
食事中でも話がはずむ。

明日延光寺方面に向かうのはうどちゃんと私くらいで、
みんな足摺岬で年越しして初日の出を見るのを楽しみにして
いるみたい。
私も日程に余裕があればそうしても良かったかも。

打ち戻って久百々に連泊することばかり考えてた。(笑)
そういえば、今回高知に来るとき、大雪でバスが遅延して
桂浜の観光をあきらめてはりまや橋付近をうろうろしたら、
道に迷ってなぜかひろめ市場に来てしまった。
高知駅までの道をあるおじさんに尋ねたら、私の杖を見た
らしく、駅まで送ってくれるという。
早速のお接待だ。

普段は車のお接待はお断りしているけど、これはいいか、
と思ってお言葉に甘えることに。
車の中で今回の遍路のことを話してたら、なんとおじさんは
足摺グランドホテルの元支配人らしい。泊まる場所を決めて
ないならぜひ泊まってみては?と言ってくれたのだった。
次回はぜひ足摺岬で泊まってみたい。

さて、へんろが集まれば話は自然に荷物のことや足のマメ
対策に花が咲いたりする。(笑)
私は今回試しに「ディクトン」というマメ防止用ムースを
使ってみた。運動する前に足指に擦り込むと皮膚を保護すると
ともに、すべりが良くなるので摩擦が起きずマメが出来にくく
なるというもの。ムースは携帯用とはいえ荷物となるので、
これで効き目がなかったら、、

けれどもまだ3日とはいえ今のところマメは出来てないので
持ってきて○


あと、足裏がアスファルトで痛くなった時の保護として、
Dr.ソールの底マメクッションもこの辺りから愛用している。
マメ対策は人それぞれ。マメの悩みは歩き遍路の共通項
でもあるので、夜9時過ぎまで盛り上がった。
楽しい夕べでした。

さて、足摺を12:30に出発して同じ道を打ち戻る。
普通だったらつまらないと思うかもしれないけど、逆
から歩くと意外と違う景色に見えて新鮮だったりする。
それに、久百々のお母さんが言ってた。
「この道はお遍路の道で唯一、海を右手に見て歩く
道なのよ。」
なるほど、確かにそうかも。
で、結構いいペースで歩いていたものだから、内心
(これは5時までに戻れるかも、、)なんて思っていた。
が、慢心は間違いのもと!
以布利漁港の方に行く道を入り損ねて、1キロほど
以布利の町への道を歩いてしまった。
歩きながら行きに歩いて来たような来てないような、、
と思ってたんだけど。
戻らなくても帰ることは出来たんだけど、悩んだ末に
戻ることに。これで20分のロス。5時まで!の夢は消
えた~。
分岐のところを見ると、保存協力会の立て札が、逆
打ちになると木か標識かに隠れて見えなかったのだ。
順打ちの時は見えるので、帰りの道を覚えなくてもいい
と思いこんでたんだな。
逆打ちって、大変なんだなやっぱり。
で、以布利漁港も過ぎて、帰りも大岐海岸を戻る。
帰りは横浜のお姉さんにいいことを教えてもらったので
砂浜を歩いて帰った。
「水に濡れてる波打ち際を歩けばいいんだよ。」
さっそく実行してみると、全然しんどくない!そして波と
遊べるのも楽しかったりする。
海ではサーファー達が波待ちしてる。
こんなに寒いのに奇特な人達だなあと思うも、向こうも
私を見て同じこと思ってるんだろうなあ。(笑)
振り返ると、浜辺に私だけの足跡が続いてた。
なかなかセンチメンタルな気分にさせてくれる浜辺
なのでした。
みんな自分用に1,2個は持っていたけれども,うどちゃんの
みかんを2つ程受け取り,お昼にすることに。
今回は早く着ければお参りと併せて1時間程岬で休憩を取る
つもりだったので,足摺岬の展望台に寄ることにした。
展望台へ続く階段前には,大きなジョン万次郎さんの銅像が。
この人がそうなのね~。大変だったねえ。
と,ちょっと親近感。(なんで?)
展望台に上がると,それはそれは雄大な景色が拡がって
いた。
地球は丸く,この海の先は遙かアメリカまで続いてるん
だなあ。
室戸岬ではここまで見渡せなかったので,展望としては
足摺岬に軍配ありってところでしょうか。
展望台には幸い誰もいなかったので,方位が描かれて
いる台の上に立って杖を片手に記念撮影をした。(笑)
そして久百々で作ってもらったおにぎりをパクリ。おいしい!
食べやすいように、あらかじめしょうゆと鰹節を混ぜ込んで
握ってくれている、なつかしいおにぎりだ。
横浜のお姉さんはこのあと竜宮神社に寄って、バスで先に
進むとのことなので、こんどこそお別れだ。連絡先を交換して
さよなら~!元気で。
1時間はあっという間で、お昼を食べ終わったらすぐに出発。
短かったけど印象に残る場所でした。今度は竜串のほうにも
寄ってみたいし、大月遍路道経由でも歩きたいな。
以布利を抜けてからは車道を歩くことが多いものの、
55号線のような国道ではないからか、のんびりした感じの
道で歩きやすかった。
窪津漁港も通り過ぎると、近所の人達がなにやら集まって
作業をしている。
どうしたのかなあ?と思ったら、その前に立派なへんろ小屋
らしきものが出来ていた。なんと洗濯機まで置いてあって、
奥は寝泊まり出来るようだ。
作業していた方たちの話によると、ボランティアで作ったらしく
通りすがりのお遍路さんも作るのに協力したらしい。
本当にありがたいものです。
さて、津呂を通り過ぎたところで道々気になるのは良心市。(笑)
毎回出てくるたびに何が売っているのか買わなくても楽しみで
見てしまうのだけど、このへんで見た良心市ではこれでもかって
くらい詰められたおいしそうなみかんが激安で売っていた。
買いたかったけどまだ帰りもあるし、、と我慢した!えらい!?
ときどき木々の隙間から海が見えるようになって、とうとう
11時に足摺岬に着いた。 ら、そこは観光地だった。(笑)
岬の横には土産物屋さんや食堂・ホテルが並んでる。
室戸岬があんまり観光地っぽくなかったので違いにびっくり。
金剛福寺に入ってお参りしていると、少し遅れて横浜のお姉さん
が到着。お姉さんはあのあと大岐の浜で「波般若心経」ということを
していたらしい。波打ち際に般若心経を書いて、それを波が洗って
いくらしい。
へ~。 いったいお姉さんは何者なんだろう?
格好も完璧白装束だし。
さて納経所に行くと、ご住職らしき人がお寺の手ぬぐいをお接待
して下さった。手ぬぐいは今まで使ったことがなかったので、持つ
のはこれが初めて。
この手ぬぐい、岬の上に金剛福寺が建っていて,カメも流れ着い
た図で、今では私の好きな手ぬぐいの一つになっている。
これを機会に好きな絵柄だったりお寺が気に入ったりすると
手ぬぐいを求めるようになった。
お寺では岩本寺で一緒だったもう一人のお遍路さんにも再会。
3人で談笑しつつも、うどちゃんがいつまでたっても来ないなあと
思っていたら現れた。
で、彼が言うことには、、
「みかんいらな~い?重くって、、。」
え~っ!?まさか良心市のあのみかんを買ったの?
それも打ち戻るつもりなのに、、?
四国の半分を打ち終えようとしている歩き遍路だったらまず
買わないでしょ~。
「途中で他のお遍路さんにも勧めたけど重いからって
断られちゃって、、。
みんなもらってちょうだい。3つくらい!」
と、リュックからたくさんのみかんを取り出して。
いやいや待て~! うどちゃ~ん!
みなさんも良心市には気を付けましょう。(笑)

顔を洗って顔を作って(笑)身支度を整えたら朝ご飯を
食べに階下へ。

久百々のお母さんは5時30分の朝食にもいやな顔せず
準備してくれて感謝感謝。

結局4人全員一緒に朝食を食べることに。
すると,お母さんがビニール袋におにぎりやヤクルト,
飴等を入れて一人一人にお接待してくれた。
わー!ありがとうございます!

ありがたくいただいて,納経帳とお参りセットだけで
軽くなったリュックにおにぎりを入れて出発。
うどちゃんは少し遅れて出発。お姉さんと私は一緒に
出ることに。
私はめったに暗いうちに出発することはないのでヘッド
ランプは持っていないのだけど,さすがに冬の6時は真っ暗!
お姉さんはあらゆる物を持っていて,私のために前の方を
照らしてくれたのですごく助かった。

今日は打戻りするためプチ逆うち体験になるので,分岐の
ところを振り返って目印になる物を確認しながら歩く。
そうして空が白々と明るくなって来た頃に大岐海岸に到着。
お姉さんはペースが違うのでここでお別れすることになった。
お姉さん,ありがとう!


さて,大岐海岸はそれはそれは大きな砂浜だった。
ス・テ・キ

で,最初は楽しく砂浜を歩いていたものの,砂に足を獲ら
れて歩きにくいこと,歩きにくいこと。

なので,途中からは浜の上の方の草っぱらを歩くことに
した。
しばらく歩くと浜の反対側に到着。
ここは潮の満ち引きの関係で靴を脱いで渡らなければなら
ないこともあるのだけど,残念ながら?今朝はそのまま歩いて
渡れてしまった。
さて,渡ったはいいけど,続きはどこ?
目の前は崖なんですけど,,。

よーく見ると,浜のずーっと上の方に保存協力会の立て札
を発見。(笑) なるほど、満ち潮の時はそこまで水が来る
のね、、、。
しかーし立札の向かいのガケに道しるべがっ!

おいおい本当か~?!

杖を持ってうんしょうんしょと登ったら車道に出た。
すごいところをへんろ道にするなあ,,。

そこから車道を歩いたり山道を降りたりといろいろ変化の
ある道になるんだけど,この辺りから例の要注意黄色道しるべ
札を見かけ出した。
でもー,これが本当のへんろ道ともダブってる区間がある
もんだから紛らわしいんだなあ!

こういうところも「四国のみち」とまったく同じ。(笑)
白地に赤のへんろ札を信用するしかない。
で、以布利港に到着。
さて、保存協力会の立て札に従って港の端っこにある小さな
橋を渡ったまでは良かったのだけど、そのまま進むと砂浜が。
んん?このまま砂浜を進んで岩場を抜けるのかなあ?

と、水際で岩の上を飛びながら岩場を回り込もうとしたけど
無理! いや、おかしいでしょ、これは?!

と思って砂浜に引き返すと、砂浜の向かいの茂みの奥の方に
立札が見えた。
良かった。あのまま進まなくて。

なかなかスリリングな道だなあ。