風をあつめて-ぷらり日記-

すっかり山にハマッテマス。でも山ガールではありません。
三線、お遍路、ネパールのこと等も綴ってます。

雲を越えて雲辺寺へ

2006年09月06日 08時26分11秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)

 椿堂お手製の看板にしたがって山道に入る。
 この頃にはちょっと雨も降りだして、、、でも、木々が雨を遮ってくれる。

 道には倒木もありはしたけど歩けないほどではない。
 と、急に人の気配がしてギョッとしたら、逆打ちのお遍路さんだった。
 向こうもちょっと驚いていた。(笑)

 今日は67番前から歩いてきたらしい。お互いに励ましあってお別れする。

                        
 
 延命寺で会った不思議なお遍路さんからは、この曼陀峠の道は迷いやすいと
聞いていたのだけど、どこが?ってくらいの分かりやすい道だった。

 途中で「境目」という場所を通る。本当に県と県の『境目(さかいめ)』なのだ。
 立派な四国のみちの道案内にベンチまであるぞ。

    
  (2006年4月時点の写真です。2004年にあったかどうか覚えてない、、、。)

  つまり、ここから先は一時的に徳島になり、雲辺寺から下っていくと香川県に
 入ることになるのだ!

  そしてさらに進むと眺望のよい場所に出るのだった。

 まさに雲辺寺!って感じの雲の湧き方。 

 ここにも四国のみちのベンチが。
 多いなあ、四国のみち。 今まででもダントツにあるかも、、、。

                        

 そのうち雨も止み、曼陀峠の車道に到着。

                    

 実はここからがだらだら登り坂で特に何もない道でうんざりするところなんだな。
 意外と長いし、、、。

 お寺まだかなあ?まだかなあ?と思いながら歩いていると、民宿岡田のほうから
の道との合流地点に着いた。上から見てもすごそうな道だな、、。
 なんせ、たった3キロの距離で標高差が400mだもんね!
 大変だろうなあ。
                      

 ここまで来ればあとはなだらかかと言えば、そうはいかない訳で、まだ200m以上
の標高差があるのだった。ひーっ!
 別にめっちゃしんどいという道ではないのだけど、なんかねえ、長いんだよね。

 そうしてだらだらと登り続け、途中から歩行者用のしんどい階段をあがったりしつつ
やっとこさ山門に到着!
 なぜか五百羅漢さんの像が一人だけここに立ってお迎えしてくれます。(笑)
 記念写真用でしょうか?

 境内に入ると,本堂に向かう途中にお加持水といえばいいのかな?おいしいお水
があるのでそこで喉を潤してからお参りします。

 雲辺寺にはなぜか「ナス」に関するものが多くって,「おたのみなす」ってナスの形
をしたイスとか(座ってお願いするといいらしい。),ナス型の絵馬掛けとか,お守り
とか売ってたりするのだ。
 本堂と大師堂はちょっと離れているので疲れた体にはしんどかったりする。
 納経所で納経してもらい,屋根付きの高床式休憩処(?)に荷物を置いておにぎり
を食べることに。
                        

 時間を見るとまだ12時30分前で,このまますぐ降りてしまったら宿に早く着き過ぎ
るなあ。もうしばらくゆっくりしていこう。

                       

 ということで,13:00くらいまで境内で休憩したあとロープウェイ乗り場の方に
向かっていくと,雲辺寺名物に遭遇。

   じゃーん!

  霧に煙る五百羅漢でーす!(笑)
  かなり中国系のお顔をされています。そして,みんな思い思いの格好で,手には
変わった生き物を持ってたり,首に大きなヘビを巻いていたりして,そしてぎっしりと
詰め込まれてます。
  まるで兵馬俑みたいです。

 写真をよく見てもらえば分かると思いますが,木々の間にも羅漢さんの像が並ん
でいて,ロープウェイ乗り場のほうに続いてます。

 夜はみんな動いてると思うよ!(笑)
                       


曼陀峠を越えて雲辺寺へ

2006年09月05日 12時14分26秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)

 椿堂のご住職に見送ってもらいへんろ道へ。

 しばらくは車道にしてはけっこうきつい坂道を登っていく。
 思ったより長いなあ。いつになったら曼陀峠への分岐が現れるのかしら?
 などと思って歩いていたら,後ろから
  「おはようございます。 みいちゃんさんですか?青空屋です。」

  と,声をかけられたのでびっくりした。
  こちら側は雲辺寺の反対側で,青空屋からはけっこう距離があるのだけど。
  (このころは三角寺までチラシ持って行ってたんだよね。たしか。)

  「よろしければ,いらない荷物を預かりますよ。
   このウエストポーチに納経帳とか入れていってもらったらいいですから。」
  と,うれしい申し出に感激! ありがとうございます。

  では,またあとで~! 

  お気をつけて行ってらっしゃい,と見送られたのでした。

    

 足取りも軽く坂道を上っていくと,へんろ札が出てきた。
 左に行くと曼陀峠,右に行くと民宿岡田へ。

 椿堂のご住職はこの立て札を無視して右にしばらく進むと分岐があるとのこと
だったけど,とりあえず本来の道がどういう状況なのか見てみてから,と思った
ので左に行ってみることにした。(というのもどうせ先は右の道とつながっている
ので。)
                     

 集落の中を進んでいき,地図に書いてある遍路石をきょろきょろと探していたら,
集落の人達が何人も集まって山の斜面を見上げている。
 と,そこには台風によって崩れてしまったらしい道をブルドーザーで本格的に潰
しているではないですか!!道を作り直すのだそう。

 ここをへんろ道だと「思い込んだ」私は(集落の人もへんろ道のことをよく知らな
かった。),観念して民宿岡田方面に行く道に戻って喫茶ジャンプを探しに行くこと
に。

 【 実は,この4月に再度行ってみたところ,もっと手前に協力会のへんろ札が
  立っていて,荒く舗装された道には立派なへんろ石があったのでした。たぶん
  最初の時は協力会の札が倒れていたかなにかで見落としたんでしょう。】
    
 坂道を登って行くと,今は廃屋になっている喫茶ジャンプが。
 その手前の左折する道は普通の車道だったので,ちょっと意外。
 地図には細い黒線でしか書かれてなかったので。
 角にはたくさんの道しるべが立っていました。保存協会のもあるし,四国のみちの
も。そして椿堂オリジナルのもあるし,自然遊歩道のも。

 そうしてその車道をテクテク登っていくと,保存協会の道しるべが。
 そして四国のみちもたくさん道しるべがあるけど,信用していいのかなあ?
 ま,ご住職が四国のみちに従えば大丈夫って事だったから大丈夫かな。

      ほとんど真っ白のへんろ札。

  四国のみちと遊歩道の道しるべ。  


 この道,地図では山道のように見えるけれども,実際歩いてみたらほとんど舗装
されていて,確かに土砂崩れで通れなくなるような道ではない。
 しっかし四国のみちの道しるべが多い!5分に1本くらいあるんじゃないの?(笑)
 そのせいで道なりのところには保存協力会の道しるべがない。

 四国のみちが「ここでは」正しいということが分かっていればいいけど,長いこと保
存協力会の道しるべが出てこないと間違ってるんじゃないかと不安になってきた。
 とにかく分岐のところにも椿堂オリジナル道しるべがあるとのことなので,
 見落とさないようにしないと!

 と,注意しながら歩いていたら,ありました!

    

  火の用心の左手が雲辺寺に向かう土道,右手が道なりに進む遊歩道です。
  とか降ってたら,もくもくと歩いちゃって気が付かない人もいるのかも。

  台風の影響で歩けないほどじゃないといいなあ。
  


椿堂へ

2006年09月04日 08時20分56秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)

 朝起きて朝ご飯を食べに階下に降りると,びっくりするほどのご馳走が!
 これって,朝食?! 
 朝から何種類ものおかずが小皿に用意されていて目移りするほど。
(これで朝食なら夕食は,,,。食べたかったなあ。

 昨日一昨日と精神的に悶々とすることが多かったけど,今日は天気もいいし,椿堂
に着いたらご住職に昨日のことあやまろう!と,かなり前向きになっていた。朝食の
おかげ?(笑)

 一野屋旅館を出発して,朝一番の車道を一人歩く。
 ひんやりした空気が気分をシャキッとさせてくれる。気持ちいい。
 途中から登り坂になりしばらく歩いたら椿堂に到着。

 誰もまだお参りしていないらしい。
 鐘を鳴らしてから本堂・大師堂にお参りする。大師堂は出来たばかりのピカピカだ。
 あとで聞いたことだが,ここのお大師さんはとても小さかったので新たにお大師さん
の像を建立中で今のお大師さんはその中に入れる予定だとのことだった。
 お参りが済んで納経所に行くと,ごぜ三味線の月岡さんの本にも載っていた黄色に
ツバキが赤く染め抜かれた手ぬぐいが売っていたのでつい購入。(笑)

                     

 ご住職自身が納経されていて,お接待にコーヒーをいただいた。
 「昨日電話した者ですが,すみませんでした。
 というと,
 「ああ,大丈夫だった? 
  大師堂を作る時に通夜堂を潰しちゃったんで,今は泊まれないんだよね。
 本当に歩いている人が通夜堂を使うんならいいけど,昨日泊まっておいて,また
 2日後に来て逆打ちで打ち戻ってきた,とかいう人とかもいてねえ。(笑)」

  そっかあ。そういう人達が増えてるみたいで,今までは泊まれていた通夜堂や
 接待所が,結局泊まれなくなるし,お遍路全体のイメージも悪くなってるのね。
 いろいろと話していると,ご住職の娘さん達がろうそく立てや線香立てを掃除し始めた。
  えらいっ!!
  なんかほのぼのしていいわあ。

  で,自然に今日の歩く道の話しになったら,ご住職が
  「 曼陀峠の道,土砂崩れとか起こすような道じゃないし,僕が言ったところ
   から入ればまず問題ないと思うんだよねえ。
    僕もよく雲辺寺まで歩いていくんだけど,台風のあとはなかなか歩けなくて。
   歩いてくれて状況教えてくれると,今後のお遍路さんにも教えてあげられるん
   だけどなあ。(チラリ、、)」           

   と,期待のまなざし?(笑)

  「昨日の子は,僕が道教えたんだけど入り口を間違えたんじゃないかな?
   保存協力会の曼陀峠へのの道しるべを通り過ぎて,しばらく車道を行くと『喫茶
   ジャンプ』って廃屋の手前の道から入れば大丈夫。
   うちも道しるべ立ててるから。
   四国のみちの道しるべに沿っていけば雲辺寺に行けるから。
   途中の分岐を見落とす人が多いから気をつけて。
   自然歩道の道しるべもあって,間違えて道なりにいく人が多いんだよね。」

      こうなったら行くっきゃないでしょう!

   「分かりました!じゃあ、曼陀峠の道を歩いて、また報告しますね。

   うっしゃあ!やるぞ!


初めての通夜堂泊まりか?

2006年09月02日 06時15分44秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)

 三角寺への道、旭川お遍路さんが歩きのへんろ道を進んで「プチ遭難」したとの
こと。(笑) 電話が通じたのでお寺に電話してみたけど、自分がどこにいるかも
分からなかったのでもうだめかもと思ったらしい。 
 絶対にここは迂回しろ!と聞いていたので、素直に従うことに。  

 ここで初めて車遍路用の保存協力会の道しるべシールを発見。 
 本当に貼ってるよ~。

 そして車道と遍路道の分岐に来たので車道と思われるほうに進んだのだが、途中
であきらかに歩いてしか通れないような道に変わったのでどんどん不安に、、。
  大丈夫かなあ?まさか歩きの道に入っちゃってるのかなあ?
  と、かなり不安になってきたところで、無事くねくね車道に合流。 ほっ。

 あとは車道に沿って上がっていくと三角寺に到着。

      急な階段が迎えてくれます。

 この時3時半。結構いい時間だ。
 ここから椿堂までは1時間30分ほどかかるなぁ。
 三角寺をお参りしたあと納経所に行くと、納経所のお坊さんに不審そうに今日は
どこに泊まるのか?と聞かれたので、
 「椿堂に通夜堂があると聞いたので、そこに泊まらせてもらおうかと。

 と答えると、

  「椿堂には通夜堂はないので、泊まれませんよ。
                    もう遅いので早く下りなさい。

 えっ!?  うそ! だって、あの人通夜堂あるって言ってたのに!
 いや、もしかするとこのお坊さんは泊まれるのを知らないのかもしれない、、、。
 とりあえずこの場では素直に引き下がり、境内を出たところで椿堂に電話をかけて
みると、

 「通夜堂は大師堂を建て直した時に取り壊したので、泊まれませんよ。
 と衝撃の事実。

 とてもここから一番近い民宿岡田までなんて歩けない。山を下るしかない。

 山を下らないといけないってことも辛かった。
 けど、あんなにこだわっちゃ駄目だって教えてもらったのに、
 三角寺のお坊さんにも泊まれないって言われたのに、それでも
 椿堂に電話して、住職さんにもいやな思いをさせてしまったことにまた落胆。

 あかん、駄目駄目や~!

 がっくりとなりながら、三角寺の山の下にある一野屋旅館さんに予約を入れて
夕暮れる中とぼとぼと降りて行った。
                        

 そして夕方17:30頃にやっと一野屋旅館さんに到着。
 すでにお弁当を買っていたので居間でお弁当を食べさせてもらうと、ここのご主人
は歩きのお遍路さんを応援してくれているみたい。
 雲辺寺方面に向かう手作りのへんろ地図が壁に貼られていた。

 明日歩く予定をおじさんに話していたら、おじさんは新しく出た保存協会の地図の
ことも青空屋のことも知らなかったので教えてあげることに。
 そして、明日青空屋に行くまでのルートがどうなのか気になったので青空屋に電話
してみると、ちょうど今日曼陀峠を越えたお遍路さんがいるとのことで電話を代わっ
てくれた。
 すると、
 「いやー、止めたほうがいいですよ!

  僕、道しるべどおり行ったけど、途中から道が分からなくなって30分でいける
  ところを2時間近く迷って大変だったから。

  だって。
  やっぱ駄目かあ。 
  しょうがない、岡田のほうから行くか。
  車道が長いしトンネルもあるから本当は曼陀峠のほうがいいんだけどなあ。

   今日は(も?)疲れました。
  でも、明日は大阪のお遍路さんに勧められた青空屋に宿泊です。
  楽しみ♪  


のせられて・・・

2006年09月01日 08時26分44秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)

 朝起きると外は雨。
 でも,昨晩の天気予報でも雨だったし,さっさと雨支度をしてからホテルを出発。 

                                   
 結構降っているので,11号線をただもくもくと歩くのみ!

 そうして歩くこと2時間半、番外の延命寺に到着。
 雨宿りも兼ねてお参りすることに。
                       

 こんな雨だし、番外のお寺にも関わらず結構な参拝者がいるのはなぜかしら?
 やっぱ「延命」寺だから?(笑)

 本堂と大師堂を雨に濡れつつお参りし、納経のあと向かい側にある東屋で休憩
することに。

 すると先客が3人。

 3人のお遍路さんのうち2人はどうも職業遍路さんっぽいのだが、もう1人の逆
打ちお遍路さんが謎だった。大きな衣装ケース2つをカートに乗せているということ
は職業遍路さんなのかもしれないのだけど、身なりがあきらかに違うのだ。
 雨具の上下も新しい、ゴアテックスっぽいし。靴も立派な登山靴。

 それに、私が次の日に三角寺と雲辺寺を一度に打つ予定だというと、それは大変
なので椿堂に通夜堂があるはずだから、今日三角寺を打ってから椿堂に泊めて
もらえないか電話で聞いてみたらいい、とアドバイスをいただいた。

 さらに、私が曼陀峠越えをするつもりだといったら、その道は草ボウボウでとても
歩けないと思う、こないだ民宿岡田の前に出る道を歩いた時に、鉈である程度の
倒木は取り除いてきた。(といって鉈を見せてくれた。)
 ゴアテックスの雨具はあるか?靴は?

 と、なんか普通じゃないんだよなあ。
 いったい何者? 雨宿りしながら文庫本とか読んでたし。
 不思議な人だった。

 で、雨も小降りになってきたし、あれ以降、気分的にがんばらないといけない!と
いう気持ちもあったし、ここで椿堂を勧められたのは、お大師さんから通夜堂に泊ま
れということなのかもしれないと思った。(いや、マジで。

 3人とお別れして、ほとんど雨の上がった道をズンズン歩いていく。
 心はすでに三角寺を打って椿堂に行く気満々だった!
 もともと伊予三島に泊まると時間的に早かったのもあるし。

                       

 で、今日通夜堂に泊まるなら、と思いスーパーでお弁当を買い、伊予三島を通って
とうとう登山口へ。
 ここを登っちゃったらもうあとには引けないぞ~!


反省しきりの歩きだった。

2006年08月31日 07時53分12秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)
だいぶ肉体的にも精神的にも疲れてきていたらしく,足に力が入らない。
昨日京屋旅館のご主人とのお話で,反省しながら歩いていたのもあるんだけど。

 夕暮れて家路に帰る小学生達と一緒になりながらとぼとぼと歩く。
 疲れていたので道の端に座って靴下も脱いで休憩。
 なんとなくもの悲しい気分になりつつ休んでいたら,さっき抜いた小学生の女
の子二人が近寄ってきて,
「何してるの?」「どこから来たの?

 と不思議そうに話しかけてきた。

 これにはなんとも癒された。
 しばらく話した後,二人が喜びそうだったので納め札を渡してお別れした。

                  

 またテクテク歩いていくと川があるので橋を渡って住宅地を抜けていく。
四国のみちの道しるべが地図とまったく違う方向を指しているのに気付かずに右に
曲がろうとしたら近所のおばあちゃんが正しい道を教えてくれた。

 「電話して直してくれって言っても,へんろ道とは違うからって直して
  くれないんよ。

 おばあちゃん,その気持ちだけで十分ですよ。ありがとう。

 さらに進んでいくと,道ばたでおしゃべりしていた近所のおばちゃん達が私を
見るなりりんごとお金をお接待してくれた。
 私はそんなお接待してもらう価値ないんです。
 いつもならうれしくなるところを疲れもあったのだろう,ただ申し訳ない申し訳
ないって気持ちばかり,,,。 
 いったいこの地域はなんてお遍路さんにやさしいんだろう。
 東予はそういうところなんだろうか?

                 

 疲れているので地図を何度も見てはまだここか,とため息をつきながら歩いて
いく。 
 途中で分岐があるので見落とさないようにと目印の小学校を求めて歩くものの
なかなか出てこない。
 「○○小学校まだか~!」と心の中で叫びつつ,よろよろと緩い坂道を上って
いくと下校途中の学生達がチラホラ見えてきた。
 ホッとするものの,まだあと3キロ。

 そう思って歩いていたら,道の端に停めてあったワゴン車からおばちゃんが私に
手招きするので近づいていくと、にこにこ顔で,

 「お接待。

 と500円もお接待してくれた。手のひらに乗る5枚の100円に

 「角を曲がったところでお茶出してるから寄っていってね!

  とも。

 状況がよく分からないままそちらの方向へ行くとそこはお接待所ではなくお弁当
やさんだった。

 入り口でおろおろしていたら,おばちゃんはお店の店長さんだったらしい。

 「好きなお弁当頼んで。お接待するから。

 えっ!?でも,さっき500円もお接待してくれてるのに,これ以上
お弁当もなんて,,,。

 おばちゃんは私がビジネスホテルMISORAに泊まることを知って,夕飯用に
お弁当とお茶もお接待してくれた。お手洗いも私から聞いた訳じゃないのに貸して
くれて,,,。
 お店で食べていってもいいよと言ってくれたのだけど,もう外は暮れきっていて,
このままここで食べて行くと歩く気力も無くなりそうだ。

 それに,やはり申し訳なくて申し訳なくて,
 「本当にありがとうございました。」とお礼を言ってネオンの光る車道を宿まで
歩いて行ったのだった。
 どうしてみんなこんなにやさしいのだろう。
 どうして私にお接待してくれるんだろう。

                    

 もう真っ暗だったが,ホテル手前のローソンで携行食等を買ってホテルへ。
 ツインの広いお部屋だった。洗濯機もあるか心配だったけど,ちゃんと1台
あったので良かった。

 しかし今日の歩きでとうとうお杖の帽子が破けてしまったのでダメもとでフロン
トの方に「針と糸があれば貸してもらえませんか?」と聞いてみたら快く貸してく
れた。ビジネスホテルだけど,フロントの方はすごくやさしかった。

 部屋でおばちゃんからいただいたお弁当を食べ,帽子をチクチク縫い合わせて
いく。

 私はお遍路に来て思った。
 「人にやさしくされたことがないと、誰かにやさしくはできないかも。」

 損得関係のないやさしさが与えられて、初めて自分もそういうふうに他人に
 やさしくできるんじゃないかなあ。 

 明日の朝はお弁当の残りとりんごを食べよう。
 

お寺のチャレンジスポット

2006年08月30日 08時20分34秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)
 香園寺を出ると,そう遠くない距離に64番まで3つのお寺が続いているので
次のお寺まではすぐだった。62番を打って63番へ。

 暑い!

 11号線は車の通りが多くてうるさいので,1本上の道を歩いていたらいつの
まにかお寺を通り過ぎていた。がくっ。

少し戻って吉祥寺にお参りし,納経を終えてベンチでお昼を食べていたら,車の
お遍路さんが、

「これどうぞ。飲むと元気になりますよ。がんばってください!」

 といって,紫色の液体の入ったビンをお接待してくれた。

 普通の栄養ドリンクの入れ物にオリジナルな飲み物を入れてくれているらしい
のだけど,いったい何のドリンクなのかは聞くのを忘れてしまった。
 濃い紫色でちょっと考えたものの,相手の雰囲気から変なものではなさそうだっ
たので思い切ってゴクンと飲み干した。

 飲んでも何か分からないなあ?プルーンでもないし。ま,いいか。(笑)

 で,境内には穴の開いた石があって,目をつぶって杖を持って進み見事に穴の
中に入ればO.K.と旭川のお遍路さんに聞いていたのでやってみたら入った!

 これ,入ったら何かいいことあるのか知らないけど,周りに人がいたら恥ずか
しくて出来なかったかも,,,。
(清水寺の境内にある恋愛成就の神様でも似たようなのがあったような?
 や!私はそこではやってないですよっ!)

                    

 お寺を出た後,あまりの暑さに自販機を見つけてはジュースを買い,飲んでは
また自販機を探しているような,,。
 ちょっと買いすぎなので,100円の500ml缶を買ってペットボトルに移し替え
たりして。でも移し替えてもすぐ飲んじゃうんだけど!

                 

 そうして次は前神寺。62,63番と小さなお寺が続いたので思いのほか広く
て立派でびっくり。もともと石鎚神社があったところらしい。
 で,奥へ奥へと入っていくとなんとも静かな境内で,いい感じだ。

 ここにも旭川のお遍路さんから聞いていたおもしろスポットが。
 お不動さんだったかをお祭りしているところの下の壁をちょろちょろと水が伝い
流れていて,そこには苔が生えているのですが,そこに1円玉を投げてくっつけば
O.K.(笑)
 これもやってみたら付きました! 
 これはちょっとおもしろかった。なんでくっつくんだろう?

 なあんてことをしていたら,ちょっと曇ってきた。
 もう3時近くになってるし,早く行かないとなあ。まだ15キロは歩かないと。

 今日は道のりがひたすら長く感じる。
 なんでだろう?気持ちの問題かな?
 それともお寺が多くてお参りに時間がかかるから?(笑)

再び横峰寺へ

2006年08月29日 06時51分10秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)
 ロープウェイに乗って石鎚山を下ってきたので、当初の予定と大幅に変更に
なった今回のお遍路。

 今までかなり綿密な日程表を事前に作り、ほぼそのとおりに行動してきた私に
とってはこれはある意味「事件」だったりする。
 そのわりにはちゃんと新たに宿の予約を入れてるところが完全には「放浪」
できていないのだけど。(笑)
                

 前の晩に売店横のスタンドで冷たい湧き水を飲みながら,京屋旅館のご主人と
お遍路について話したことがお遍路後半の大きな転機になったなぁ。
 詳しくは書かないけど,お寺・車遍路・歩きへんろそれぞれの問題点をズバリ
言い当てられて,お寺・車遍路についてはうんうんと頷いてたのが,歩きへんろの
問題点を言われたときにはズバッと胸に矢が刺さったって感じ。

 おかげで初心に帰りました。
 そして物事にこだわり過ぎていた自分を発見。

 これ以降何かに「こだわる」ことが少なくなったと思う。(まったく無くなった
わけじゃないけど。) 
 すると,周りも自分も楽になったかな。

 これは「妥協」とか「あきらめ」とかじゃなくって,なんていうか「こうじゃなきゃ
ダメ」ってこと,あるのかな?って気付かせてくれたっていうか。

 どうしても譲れないことってあると思うんだけど,それで幸せになれればいい
けど,その「こだわり」によって自分が幸せになれないんじゃあ意味ないよね。
 もちろん周りもね。
 だから、古い友人には随分丸くなったと言われます。(笑)

 全然違うかもしれないけど、ミッセイさんのブログを最近読み直してて、同じ
ようなこと(と私は思っている)が書いてあった。

 やっぱり好きだわあ、ミッセイさん。

                 

 さて、宿を後にして7時20分発で貸し切り状態のバスに乗って横峰寺へ。

 かなり狭い道幅の道路をうねうねと登っていきあっという間にお寺へ。
 再度お参りしたあと、しばらくバス道を辿って香園寺に下りるへんろ道を行く。

                   

 この道、尾根道のような感じで明るくていいのだけど、その一方で尾根道ゆえ
に雨が当たりやすいのだろう。道の真ん中に、大きくて長いヒビが走っていて、
踏みしめると土が異様にフワフワしてる。
 ここ、あと2,3度雨が降ったら崩れそう、、、。早く通り過ぎよっと。

【案の定、この道も1週間後の台風で落ちてしまい、通行不可能となってしまった
のだった。実はバス道も台風で土砂崩れがあり、やっとそれを除けて再開したとこ
ろだったのが、あとの台風で再度通行不可能となってしまったのだ。
 本当に台風被害の大きな年だった。 】

 いたるところで木が倒れてしまっていて、かなりボロボロになっていたものの
下るのには支障なく、香園寺奥の院に到着。
 ここは滝行が有名らしく、白い着物の女性も誰かに連れられて滝つぼに向かって
いた。ちょっと興味はあるけど、そこまでするのもねえ、、、。
 なかなか雰囲気のあるところだったので、せっかくなのでお参りして納経をいた
だいた。

 それから車道を下りて行き香園寺の裏手まで来たら、道しるべの先に道がない!?
大きな木が倒れていて先の道が見えないのだ。
 木は避けて通れたけど、踏み跡らしいものが見えなくなってしまいしばらく右往
左往していたけど、長年の感でなんとか道を発見し無事お寺に着いた。

                   

 ここのお寺、大きな2階建ての鉄筋コンクリート造りの建物が本堂で、かなり異
色なお寺だ。その割りに大師堂は小さい。ちょっと可哀相かな。
 子安大師と呼ばれるだけに、お大師さんが赤ちゃんを抱いているのだった。
 すごいいい天気!境内が広くって、日影が無いよう。
 ゆっくりしたかったけど、団体のお遍路さんが来たから先に進もう。

 今日の宿は20キロ以上先のビジネスホテルMISORA。
 がんばらないと日が暮れちゃうぞ!おー!  

初めての・・・

2006年08月25日 12時07分42秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)

 石鎚山を制したあとはまた同じ道を戻り,成就社についたのは12:00頃だった。
 急ぐ必要も無いし、お昼を食べて民宿で預かってもらっていた荷物を受け取り
ロープウェイ乗り場へ。

                                               

 こういうところのロープウェイはどこも高いけど,やはり石鎚山も代わりはなく片道
1000円だった。
(よく考えると,歩きへんろにもかかわらず太龍寺,雲辺寺のロープウェイも制覇して
いる。(笑) ケーブルも,比叡山,高野山,摩耶山,等宗教的なところは乗ってたり
して。 実は隠れケーブル・ロープウェイマニアなのかもしれない。)

 ロープウェイで降りてバス乗り場に向かう。
 向かいには元湯石鎚温泉が。ここにも京屋旅館があるのだが、今日は横峰寺行
きのバス発着所横にあるほうの石鎚温泉の別館でもある京屋旅館に泊まる予定。
 ここの京屋旅館の息子さんが横峰寺下の京屋旅館を経営されているのだ。

 京屋旅館方面に出るバスの時間を調べると,40分以上もバスが来ない!
 温泉に入るには時間がないし,かといってここで待ってるのもつまらないしなあ。

 で,とりあえずバス道を歩いていくことにして,途中でバスが来たら乗せてもらう
ことにした。
 たぶん止まってくれるだろう。(たぶん、、、

                      

 テクテクとへんろ道でもないところを一人歩く。車が横を走っていく。
 なぜかちょっと気恥ずかしいが,その一方で楽しかったりもして。

 と,1台の車が止まったと思うと,運転席にいた女性が
 「乗っていきませんか?」  と声をかけてくださった!

 言い訳がましいが,石鎚山はおまけだし!ということで,ありがたく車のお接待を
いただくことに。
 初めての車のお接待である。

 後ろには女性のお子さんも乗っていて,アットホーム~。
 お遍路さんを見ると声をかけようかと思うけどなかなかかけにくい,
 私が女性だったのでかけやすかったとも。

 私も男性1人とかの車にはやはり警戒してしまうが,ご夫婦や女性だったりすると
やっぱり安心するかな。

 道々お遍路のこととか話しながらあっと言う間に黒瀬ダム湖横に到着。
 本当にありがとうございました!!

 車道から坂道を上がり,横峰寺行きバス発着所の目の前にある京屋旅館に
入ると,さっそくお部屋に案内してくださった。ダム湖が目の前に見えてなかなか
いい感じ。
 
 ここのお風呂は石鎚温泉から冷泉を運んで湧かしているらしいので,楽しみ♪
 さすがにバスツアーの団体さんも泊まる宿なので中はかなり広く,湯船も大きい!
 そしてこの冷泉,沸かす前は透明なのだが,沸かすと白くなるのだ!
 木の湯船は真っ白のお湯で満たされていて,いかにも温泉に入るって感じ。

 が,入ってみたらほとんど沸いてなかった・・・。入るのが早かったのか?
 後で分かったことだけど,この日はボイラーの調子が悪かったらしく沸いてなかっ
たので,あとでプレオープン中の別館のお風呂を貸してもらえることに。

 ここが素敵なんだ~!!
 別の場所にあった民家を移築して中を改装したらしいのだが,お風呂が・・・

       じゃ~ん!!

  たぶん,総檜風呂ですよぉ。
  入ってるとねえ,なんかもうし・あ・わ・せ。(笑)

  白いお湯って癒されますよね。
  でもこのころ下呂温泉だったかで温泉疑惑があったころだったのですが,
 スタッフ曰く,
  「ここは本物です。沸かすとすごい量の沈殿物が出て掃除が大変なんです。

 とおっしゃっていたが,確かにバケツ一杯分の沈殿物が・・・。

  この建物はもともと民家のために部屋がふすまで仕切られてるので,泊まりに
使うことはないかもとのことだったけど,どうなったのかしら?
  離れも建設中だったので,また泊まりに行きたいわあ。

  建物の中にはこんなバーもあったりして。

  ステキでしょ? 


  それに,なんと露天まであるんだなあ!

     

 こっちは冷泉じゃなくて地下水を汲み上げて沸かしているらしいので透明なの
ですが,すごくいい石を使っているのがよく分かるし,お風呂に入っていると鈴虫
の声が聞こえてすごくリラックス出来るのでした。

 あ,でも断っておきますが,これらのお風呂は民宿の方とは違って別館・離れ用
のお風呂ですので普通は入れないと思いますよ。
 泊まりに行って「入らせろ!」なんて強要しないでくださいね。

 民宿の方のお風呂も木のお風呂です。こちらほどの高級感はないですが,でも
民宿もスタッフの方々がとても感じが良くて印象の良いところでした。
 明日はすぐ前の発着所からバスに乗って横峰寺へ向かいます。


石鎚山頂へその2

2006年08月23日 12時27分49秒 | 2004年おへんろ日記(愛媛編)

 1の鎖も過ぎて,さらにえいこら登っていくと,2の鎖に到着。

 ここは面河からの登山道との合流地点なので,たくさんのハイカーさんと一緒に
なった。
 へんろ姿は私だけ・・・。 目立つよ~!

 でも,おかげでいろいろ話しかけてくれますが。(笑)
 2の鎖,登っている人は少なかったです。リュックもあるからやっぱり怖いんで
しょうね。
 しょうがなく,ここも巻き道を歩きます。やっぱり階段です。
 3の鎖も巻きます。ずーっと階段だよう!
 でも,一部金網で出来た通路みたいなところもあったりして,なかなかスリリング
です。

 この辺に来ると,上の方から「ブオォオ~」というホラ貝の音が!
 行者さんがホラ貝吹きの練習してるよ。
 それに石鎚神社の信者さんが似たような白衣を着て下りてきました。

 「お上りさん」と声をかけられました。

 ここで私は「お下りさん」という独特のかけ声をかけないといけないはず。
 が,急に言われてもちょっと恥ずかしくて言えないっす。(笑)

                                               

   そうして頂上に到着!
 立派な参篭所(民宿みたいだけど。)もあって、裏手に石鎚山頂上社があります。
 無事登ってこられたお礼とともにお参りし、納経してもらいました。わーい!

 くるりと後ろを振り返るとそこは断崖絶壁。
 なんとはなしに覗いてみたら、なんとそこが3の鎖の真上だった!

       
     
 こ、こえ~っ!
 ひぇ~と思いつつ、ちょうどお兄さんが登ってきていたので、
 「写真撮っていいですか~?」と、登るのに一生懸命なところをパチリ。(笑)

 でも、よく見ると鎖のわっかじゃなく岩に足をかけて登ってきている。
 なーんだ、それで良かったんだ。登って来ればよかったなあ。

                      

 雲のたなびく向こうには、本当の頂上である天狗岳がそびえ立っている。

        

 ときおり濃い霧にまったく見えなくなってしまったりして、あんなところに果たして
行けるだろうか・・・。
 天狗岳へは細い岩場をつたい渡っていかないといけないし。

 うーん、、と悩んでいたら、隣にいたおじさんに、
        「ここまで来たら行かないと後悔するよ。

 とけしかけられて、そりゃそうだと思ったのでいらない荷物(さすがにお杖も)を
置いて行くことに!
                      

 まずは鎖をつたって下に降り、天狗岳に伸びる細い岩場に取り付く。
 思ったよりは広かったので、3点確保をちゃんとして岩に寄りかかるように進む。
 でも、ある場所は狭すぎて、手を突かずに両足だけで立っていくか、四つんばい
になって断崖絶壁を覗き込みながら行かないといけないところがあって、生きた
心地がしませんでした。足が震える~!
 さっきの3の鎖のお兄さんは立っていってたけど、もし突風が吹いて落ちたら、
2の鎖まで真っ逆さまらしい・・・。

 ある場所なんて、岩に亀裂が走っていて、そこでぴょんぴょん飛んだりしたら
いつか割れて落ちそうな感じ。いろいろとスリリングです・・・。

 そして着きました~、天狗岳!

    

 これは天狗岳から頂上社のほうをバックに撮ったところ。
 霧だか雲だかで周りはまったく眺望ありませんでした。(笑)

 しばらく待っていたら霧が晴れて一部山裾が見えたりしたんですけどね。
 ある意味あまりよく見えると、帰りの断崖絶壁四つんばいポイントで、ますます
怖気づいてしまうかも。(笑)

 ここまで来れて大満足!
 今考えると何故記念グッズ(バッジとか手拭いとか)買わなかったんだろう?
 やっぱりお遍路の延長線という意識からか?

 出来たら今度は面河渓の方から登って山頂に泊まり、ご来光を拝みたいです。