予定通り朝6時に起床し、あいあいと一緒に公衆浴場の受付へ。
あいあいが4人目だったので、一人30分入っていたら7時半になる。
つぼ湯は750円もするけれど、薬湯にも入れるので先に薬湯に入ることにした。
薬湯は源泉に加水することなく冷ました湯船なんだけど、こんなに朝早いので貸切
だった。天井が高く吹き抜けのようになっていて、露天のように空気が入ってくる。
ただ基本的にお湯の温度が高いし性質上水を足すことは出来ないので茹ってしま
う2人なのでした。
薬湯を出てぶらぶらしていたら、日曜なので7時から「日本一小さな朝市」がお寺
の横で始まった。
お漬物とかが多いみたい。またあとで覗きに行こう。
で、幸い1人で入っている人が多いからか、それとも熱すぎて長湯できないのか、
7時10分に入ることが出来た。
私は前にも入っているし、なんせ写真を撮らないといけないので扉を開けるために
中に入ると、扉の内側に「開けないでください。」と書いてあるではないですか!
急いで戻って受付のおじさんにそのことを確認すると、
「最後に閉めてくれればいいけど、開けるなら見られちゃうよ?
っていうか、俺見に行っちゃうよ?(笑)」
「別にいいですよ。私が入るわけじゃないから。(笑)」
なんていう会話のもと、急いで戻ってワイヤーをグルグル回して扉を開けると
「わー、景色めちゃいいわあ!」 と、あいあい大喜び。
そして私はカメラ片手にダーッとつぼ湯を飛び出したら、次の順番の人がいたので
「もうちょっと待ってください!」と言って、向かいの道路に駆け上がったのでした。
そのまんまパンフレットと同じだわ~!
「あいあい最高!いいわあ! 」
と写真を撮っていたら、温泉を楽しもうと上からおじさんが降りてきた。
うお!見られちゃうんじゃ?
そうして私はまた走ってつぼ湯に戻ると扉を下ろしたんですが、あいあい曰く
「おじさん、よー振り向かんかったわ。(笑)」
とのこと。 騒ぎすぎたら振り向く勇気無いのかなあ?
あいあい大満足で宿に戻って朝ごはんをいただく。
昨日の夕飯がすごくてお腹はぜんぜん空いていないんだけどな・・・。
でも、お膳には思っていたよりおかずが無かったので、あれ?と思いつつも
ご飯をついだら、そのあとに温泉粥に温泉玉子、温泉で茹でたお豆腐まで。
・・・先に言ってよ~。
またもやパンパンのお腹を抱えつつも、湯筒でさつまいもを茹でたり、たまお
さんが前の日にお土産屋さんで頼んでおいた手彫りの印鑑を受け取るために早め
に民宿を出た。
お芋や玉子は湯筒の近くのお店で売っているので、細くて早く茹で上がりそう
なお芋を買い、昨日の玉子も一緒にネットに入れて茹でる。
早く出来ないかなあ♪
温泉玉子は10分程度で出来るらしい。私は固ゆでで。
お芋は30分ほどでいい感じに茹で上がったので、あとで電車の中で食べる
ことにした。
帰りは龍神バスで紀伊田辺駅へ。
やはり中辺路方面はかなり観光地化されているなあ。
でも、道の駅っぽいのがあるのはうらやましい。
また歩きに来たいなあ。そして温泉も。
さて、湯の峰行きのバスはあと7分ほどで来るのに、あいあいはやっぱり友達のお
土産に本宮の手拭いを買いたい!と、走って行ってしまった。
あの石段を駆け上がって、果たして時間までに帰ってこれるのかやきもきしたが、
ちゃんと帰って来れました。お疲れ~。
それからバスに乗って川湯温泉経由で湯の峰に向かうと、先週で営業が終わった
仙人風呂がまだ形を留めていた。
そうして湯の峰に到着。
湯の峰はすごく小さな温泉街で道路も一車線しかないので、終点でUターンする
ためバスはバス停を通り越して私達の泊まる民宿「湯の谷荘」あたりまで行く様子。
ダメ元で運転手さんに下ろしてもらえるか聞いてみたら快くO.K.してくれた。
ラッキー!
民宿に15時前に入り部屋に荷物を置いたらまずはお風呂へ。
というのも、湯の峰の名湯「つぼ湯」では体を洗えないのだ。
この民宿は民宿なのにめずらしく露天がある。でもいきなり露天は寒いので、まず
は内湯で汗を流すわけですが、なんせ宿入り一番乗りなので、私の経験上お風呂
のお湯はアッツアツのはず!
なぜかというと、湯の峰の源泉は90度以上あるから。ほんの少しずつしか溜めなく
ても冷めるまでだいぶかかるし、なんせお湯はずーっと入りっぱなしだからね。
案の定手を入れてみると熱~い!
ホースで水をどんどん足して適温にする。
実はこれはつぼ湯にも言えることで、あんまり人が入っていないと、1組30分で
出ないといけないのにお湯を適温にするのにものすごい時間がかかったりするの
だ。これから行く人は要注意ですぞ!
露天は本に載っていたのは男湯らしく女湯は小さかったけど、外にある分お湯は
いい温度だった。
はー、極楽極楽。
すっきりしたところで「つぼ湯」へGo!
しかし、シーズンオフとはいえ3月にもなるとそれなりに観光客も来ていたので、
公衆浴場の受付に言って聞いてみると、順番は今からだと7時30分とのこと。
あいあいがここで驚きの発言!
「ガイドブックみたいに、戸を開けて写真撮りたいから暗くなったら意味ないし。」
ま、マジですか?! あなた、来る前もそんなこと言ってましたけど、ここに
着て状況を確認してもまだ言います?!
湯の峰温泉って本当に小さくて狭い。真ん中に流れる川が温泉で、左側がバス
道、右手がお寺に公衆浴場があり、つぼ湯のある小屋は川の上、つまり車道のすぐ
横なのだ。
もちろん人も通るし、戸を開けたら丸見えだ。本気かよう!?
結局この日は入らないで、明日早起きして6時30分頃に行ってみることにした。
6時からなんだけど、6時に行っても熱くて入れないし、2番手、3番手くらいが取れ
れば万々歳だ。
で、浴場のおじさんに前に来た時に売り切れでなかった本物の湯の峰の湯の花
がないか聞いてみたら、作っていたところが製造を止めてしまったんだと。えーん。
あいあいも、私が前来た時には「つぼ湯世界遺産登録記念」の手拭いをもらった
ので、もらえるのを期待していたみたいだけど、残念ながら5000枚限定とのことで
すでに無かった。残念でした!
せっかく外に出てきたし、体は宿の温泉で十分温まっていたので、つぼ湯近くの
お店で地ビールをいただくことに。
あいあいは「やたがらす」。
私は「くまのビール ラガー」で。どっちも甘めでおいしかった。
さて、ここで公衆浴場の横にあるお寺が作っているらしい湯の峰の手拭いが
売っていて、これもまた味のある手拭いだったのであいあいと私はとうとう4枚目の
手拭いを購入。 手拭いの旅になってしまった。でもうれしいなあ。
そのうち「てぬぐい」のカテゴリー立ち上げようかしら?(笑)
このあと民宿に戻ると、ぐうぐうのお腹をもてあましつつ夕食の時間を待って、
やっと呼ばれて食事処に移動すると、ものすごい数のお料理が!
さざえまであるよ!
鮎に鍋になんと釜飯まで!すごいなあ。
鍋はすき焼き風で、生卵が付いていた。 卵・・・。 これ、持ってかえって
明日「湯筒」で茹でようかな。(笑) (こっそり隠す私。)
このあと、さらに煮物と揚げ物お吸い物まで出てきてもう喰えん。
それにみかんも出てきた。
たまおさんが言ったとおりだった。
誰かがここの民宿は料理の量が半端じゃないって書いてたんだって。
ああ、せめてこのあと何が来るか最初に言ってくれたら・・・。
パンパンのお腹を引きずって部屋に戻ると、いつの間にかふとんが敷かれて
いた。たまおさんはとんでもなく眠いらしくさっさとふとんに入っていたけど、私は寝る
前に温泉を楽しみたかったので宿の露天風呂に行くと、やはりそういうお客さんが
ちらほら。露天で他のお客さんと話していたら、あいあいもやってきた。
湯の峰のお湯は本当にいい。
よく温まるし、肌もすべすべになるし。好きだなあ。
9時半頃にお風呂を出て部屋に戻ると部屋はすでに真っ暗だった。
このままでは熱くて布団に入れないので、自販機でスポーツドリンクを買うと階下
のソファで一休み。
明日は朝6時に起床。つぼ湯に入れるのか?!
百間ぐらで休憩した後はダダーッと下り、万瀬峠の分岐に到着。
ここが伊勢路との合流点。いつかは歩いてみたなあ。
歩きやすい林道を鼻唄交じりに進んでいくと、松畑茶屋跡に到着。
ここが圧巻のベンチで、30人くらい平気で休憩できそう。(笑)
もちろん私達も休憩したのだけど、ベンチの向かい側に「歌声ポイント」と書いて
あった。なんだそれ~!と思ったんだけど、3人で話をしていたらちょっと大きな声を
出しただけでものすごい響いたので自分でびっくりした。(笑)
よく響くんだな、ここ。
さて、ここから請川まで1時間強なのだけど、もう終わりかあと思うとちょっとさみ
しいような、でももうちょっと行けば今日は温泉と思えばやっぱりうれしいような。
請川が近くなると、車の音も聞こえ出し、眼下には熊野川も見え出した。
そうしてほぼ標準所要時間と同じタイムで請川に着いた。到着時間13:00。
なんか下界に戻ってきたって感じ。
ま、何はともあれ2日間お疲れ様でした~!
お昼は近くに薄皮饅頭屋兼食事処があるので、そこで昼食を食べることに。
お腹は空いていたものの、今日の夕ご飯はものすごい量のはず!とたまおさんが
言うので、セットではなく丼物で押さえておく。
でも、しっかり薄皮饅頭はゲット! うほほーい!
お店で請川から本宮行きのバス停が3つもあると聞いて。
路線バスに直通バス、温泉経由等あるかららしい。
幸い請川から本宮までの直通バスが2時過ぎにあって、すぐに本宮前に到着。
さすがにこの辺りは観光客で賑わっている。
前に来た時は門前にも全然お店がなくってさみしい感じだったけど、お店も増えた
のかそれとも時期が違うからか、だいぶ開けてきてるみたい。それがいいのか悪い
のかはわからないけどね。
で、鳥居をくぐってみると、最後の最後にやってくれます。長い階段が・・・。
うへえ~。
登るしかないよね、ってことでがんばって登る。
観光客の中には降りてきた人に聞いてまだまだだと知ると、途中で帰る人も。
それはもったいないでしょ・・・。
本殿の門にはものすごい垂れ幕が。(笑)
しっかりお参りを済ませると、たまおさんはご朱印をもらいに、私はお守りとか
物色していたら、熊野本宮の手拭いを発見!あんまりやたがらすに見えないけど
デザイン的にはいい感じなのでもちろん購入。
そしてお参りの後はもちろんこれですよ~。もうで餅。
勝手におもちの色でニッキ味だと思い込んでいたら違った。
とってもやわらかくておいしい~。たまおさんも久々にお抹茶を飲めて満足。
おやつもいただいたところで、とうとうお待ちかねの湯の峰だ!
ようやっと桜峠にたどり着いた。あとは下りがほとんどなので気が楽だ~。
下り坂もゆるやかだし、杉林のわりにはよく日が差し込んでいて気持ちのよい山道
で、ルンルンだ。
らくらく石堂茶屋跡に着いて、休憩所でしばし休憩。
今日は昨日に比べると行程も楽だしと思い、ペットボトル1本しか持ってこなかった
ら、なんだかものすごくいい天気だし意外に「最初」がきつかったのでお茶が足りる
か心配になってきた。
地図には水飲み場の表示はないけど、なぜか「水飲み場」の看板が立っていたの
でとりあえず覗きに行ってみた。
が・・・そこに見えたのは、
こ、これ~っ!? の、飲めるんだろうか・・・?
うーん・・・とバケツというか樽を見下ろししばし考え込む私。
二人は私がどうするのか興味深そうに見ている。(笑)
なんでかバケツを前に考え込む私を写真に撮ってたりするし!
もっと近くに行って見てみると、ほとんど枯渇状態の沢の水が細いホースで
樽に注がれているのであった。
ここにガイドのN島さんがいたら間違いなく飲まないように指導されただろうが、
飲み水がないことで精神的に不安なまま歩くよりはいいかなと、お遍路的感覚で心
を決めて、ペットボトルに(ホースから)足しました。
ま、水飲んでお腹壊したことないし。 大丈夫でしょ!
(南阿波サンラインの時は自信ないけど。(笑))
飲み水の心配もなくなってますます快適に晴天の古道歩きを楽しむ。
途中で道の端に山のように小石が積まれた「賽の河原」地蔵があって、
たまおさんに、
「賽の河原ってなに?」
って聞かれたけど、自分でも何かと聞かれるといまいち説明できず、
「とりあえず石を積めば亡くなった人の供養になるから積みましょ。」
と、そのへんの小石を積む私。たまおさんもそんなら、と積み足しました。
でも後で調べてみたら、ちょっと違ったけど。たまおさん、ごめん。
そんなこんなで順調に(?)進み車道に交差する地点まで来たら、ここにも地図に
載っていないトイレが車道を少し行ったところにあることが分かったので寄ることに。
地図上では請川までトイレはないと思っていたので3人ともホッとする。
古道から150m左へ進むとそれらしき建物があったけど、その向かい側に一列
に置いてあるイスがなんだか不可思議な空間を生み出しています。
トイレ待つ人のためにしては多すぎるしね。(笑)
あ~、でも今思えば、団体で熊野古道歩く人たちならここでトイレ休憩するんだな、
きっと。
で、このトイレがまたエコな代物で、バイオトイレなのですよ。あのオガグズを使っ
たやつです。初めて使いました。で、屋根に付いているのはたぶんソーラーパネル
で、この電気でバイオトイレを動かしているのだと思います。すばらしい!
ところで「バイオトイレ」を調べていたら『日本トイレ協会』発見!(笑)
11日10日は【いいトイレ】でトイレの日なんだって。勉強になるわあ。
それだけじゃなくて、日本トイレ協会の会員になると、
「◆ 会員の特典
① 会員(日本トイレ協会役員を含む)は、名刺、印刷物等に、
「日本トイレ協会会員」として明記することができる。
英名は“Japan Toilet Association”とする。
② 会員は日本トイレ協会が主催、実施する活動に優先的に参加できる。」
だって!ちょっと深みにハマリそう。(爆)
閑話休題。(笑)
トイレの心配もなくなり、古道に戻って今日のハイライトである百間ぐらへ。
もっとしんどい登りが続くかと思っていたけどそんなことはなく、あっという間に
着いたのだった。
あまり広くはないと聞いていたとおり、写真で見るよりこじんまりとしていたけど
他に誰もいないので3人で景色を独り占めだ。
そんなに標高は高くないけど、前は開けていて開放的。
ここで昨日の夕飯に付いてきたデザートの八朔をいただくことに。
今日は小口自然の家が満室だということだったので、たくさんのハイカーに会うの
かと思ってたけど、今日はまだ誰にも会っていない。土曜日なのにな。
本当にいい天気だし、古道は独り占めだしいうことないわあ。
まだタイマーも鳴っていないのに目が覚めた。
というのも、外から聞こえてくる「ザーッ」という音が気になって。
まさか雨?!
寝なおすも気になって眠れない~。
しょうがなく起き出して外に出てみると雨は降ってないようだ。
日が昇ってから気が付いたんだけど、学校の裏には大きな川が流れていたので
どうやらその音だったみたい。ホッ。
みんなもゴソゴソ起き出して準備を整えたら朝ごはんを食べに食堂へ。
いただきまーす!
しかしこの旅では歩いて消費したカロリーをゆうに超える食事をしている。
これでいいのか・・・? でも、長いこと胃痛を患っていた身としては、しっかり
食べられることがうれしかったりもして。
そうして朝ごはんを食べ終わったらさっそく出発。
大変お世話になりました。
小雲取越えの道は目の前の橋を渡ってしばらく車道を歩き、さらに橋を左に渡っ
たところから始まる。
朝一番の空気がひんやりとして気持ちいい。
橋の下の川がものすごくきれいで見とれてしまった。
古道の入り口まで来たらだいぶ体が温まってきたので上着を脱ぎ脱ぎ。
小口自然の家の館長さんは、最初はちょっときついけど楽だよ~って言ってた
のでそれを信じていたけど、その『最初』って長くな~い?!(笑)
登っても登ってもずーっときつい登り坂なんですけど。
楽だと思っていた分だけ昨日よりしんどい気がする。
いつになったら下り坂になるの?
朝もやの中登り続けてやっとベンチのようなものがあるところに着いた。
ちょっと休憩。 でも、地図を見ても桜峠はまだまだ先のようだ。とほほ。
ただ、昨日のような石畳の道ではなので気を使って歩く必要はあまりないのが
幸いだ。どちらかというと貴船神社から鞍馬に抜ける木の根道っぽい感じかな。
館長さんが言ったように小雲取越えの道は完全に登山道になっている。
さて、また登りますか。
えっこらしょ、やっこらしょ。
そうしてやっとこさ桜茶屋跡に到着。長かった~。
しかし、ここは展望が開けていて、東屋もあってなかなか良いところ。
でも雲海っていうには霧が発生しすぎ!(笑)
ここからはあともうちょっと登れば桜峠で、あとはそう登ることもないはず。
円座石を後にして小口の集落までは15分ほど。
最後までずっとの下り道。
出てきたところは個人の家の裏みたいなとこだったので一瞬「?」と思ったけど、
少し先に行ってみたらちゃんと道しるべがありました。
たまおさん達を待つために引き返そうとしたら、「ウォン!ウォン!」と急に吠えら
れてビビッた~。そのあと他の家の犬までドンドン吠えだして大変。
たまおさん、早く来て~。(笑)
大雲取登山口から小口自然の家までは徒歩10分ほど。
少なくなってきたキャンディを買うために、近くの商店に寄ると、ご近所さんたちが
溜まっていた。神戸から来たと言うと、
「こんなところ歩くのも六甲山歩くのも一緒ちゃうんか?」
と言われた。 うーん、地元の人達にしたらそうなんかなあ?
でも六甲山は世界遺産じゃないからね。
おじさん。やっぱちょっと違うんじゃ?
そうして小口自然の家に4時に到着。
HPのまんまだぁ。
入り口にはJRの古道のスタンプがあったので、たまおさんが早速押していたら
それを見た自然の家の館長さんらしき人が3人分木札をくれた。わーい!ちょっと
欲しいなあと思ってたんだ。
出来れば大雲取り越えのほうが良かったけど、小雲取越えのでもいいや。
そのあと館内の説明のあと、私達の部屋に案内してもらった。
これが私の思っていたとおりのお部屋だった。徳島の「ふれあいの里さかもと」を
思い出す。でも他の2人はかなり驚いていたかも。
学校を改築したと聞くと、もっと古びたイメージなのかな?
ここにも浴衣に羽織があったので、寝巻きなしでも湯の峰まで歩けたなあ。
でも、湯の峰で歩き回るにはやっぱり着替えが必要で。
ちなみにここには洗濯機2台と乾燥機1台がありました。
この日は私達をいれてたった3組(5人)だけだったのと、他は誰も洗濯機を使わ
なかったのでゆったり使わせてもらえたけど、明日は土曜日で満室とのこと。
それだと混みあって大変だろうなあ。しかしラッキーだったな、私達。
1時間ほどしてお風呂の準備が出来たとのことだったので、早速入りに行く。
広い広い。今日はよくがんばったね。 念入りに足をもみほぐす3人なのだった。
部屋に戻って洗濯物を洗濯機にかけるとお次は夕食。
いそいそと食堂に向かうと今日も豪華なお食事です!
お刺身、天ぷら(ふきのとうもあったよ!)、手作りごまどうふ、酢の物、煮物、
うなぎに鍋まで!
鍋はふたを開けてみると、具だくさんにうどんまで入っていた。ご飯つぐ前に
気が付いてよかった・・・。(笑)
3人で軽くビールで乾杯し、もりもり食べました。どれもおいしかった!
しかし気になるのは同宿の人。
なんと12時過ぎに那智を出て歩いてくるとのこと。
そりゃ無茶な! 休憩なしで地図には5時間10分の道のりと書いてあるのに。
館長さんも、足の速い人でも6時間かかるとのこと。3月とはいえ6時になれば
辺りもまっくらだし、あんな石畳の下りで街灯もないような道では怪我をしかねない。
大丈夫かなあ?とみんな心配していたんだけど、結局その人は6時半ごろに無事
到着したのでした。
さて、ご飯を食べ終わった後、まだまだ寝るには早いし洗濯物は乾燥機にかけな
いといけなかったので、入り口近くにある囲炉裏でゆっくりしてもいいか館長に聞い
てみると、
「いいけど、外で薪もいいよ~。
キャンプファイヤーみたいにしてみんなよくやるんだ。」
とのこと。キャンプファイヤー? そんなとこあったっけ?
でも、もう寒いし、中のほうがいいやー、それに囲炉裏ってのがいい。
ここでは私達が円座(わろうだ)に座って夜長を過ごすのだ。
すると館長が、「竹で酒を燗するとおいしいんですよ~。」と、炭を熾した
ついでに竹燗セットを持ってきてくれた。
お酒は地酒「太平洋」!
今日舟見峠で見た景色を思い出しますなあ。
残念ながらあいあいもたまおさんも日本酒はあまり強くないのだ。
私も明日のことを考えるとあまり飲みすぎてもいけないのだが、せっかくだしね。
いい感じ~。
と、ここで最後に到着した男の人が夕飯を食べ終わって通りすがったので、一緒
に少し付き合ってもらうことに。
話を聞くと、会社から永年勤続でリフレッシュ休暇(2週間)をもらうことになったの
だが、仕事の都合で土日合わせて3日間になった。(リフレッシュか、それ?!)
で、なんとなく歩いてみたくなったので岐阜から着たとのこと。
3日しかないのでお昼からでも那智から歩いてきたみたい。やっぱり最後は暗く
なって大変だったようだが、那智のお店の人がもしものために懐中電灯を貸してく
れたとのことでそれを返すために最終日はバスで那智まで戻るらしい。
営業職なので、舟見峠でも顧客相手に携帯で仕事の電話してたんだと。
かなし~。 私の職場でも永年勤続でリフレッシュ休暇1週間もらえることに
なったけど、だからって自分の仕事を誰かがしてくれる訳じゃないしねえ。
大変だねえ。でも、無事着けて良かった、良かった。
とまあそんな話をしていたら、時間も9時半くらいでいい時間になったのでお開き
にしたのでした。
明日は小雲取越えだ。
大雲取越えに比べると古道の雰囲気はないけど、最初が少しきついだけで今日
よりずっと楽らしい。2日目で疲労も溜まってるし、そのほうがいい。
そして明日は湯の峰温泉でゆったり湯治だもんね。楽しみ~!
小口自然の家のブログは→ こちら
地蔵茶屋の休憩所で長めの休憩のあと、予定していた時刻とそう変わらない時間
に出発。なんとかなりそうだな。
で、「石畳の急な登り坂」と地図に書いてあったとおり、石倉峠への道はなかなか
登り応えのある道で、見上げて思わずひえ~って感じ。他の石畳より大きな石が使
ってあるので縦にまーっすぐ伸びる坂道っていうんかなあ。
ただ、幸いにも本当にいいお天気続きだったので、苔も乾き気味でよかった。
これで雨が降ってたりしたら最悪だろうな・・・。
そうしてなんとか峠まで登り切ると、えらく立派な歌碑が建っていた。
ここの歌は斉藤茂吉だったけど、このあともいろいろな人が詠んだ、同様の歌碑が
要所要所に建っていてそれぞれその場所によく合った歌が詠まれていてとてもいい
感じ。なんていうか、本当に住んでた人が歌っている感じとでもいいましょうか。
気取ってなくってすーっと入ってくる。いい歌碑です。
ここからしばらく下って、とうとう越前峠へ。林道合流地点にはこれでもかっ!て
数の道しるべが同じ方向を示していた。なんで?間違う人多いのかな?
で、越前峠は確かにしんどい道でした。
でも、なんだか体が乗って来たぞ!どんどんイケル!(笑)
なんだか楽しくなってきた。 背中は汗ダクダクだけど、どうせ誰も居やしない、
峠に着いたら新しいのに着替えちゃえ。
と思っていたら、前からおじさんが。 Oh NOOO!!(笑)
こんにちわ、と声を掛けたら、おじさんは小口から折り返して帰ってきたらしい。
どうやら地蔵茶屋から登ったみたい。
おじさんはそのままスッと下っていったので、ホッとしつつ越前峠に到着。
たまおさん達が来るまでにササッと上着を着替えて待つ。
ベンチくらいあるかなあと思ってたのに、越前峠には何もなかった。
休憩のしようがないので、そのまま下っていくことに。
ここからなんと小口まで1時間半もかけての永遠の下り坂。その名も胴切坂だ。
順打ちでも逆打ちでもしんどいと言われるこの坂。
最初は思っていたより緩やかだったし、石畳とはいえ土の部分も多かったので
そこまでしんどくないかも、と思ったんだけど甘かった・・・。
こーんな階段の石畳が延々と続くのよ~。
私もたまおさんも膝を痛めやすいので杖やストックを頼りにあまり足に負担をかけ
ないようゆっくりと歩いていく。でも、たまおさんはすでに膝にきているよう。
やっぱり登りのあとの下りは膝を痛めやすいからね。
とにかく楠の久保旅籠跡までがんばって降りるしかない。
しかし、かなり下ってきたと思っていても地図を見るとまだ半分だったりして。
この坂、下りも確かにしんどいけど、ぜったい登りたくはないねえ。
那智からのほうが、登り下り平坦が均等に混ざっていて、なおかつ景色も楽しめて
断然いい。胴切坂は景色ないもんね。
そんでもってやっとのことで楠の久保旅籠跡まで来たのに、なんでかここにもベン
チはない。なぜだ~!?
たまおさん達をしばし待つもなかなか来ないので、もう少し先にある中根の旅籠跡
まで下っていき、やっと休憩所のベンチに座ることができた。はー疲れた。
現在の時間14:30。出発した時間から考えるとちょっと遅い。
なんとか4時までに着けるといいけど。
そうしてかなり経って二人が到着。たまおさんはだいぶ膝が辛そうだ。
まだまだ下り坂が続くのでかわいそうだけど、がんばって!
今日のハイライト「円座石(わろうだいし)」まではあと少し。
ゆっくりゆっくり下っていき、ゴール近くの「円座石(わろうだいし)」に到着。
かなり苔生してました。上を覗きこんでみましたが、仏さんたちが座るおざぶみたい
な円は無さげだった。ふーん、こんなもんかなあ。
ここにはベンチというか座れる場所があったので、荷物を置いて一休み。
あともう少しで小口の集落だ。
ダルと呼ばれる妖怪?にとり憑かれて急に体が重くなって動けなくなるらしい。
米粒を1粒食べるといいらしいんだけど、私らは食べ過ぎてるくらいなのでダルには
とり憑かれる隙を与えませんでした。(笑)
おしゃべりする余裕も出てきてあっという間に色川辻に到着。
車道を少しだけ歩いてすぐにまた古道に戻る。
道はたまに登ったりもするけど大したことはなく、3人の中には安堵感も。
このぶんだと楽に大雲取越えできるんじゃない?と口走るも、まだ越前峠も過ぎて
ないのであまり大きな口は叩かんとこう。
熊野の神様怒るかもしれんしなあ。
少し登ってまた車道に合流した。地図を見ると地蔵茶屋跡まではあと20分だって、
とルンルンで歩いていたらまた林道に出た。
そこにあった道しるべには、ここから20分と書いてある。
よくよく地図を見ると、『林道交差』と『林道合流』の地点を間違えていた。
紛らわし~!
それでも気を取り直して山道を歩いて行く。
この道はずいぶん整備されていて、やたらと丸太の階段が多い。
小さなアップダウンも多くずいぶん歩かされているような気がしてきた。
いままでは古道の道しるべが必ず途中で出てきたのに長い間見ていないので心配
になって地図を見直すと・・・
「左側に川を望みながらゆるやかな下り坂をすすむ。」とある。
川は私の右側にあるんですが・・・。
ええっ!?間違ってる? いつ、どこで?
パニックになりながら、他の二人にもこのことを伝えると、たまおさんが持っていた
地図には林道合流地点から車道を歩くことになっている。
車道は川の反対側にあるので、車道が熊野古道だとすると、川を左側に見ながら
歩くことになるのだが。
どうしようかうーんと悩んでいると、車道を1台のバイクがゆーっくり走ってくるのが
見えたので、すかさず「すいませーん!!!」と手を振って声をかけた。
相手は気が付いていたように思うのだが、そのままブーンと行ってしまった。
おいおい冷たいなあ!!
とにかくもう少し進んでみて茶屋跡らしいものがなかったら引き返そう。
ということで、100mほど行ってみたら、小さな橋の向こうに小屋が見えたので
ホッと一安心。
あとで宿坊でもらった手作り地図を見てみたら、私達の歩いた道は「平成の新道」
としてちゃんと載っていた。ははは。
(ただし、和歌山県等が配布している地図は相変わらず『左側に川を』、の表示の
ままですのでご注意を。)
ここ地蔵茶屋跡で早めの昼食をいただくことに。
隣にはトイレもあるし、向かいには立派な休憩所もあるのだ。
お弁当にはおにぎりが3つも。
朝食もしっかり食べてきたし、食べきれないかも~といいながら、3人ともしっかり
完食。(笑)
おかげで荷物もだんだん軽くなってきた。よかった。
しばし長めの休憩をしていたら、さっきのバイクが戻ってきた。
私達を見たからか、ストップせずに引き返していく。ふーんだ!
さあ、ここからは石倉峠を経て今回一番の難所と思われる越前峠へ。
登りはそこまでだ。
熊野古道の入り口はお寺のすぐ横にあって、階段なのだ。
お寺の境内の掃き掃除をしていた方に写真を撮ってもらって、7時30分に出発。
最初から階段が長々と続いて、これがまたけっこうきつい坂道なのだ。
ついつい地図を見てしまうが、もちろん全然進んでない。(笑)
地図上では「急な」とも書いてないし。
先行きに不安が・・・。
それでももくもくと階段を登っていくと30分ほどで那智高原に到着。
公園を抜けて古道最初の休憩所(トイレ付き)でしばし休憩する。ここから地蔵
茶屋跡までの2時間あまりはトイレがないしね。
ここからは地図上では登りオンリーのような書き方になっているんだけど、実際
歩いてみると登り下り平坦といい感じで混ざっていて疲れにくい。
道端には小さな白い花が咲いていて目を楽しませてくれるし、山は杉でいっぱい
だけど、花粉はあまり飛んでないようでマスクの必要はなかった。ホッ。
途中ところどころ石畳が出てきて古道の雰囲気を感じさせるものの、やはり石畳
はやっかいで、苔が覆っていて歩きにくい。私達が歩いた時はいい天気が続いて
いたからかよく乾いていた方だと思うけど。
思っていたより楽に登立茶屋跡に着いたので、休憩することなく(といっても休憩
できるベンチもなかったけど。)舟見茶屋跡に向かう。
たまにステキな石畳にくると3人ともカメラを取り出してパチパチッ!
うーん、熊野古道に来たー!って感じ。
そうして舟見峠らしい休憩所が正面の山の上に見えてきた時に、ハッと気が
付いた。舟見峠ってことはもしかしなくても海が見えるんだろうか?
そう思うと辛い上りもがんばれる!
石畳と格闘しつつも登り切って、峠の東屋に行ってみると・・・
予想以上の絶景に思わず感嘆の声をあげてしまった。
ここまではっきり海が見えるなんて思ってなかったし、見渡す限りの水平線がぐるっ
と眼下を囲んでいて、すごい。(写真では分かりにくいと思うけど、右手の山の上も
水平線なのだ。)
ちなみに右手の山裾に見えるオレンジ色のところが那智高原。
けっこう登ってきたんだなあ。
ここで少し長めの休憩。荷物を少しでも減らすために、とにかく食べなければっ!
ということで、お下がりにいただいたみかんやりんごでブレイク。
それにしてもこの峠、休憩所の周りや海側の山の斜面がだいぶ乱暴に伐採され
ている。
あとで分かったことだけど、前和歌山県知事が熊野古道好きで、ここからの景色
が悪いので伐採させたらしい。
たまおさんは「そんなことせんでいいんよ!」と言ってましたが、私はそりゃー景色
はいいほうがいいけど、もうちょっとやりようがなかったかな、と思いました。
まあ、東屋の土台は古そうな石組みで、ここにももともと茶屋みたいなものがあっ
たのかもしれないから、昔は景色が良かったんじゃないかなあ。
と、休憩していたら寒くなってきた。歩いていると暑いけどやっぱり動かないとすぐ
冷え込むなあ。
ということで、出発~!
まだ真っ暗な中ごそごそと着替えていると,あいあいも「おはよー」と起き出して
2人でお勤めに行くことに。たまおさんは正座による膝への影響も考えてお勤めは
パス。
どうやら同宿だったおじいさんもお勤めに出られるようだ。
先に玄関を出ると,空にはたくさんのお星様が瞬いていた。
そして宿坊の門を出る前に,暗闇からいきなり「おはようございます!」
と声をかけられて心底びっくり。
お寺にお勤めに向かわれるお坊さんのようだ。はー,びっくりした。
境内までの道には思っていたよりたくさんの街灯が立っていたので,周囲は明るく
すぐに星も見えなくなってしまった。
5時から始まったお勤めでは,観音経を1巻お唱えします,ということで青岸渡寺の
勤行本を渡された。
てっきり般若心経を唱えるんだと思ってた。
観音霊場でのお勤めは初めてだし,観音経を唱えたこともないので戸惑いつつも
勤行の始まり~。
最初はゆっくりとした感じだったんだけど,観音経に入ったらものすごいスピードで
読み上げられて,あいあいも私もふりがなを追うので精いっぱい。
息継ぎしてたら今どこか分からないよう!(笑)
それでも本もなんとか終わりに近づいて「やれやれ・・・。」と心の中で安堵して
いたら,ページの下に
「→ 裏面につづく。」(笑)
続くんかいっ!!
あまりのことに吹き出してシマイマシタ。
そんなこんなでなんとかお勤めは終わりました。
最後に短いお説教のあと,みかんのお下がりをいただきました。わーい。
外に出てもまだ5時30分。やっぱり瀧まで降りる気にもなれず,そのまま宿坊
に引き返すとたまおさんも起き出してきた。
脱ぎ散らかした浴衣やお布団を片づけていると,管理人さんが現れて6時15分
には朝ご飯が用意できるとのこと。ありがとうございます!
顔を洗ってお化粧して準備万端になったところで朝ご飯を取りに行くと,朝も
豪華です。
おもしろかったのは,きんちゃくの中身がおもちじゃなくてうどんだったこと。
はじめてやったわあ。
朝ごはんを食べていたら日の出の時間になったので、わたわたとカメラを持って
廊下に出るときれいな朝日が空を染めていました。
きれいだなあ。
朝ごはんを済ませてお昼用のお弁当もいただいたら宿坊を後にする。
お世話になりました。
たまおさんがお寺で熊野古道の木札とスタンプをもらいに行き、帰ってきたら
手にはりんごが。それはお供えのりんごでは?
結局お寺さんがくれたそう。よかったね。
でも、たまおさんのリュックはすでにかなりの重さになっているし、私もペット
ボトル2本にお弁当、みかんでリュックはいっぱい。脱いだ上着を入れることも
できるかどうかって感じだ。重~い!
しかしいよいよ熊野古道歩きの始まりだ!