超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

今年もドック 2nd Day

2015-11-10 06:52:13 | スポーツ・健康
毎度さしたる話題もなく淡々とこなす行事となったドックだが、2日目の朝、思わぬ試練に見舞われることになる。前夜、飲食制限時刻は守ったのだが、一人で黙々と飲んでいたためかやけに「残っている」感があった。いつもの通り、腸管洗浄剤1.8リットルをコップに空け、1時間かけて飲み干す。30分くらいで反応があるはずなのだが、どういうわけか1時間たっても何も身体に変化がおきない。通常多くても10回程度の排便で綺麗に洗浄されてしまうのだが、集合時間の30分前になっても何も起こらない。。。まずいぞ、これは・・・このままだと大腸内視鏡検査が受けられない。1.8リットルの液体が腹に入っているのだから、かなりの膨満感はあるのだが、何か神経が麻痺してしまっているのか?!時間がたつにつれ、事の深刻さを実感して行った。このまま何も起きなかったらどうなってしまうのだろう?

仕方がないのでジャンプしたり、その場で足踏みしたりスクワットしたりしてみた。さらにカトちゃんのように腰を前後にして歩く、スタジオプログラムでやらされる「腰から下だけをぐるぐる回す」を繰り返して、汗びっしょりになった。何でこんなことやらなきゃならんのだ?と泣きたくなりつつも「(神様ごめんなさい!もう食堂以外では飲みませんから今回だけ正常波を呼んでください!)」集合10分前でようやくお腹がぐるぐる言い出したが、時間になるまでに完全に洗浄は仕切れなかったようなのだ。受付で正直に「あのーぅ、すみません。洗浄剤の効きが遅くて、まだ全部出切ってないようなんですけど・・・」係の人は「大丈夫ですよ。そこにトイレがありますから、検査時間までに出ますよ」人の心配もよそに笑って答えた。

大きな問題は最初が上部の胃内視鏡検査ということなのだ。実はこれはこれで結構な試練だ。嘔吐反射の強い私は経口だとものすごく辛いので経鼻法でお願いしてあるが、横になって鼻から内視鏡チューブをずっぽり入れた状態で下部が反応してしまったら・・・前日付きまとった「屁男」なんて笑える事態ではないとんでもない惨状となる。ぎりぎりまでバタバタトイレに駆け込んだりしていたが、幸い腸管洗浄は完了したようで、続く大腸内視鏡検査も無事に終了した。まったく冷や汗ものだった。ちなみに前日試してみようと思った、「血圧測定前に大笑いしてみる」だが、それどころではなくすっかり忘れたうえ、前日朝よりもはるかに悪い数値を叩き出してしまった。

全ての検査が終わると医師による総合診察があり、げっそり疲れ果ててドアを開けた。おじいさんの先生は既に参照できるようになっている検査データをさーっとみて、「ふーむ。。。いいじゃないか。血圧と体重以外全部異状なし。何か気になることある?」「あのーぅ、大腸内視鏡で『直腸にポリープがある」って言われたんですけど・・・』「んっ?あー、これか。何て書いてあるのか読めないなー。大きかった?」「いえ、小指の先くらいですって。でも取った方がいいと言われましたけど」「直腸はねー。回りに何もないから失敗しても心配なし。取るんなら躊躇しなくていいよ。医者によって見解は違うけどね」「失敗してもって・・・もしかして、放っておいてトカゲの尻尾みたいに治ることもあるとか?」「はははー。難しい質問しますね。医師としては最悪、悪性に変異することもあるから取れ、ということなんだけど・・・モノによっては無くなっちゃう場合もあるにはあるよ」

昨年の上部内視鏡検査では「耳鼻咽喉科の分野ですけど」とポリープが撮影されたのだが、1年たった今、どうも無くなっていたようだ。私は来年まで様子を見ることにした。人間ドックの最後は保健師による保健指導である。毎年、酒をへらせ、野菜食べろ、塩分注意の3点セットから微動だにしないのでここ数年スルーしていたのだが、今回は激闘腸管洗浄のこともあり、ふらふら〜と診察券をケースに入れてしまい、すぐに名前を呼ばれてしまった。「くわばたりえ」さん似の保健師が愛想よく、「どうもー、お疲れ様でした〜。全部終わりましたか。ちょっとデータと問診表見ますね。」さっきの医師と同じ画面を見ながら、りえさん(仮称)は「すごーい、ほとんど『A』じゃないですかぁ。前回NGだったのも全部改善してますよ〜。どれどれ、体重がオーバー?ホントだ。標準65キロですからねー・・・」

「体重は65キロになんて絶対になれないと思います!高校でサッカー部だったんですが、人生で最も締まっている時でも70キロだったんですよ。」「そーですね。体脂肪もOKだし、このまま維持してください。あと血圧高めですねえ。昨日2回目が下がってますが、大体いつもどのくらいですか?塩辛いもの好きですか?塩分制限は年々の標準で厳しくなってるんですけど・・・」「まあ、血圧は2回の平均くらいですかね。薄味好みじゃないですが、ラーメンのスープは気持ち残すようにしてますよ」測定前にバカ笑いしたら血圧が下がったなんて言っても本気にされないだろうと、黙っていた。

「りえ」さんはさらに問診表と検査データを眺めながら「休肝日は週2日?いいですねー。1回に飲む量は・・・4合!多すぎ!肝臓が疲労しきってしまいますよ。半分にしてください」「ま、毎日じゃないですよ。ところで前から聞きたかったんですけど、飲酒量って1週間のトータルで調整すればいいんですかね。例えば1升飲んじゃったら2回分休みとか・・・」「そんな無茶な飲み方したらダメです。肝臓以外にも色んなダメージもありますよ。そんなに飲むことあるの?最高どれくらい?」パッと思いついたのは甘辛が幼い時に妻とサイゼリヤで飲んだデカンタワイン8本だったが、「ワインでも1升くらいですよ」とごまかしておいた。

「1合とか2合とか。。。中途半端に飲むくらいだったら、その時は止めにして『固め打ち』にしたい性格なんですよ。」りえさんは微妙に笑うだけだった。
「あとは・・・視力が低下した?まあ、この年齢まで裸眼ていうのが珍しいんだから。。。でもねー、メガネやコンタクトで矯正しないとよい方の目まで悪くなっちゃいますよ。私がそうでした。このメガネ最近作ったんですけど、もっと早く作ればよかったってね」「(そんなくわばたりえメガネで役にたつんですか?)」と心の中で首を傾げた。「それから・・・全身に痒みや湿疹ができやすい?まあ、乾燥すると誰でもね。内臓疾患が原因なこともあるけど、この検査結果から見るとは関係ないですね」

最後に減塩パンフレットを取り出して説明するりえさんに「血圧って塩分減らすとか、酒を減らすとか『後ろ向き』の治療ばっかりじゃないすか。何か『これをやるとよい』 とか『前向き』なヤツはないんですか?」りえさんは紙面裏の一番下を指差した。カリウムがよいらしい。食品はバナナ、キウイ、納豆、ワカメ、豆腐など、私が日常で結構頻繁に口にするものである。しかし1日の推奨摂取量はバナナだと10本、納豆だと18パックに相当してしまう。(そんなに食えるかい!)「でも検査結果は全体的にすごくいい方ですから、このまま維持してくださいね」こうして今年も波乱のあった人間ドックは終了した。

赤いライオン号に乗った私はすかさずナビをセットして三嶋大社へ。流された源頼朝が源氏再興を祈願した伊豆国一之宮である。滅多に訪れない地ではその土地の一之宮または神社仏閣に足を運ぶべし。平日なのに観光バスで乗り付けた(多くは年寄)参拝客で賑わっていた。境内に国の天然記念物に指定された樹齢1200年の金木犀がある。銀杏やけやきなど大木がメジャーな中で「君のひとみは10000ボルト」の金木犀とは珍しい。私も参拝していつもしているように息子甘辛用に「八方除守」、最近体調がイマイチのような妻にも小さな鈴の御守りを購入した。



次に向かったのはるるぶにもあった、箱根西麓・三島吊り橋である。残念ながら富士山はほとんど雪に隠れてしまっていたが、橋が完成すれば全長400メートル、歩行者専用吊橋として日本最長となり、空へそびえる富士山の様々な表情や広大な駿河湾の絶景が一望できるそうだ。場所はこの辺だろうとうろうろ走っていると工事現場となって巨大な橋桁が見えた。ドライブインのような施設を建設中らしいが、ものすごい規模だ。前日のような雲一つない天気だったら素晴らしい景色だろう。しかしここから見えてあの大きさということは・・・高所恐怖症の人には世にも恐ろしい場所になるかもしれない。



帰り道がてら立ち寄った最後の地は昨年チェックしておいた山中城跡である。小夏師匠の三河の国にも山中城というのがあるらしいが、こちらは三島市のほうである。国道1号線を挟んで本丸方面のエリアと出丸のエリアがあるようだが、時間の関係で出丸の方に歩いて登った。北条氏風と言われる畝堀や障子堀が残っており、出丸跡からは富士山や駿河湾も眺め渡すことができる。山頂付近が少しだけ見えるようになったが大半は雲に覆われている。さっきの巨大吊り橋の柱が小さく見えている。豊臣秀吉の北条攻めに備えたようだが、数にして15倍の敵に取り囲まれわずか半日で落城してしまった悲劇的な城だ。



箱根新道を家路に向かい、西湘バイパスの入口に降りてくると、正面に何やら浮遊する物体が見えた。昔見たことがある、生命保険会社の宣伝用?飛行船である。よく見るとバイパスに沿って東に向かっているようだった。途中で西湘バイパスを大磯方面に疾走する赤いライオン号と完全な並走状態になったが、運転中に真横を向くわけにはいかない。ふわふわと優雅に漂っているように見える飛行船も実は並び走ると結構な速度で飛んでいることが分かる。ほぼ同じ速度で走ってみたら、推定時速75キロくらいのようだ。確か今日本の上空を飛んでいる飛行船はあの飛行船のみ。中々見られないものを運よく発見した。視界に入れたまま走るとちらちら気になって危険なので、一気に速度アップしてフロントガラスからは消し去り、そのまま竜泉寺に向かったのであった。