超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

シミュレーターゴルフ

2013-02-20 21:24:07 | 出来事
「試しにやってみる」第一弾としてスティーブに連れて行ってもらった店でゴルフクラブを衝動買いしてしまい、そのうち3本を自宅に持ち帰った私は約20年前に足を運んだきりの「打ちっ放し練習場」に行く機会を虎視眈々と狙っていたが、やはり何かものすごい重荷を背負わされているような気がして、何かにつけて先延ばしにしていた。母や甘辛と異なり私にとっては中々discomfortとも思えるゾーンに足を踏み入れられないのである。先日、天気のよい休日に妻といつもの海岸を江ノ島方面を散歩していたら、水族館の向いにあるカプリチョーザを通り掛かった。その上に「湘南ゴルフリゾート」という施設があるのは知っていた。江ノ島に湘南海岸、水族館に、種々の(行ったことないけど有名と聞く)グルメ店のひしめく観光地に「室内ゴルフ練習場」なんてあったって「来る人いるわけねえだろ」と冷笑しながらスルーしていた。

  

しかし隣に併設される(こちらがメイン?!)中古用具店はゴルフクラブを買った店と同じチェーンだったし、「シミュレーターゴルフ」というのにも若干興味が沸き、「ちょっと入ってみようぜ」と二人で階段を上ってみた。(一人だったらやはりスルーしていたと思う)
薄暗いホールに入っていくと、一見ボーリング場のレーンが並んでいるようにスクリーンが映し出されている。スポーツクラブなどにも幔幕に向けてボールを打ち放つ室内練習場はあるが、それの素晴らしく高度なものであるらしい。以前、テレビ芸能人のドタバタバラエティでやっていたのを見たことがある。初めて来たことを告げると係の人が親切に案内してくれた。

2Fフロントはトレーニングゾーンでいわゆる打ちっ放しのように打席が並んでいて、マットに置いた本物のボールをスクリーンに向かってバシッと打つと、ヘッドのスピードや回転、角度などを瞬時に計算してスクリーンに打ったボールの軌道が映し出される。飛距離や弾道、落下点はもちろん打点の角度やボールの初速まで細かなデータが記録され、最後に自分のショットのVTRが確認できる優れモノである。実は練習としてではなく、商品(中古品)の試し打ちにも使わせてもらえるそうだ。商品全部は無理だが、練習用に自由に使わせてくれるレンタルクラブがあり、隣りが中古品店なのでそれは様々なクラブを打つことができる。もしどんずば気に入ったクラブがあればあらためてショップで同型の商品を見せてもらえばよい。

3階に行くと、打ちっ放しの打席ではなく、カラオケBOXのような半個室となっていてやはり前方にはスクリーンがあった。なんとここがこの施設の誇る「ラウンドシミュレーター」である。世界の数百以上のゴルフ場の詳細データを再現し(私にとってはあまり意味ないが)、トレーニングゾーンよりもリアルにそしてシビアにラウンドをシミュレートする。落下点が傾斜している場合、次のショットでは足場がそれに合わせて動くのもすごい。1グループだけプレーしていたが、ワイングラスを片手に中々優雅に楽しんでいた。何せ実際に歩かないでもラウンドのような気分が楽しめるし、お酒を飲みながらカラオケBOXのような楽しみ方もできる新たなスタイルだ。ラウンドBOXの反対側には海に面した本物のレストランがあり、食事を摂ることもできる。

散歩の途中ふらりと入っただけだったので何も持っていなかったが、一通り案内されて私は一度試してみたくてうずうずしていた。数日後、家に持ち帰ったクラブ3本を持ち妻に「もう1回付き合って」と頼み込んで一度トレーニングゾーンを経験してみた。どきどきしながら使い方を教えてもらい、購入した時に一発だけ試し打ちした7番アイアンを手に取って何回か素振りした後、「バチョンっ」と振り下ろしたが、何と打ったボールだけスクリーンに当たったが、肝心の映像が続いていかない。シミュレーターがうんともすんとも反応しないのである。天井にぶち当たるような変なコースではないつもりだったが、2回目も不発・・・まさかあまりにもボールの初速があり過ぎて機械が反応できないのか?(そんなわけねえだろ)

3回目にしてようやく、スクリーン内のボールも画面上を飛んで行き、やや左の130Yくらいの目盛あたりに落ちた。すかさずショットの各データが映し出されたがよいのか悪いのかさっぱりわからん・・・距離で行ったら少し足りないくらいだろなー。こんな風だったけな、ああだったかなー、とあれこれ数十発打って、いよいよバカでかいヘッド(今はこれは普通らしい)のドライバーの登場だ。何回か素振りをするがどうも軽い。とりあえず「ドカンっ!」と一発ぶっ放すとすごい音がして後ろで見ていた妻は「おおっー」と声を上げたが、左に大きくひん曲がり距離も200Yそこそこしかない。ほとんど散歩と同じスタイルでクラブだけ持って行ったから、偵察に意味も兼ねて30分程度でほぼ20年ぶりの打ちっ放し(確か数回は途中あったような気がする)を終えた。どうやら普段使わない又は錆付いていた筋肉を酷使したらしくわき腹を中心にあちこちが痛かった。「侍ジャイアンツ」の最終回で米大リーグのホームラン王ジャックスにこれまでの魔球をすべて投げ、使ってなかった筋肉を酷使し過ぎて激痛が走った時のようなものだ。

    

しかしトレーニングゾーンにも「ラウンドモード」があるというのは実に興味深い。マジでグループコンペを開く人達もいるようだから一度お友達を誘って試してみるか。翌週、甘辛の進学祝いにお友達家族が集まってくれる予定だったから、その中のゴルフ好きのお友達を誘い、片瀬江ノ島駅経由で現地集合にした。お友達はこういうところは慣れているのか、店内で試し打ちしたいクラブを一式選び、シミュレーター前にやってきた。試しに1席借り交互に練習してみることにしたのだ。さすがに継続的にレッスンを受けている人は弾道が違うなー。身体の捻りとかクラブの描く軌道とか色々と教わることができたが、さすがの私も一度聞いて全部できるはずがない。私の弾道は右に左に鎌倉水中花火のようにきれいな扇を描いていたことだ。

一通りクラブの練習を終えると、今度はラウンドモードで打って見ることにした。練習用打席なので上の階のラウンドシミュレーターのように足場の傾斜や風などが詳細に再現されるわけではないが、まさしくラウンドしているように打つことができる。1ホールずつ交代で打っていき、パーの2倍以上打ってしまうとギブアップ(つまりそのホールはゲームオーバー)である。クラブの当たり方や打点のインパクトなどで軌道計算しホールの構造と合わせてOBやバンカー、グリーンには傾斜や芝目などもある。パットだけはさすがに要領が違っていたが、それ以外は慣れるとホントに回っているような気分になった。私はドライバーと7番アイアン、ピッチングしか持っておらず、できるだけ買ったばかりのクラブに慣れるためにそれだけ使用していたが、ロングホールでドライバーをチョロった時に試しに「ユーティリティ」という見たこともないウッドとアイアンのあいのこみたいなクラブで打ってみたら実に具合がよくビューンと飛ぶ。

    

たっぷり2時間、時にはVTRを見ながら色々教えてもらい、シミュレーターゴルフを堪能できた。練習場でドカバカ打ってもコーチでもしてもらわない限り、よいのか悪いのかさっぱり分からないがこれなら何となくわかる。いずれレッスンも受けるつもりではあるが、自分で分析しそれなりに試行錯誤できるとは何と理系好きのする装置であることか。まるで私のためにあるような施設である。「今まであんなにバカにしてたのにねー」妻の反応は生冷たい・・・
「オレ、さっきのユーティリティというクラブ一本買ってみようかな」吉野家の牛丼でも生卵を付けるのは「自分へのご褒美」の時だけ、というほど余計な買い物をしない私だが、時折ちょっとした衝動買段をする。つまりこういう時のために普段は余計なモノを買わないのである。

帰って来て宴会に集まりかけていたお友達の家族に「いやー、面白かったよ。オレ、クラブ一本買っちゃった。」お祝い会の最中でも時々ケースから出してきて撫でまわしていた。初めて野球のグローブを買ってもらった子供が枕元に置いて寝るような気分である。翌日は3連休最後の日だったが、月曜日のためにキャンペーン価格で半額になるのを知っていた。一人で乗り込む勇気を起こすのは大変だったが、新しく買ったユーティリティを使用したくてしょうがなかった。たまたま待たずに席に入れたので、練習もそこそこに早速ラウンドモードにして打ってみた。「ほぼ初心者みたいなものなんですが、まさか真横に飛ぶことはないと思うんですがねー」なんて言って奥の個室のような打席に入れてもらったのだ。先日、交代で回っているから要領よく進めることができた。パッティングはかなり甘めの設定らしく(さすがに微妙に再現できないようだ)かなり適当に打っても「ナイスイン!」の声がかかる。ガードバンカーに入ったりグリーンを捉え損ねてこぼれたりすると「おおーうぅ」というギャラリーのため息が流れる。(プロのラウンドの感覚だ)このシミュレーターのよいのは「今のなし!」と何度でも打ち直しができるところである。トレーニングゾーンだから実際のスコアよりは距離感や風の状況から何度も打ち直し、感覚を養う目的もあるのだろう。

ハーフラウンド回って「39」という驚異的なスコアだ。何度も「ナイスパー!」という掛け声を聞いた。もちろん「今のなし!」をフェアウェイやラフ上10回くらい、グリーン上でも10回くらい行ってるから、実際は60回くらい叩いていることになる。衝動買いしたユーティリティも中々具合がよい。1時間半あれば練習もそこそこにテンポよく回れば(「今のなし」をやらなければ)ワンラウンド回ることも可能だ。どうやらしばらくは私のホームグラウンド(って実はないけど)になりそうな気がする。何せ散歩気分でいつでも来れるし、夜の12時まで営業している。レッスンなんかも受けてみてしばらく修行したらいよいよショートコースでも回ってみるか。本コース再デビューの日も近い。。。